第六話
僕達、「家族」の参加した結婚式は、まさに公開処刑だ…
「家族」の不確かさを露呈する儀式に過ぎなかった…兄の結婚式は僕達
「家族」の終わりを意味していたと思う…
母親は兄が婿入りした事により、寂しさを残しながらも、妙な達成感を感じている様子だった…
僕はそんな母親と兄を見て、自分の存在価値を見失い、「家族」の意味を考えるようになっていた。
あの「同居人」との関係もあまり変わらなかった…「同居人」から「おじさん」と呼び方が変化したが、相変わらず母親を経由しての会話は変わらず、僕達三人の関係は不自然さを平行していた。当然、兄も全く実家には顔を出さなくなっていた。
僕は進路の選択を迫られる時期に差し掛かった…母親は金銭的な理由を上げて、僕に就職を迫ったが、僕自身は進学を希望していた。
母親は普通に就職して普通に結婚する事が幸せだと言ったが、僕には到底、理解は出来なかった…この家庭を…この複雑に絡んだ家庭環境を見て未来への希望が見えるのだろうか!?
僕には幸せな家庭などない…兄は幸せなのだろうか!?母親も父親も捨て、新しい人生に満足しているのだろうか!?
一人の人間が人生を捨て、生まれ変わる事は難しい…
僕は母親を恨んでいる訳ではない…この未来は僕が生まれて来た時に決まっていたのだ。
僕はこの運命を受け入れて生きて行くしかないのだ…
僕は何も難しい物を求めるいる訳では無い…只、単純に欲しかったのだ…一般的な「家族」が…