第三話
高校一年の夏を迎える頃には学校にも、あまり行かなくなった…
夏休みになり、バイトの日数も増え、手に入れる金額の大きさに満足し、仕事にもやり甲斐を感じていた。
その一方で、学校のレベルの低さは相変わらずだ…テストも形だけ行われていて、名前だけ記入して席を立つ生徒も少なくなかった。
友達と呼べる様な人も少なく、そんな学校にはあまり行く気がしなかった…
母親は、この頃になると新たな交際相手を見つけていた…何度か顔も合わせており、知らない仲では無かったが、あまり興味はなかった。母親は母親、僕は僕…お互いに干渉せず暮らしていたが、特に嫌いだったのは月曜日だ…家を出て、一人暮らしをしている兄が毎週月曜日になると家に帰って来た、そして母親の交際相手も何故か、毎週月曜日に僕の家を訪れていた。
自分の部屋に閉じこもってしまえば話は簡単だが、いずれは顔も合わせる事になり、世間話の一つもしなければならない。四人で食卓でも囲んだ日などは死にたくなる…
母親、交際相手、兄、そして僕…
この感覚はどう話したら伝わるのか全く解らない…全ての会話が母親を経由する、「その他」だけの会話は成立しないのだ、ただ四人が「家族」を演じていた。
僕が高校二年になる頃には「交際相手」から「同居人」に変わっていた。母親も一人では生きて行けない…僕はあえて反対もしなかったが、兄だけは快く思っていなかったようだ。
あの計算高い兄が理由も無く反対する筈がない…きっと何かある筈だ…