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終わりゆく世界に紡がれる魔導と剣の物語  作者: 夏目 空桜
第四章 TSヒロイン帰郷する
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TSヒロイン・世界にある果て……

2018/11/30~12/2に投稿した『そうなりたい』『世界に果てはある』『アル君だ!』の3話を表現誤字を中心に改稿再編集しました。

「う~」


 ポツンと一人残された部屋で思わずうなり声を上げる。

 唇もおでこも燃えるみたいに熱い。

 アルく、アルフレッドに迫られて逃げ場も無く半ば諦めかけた時だった。

 こんな時にって思われるかもしれないが、俺のお腹が盛大に鳴ったのだ。


 し、仕方ないだろ! 


 や、仕方ないってことは、ないんだけどさ……

 べ、別にもっとキスしたかったとか、キスどころかもっとその先に進みたかったとか、そんなんじゃ無いし……


 ようは、その、漏らしたのだって、腹の虫が鳴ったのだって俺が数日寝たきりになってた……ってのが原因だ。

 まぁ、その間はカーズさんの魔法で状態維持(いわゆる病院における看護をされているみたいな状態)だったらしいんだが、俺が目を覚まさした事でその効力が途切れたらしい(ええ、俺が寝たふりしていたから、一昨日には切れてた)。

 そのせいもあって、ここ数日の空腹やら尿意やらが一気に押し寄せてきたのだ。


 魔法って超べんり~(棒)


 とりあえずそれはそれとして、雰囲気をぶち壊した俺にアルフレッドは苦笑いして、


「お腹も空くよね。今、ご飯用意するよ」


 そう言うと、俺のおでこに優しくキスして部屋から出て行った。


 思わず触れていた自分の唇。

 柔らかな感触が今も残っている。

 おでこにだって、いつまでも消えない温もりがある。


 何だ?

 何なんだ!?

 あの年下イケメンは!!!


 あのぐらいの歳なら普通はがっついて来るもんだろ!

 俺ならそーする。誰だってそーする!

 そうすればオレはパッシーンって感じでアイツのほっぺた叩いて、この半分熱病に冒されたみたいな感情から覚め……

 覚める、のか?

 って言うか、仮にがっつかれても拒絶出来たか?


 ……分かんね。


 アイツのこと考えれば考えるほど、拒絶しないと取り返しが付かなくなるって心の奥で叫んでる自分と、

 流されちゃっても良いじゃ無い、人間だもの

              By りょう

 とか思っちゃってる俺がいたりもする。

 や、流されるってのは、ネタ的発言で嘘だけど、その、さ……


 アルく……アイツを見ていると、本当に俺の事を大切に思ってくれてるのが伝わってきてさ。


「お~い、日野良。お前はアル君のこと、ホントにどう思ってたんだよ? 忘れるとか、ホントにサイテーだなお前。忘れる、か……」


 忘れる。

 そりゃ、俺だって引っ越して何年も会ってないヤツの名前を思い出せるか、って言われたら正直自信はない。

 だけど、幼稚園の頃に好きだった娘の事は今でも覚えている。

 あの娘が引っ越すって聞いた時は寂しかった。

 ……ガキの頃、ソフィーが男だって分かってショックを受けたけど、それ以上に突然会えなくなって、それがすごく寂しくて悲しかった事も覚えている。


 好きになるって、そう言う事だよな。


 ただの友達とは違う……ズッ友とか、そんな軽い言葉じゃ済まない気持ちがそこにはあるんだ。

 それなのに、ついこの間まで恋人だった時の喜びや嬉しいって感情を忘れて、それなのに記憶だけはアル君の記憶であやふやに知って……

 アル君はそんな俺を責めるどころか、逆に自分を責め続けて傷ついている。

 それなのに、俺はこの気持ちから逃げだそうとしてて……


「ああぁあぁぁぁっ!!」


 思わずほとばしらせた絶叫。

 俺、最低だ。

 悩んだ振りしながら、今だってあわよくば元の世界に戻れればとか考えてる……


 元の世界に帰る――


 たぶん、アル君の記憶を頼りにするなら、それはきっと可能だ。

 でも、それはアル君を見捨てる事に……


 そんなのは嫌だ。


 そう思ってるくせに、帰りたいって気持ちがずっと心の奥底で引っかかってて……

 父さんや母さんや姉貴、じぃちゃんとばぁちゃんに会いたい。ペットのもんじろうに会いたい。

 馬鹿なツレたちにも、会いたい……

 だけど、ソフィーの頃から俺の事をあんなに思い続けてくれていたアル君を捨ててなんて帰れない。


 だけど記憶の無い俺には、

 

 それは愛情なの?

 同情なの?

 

 ってもし聞かれても――


 同情、だときっと答えてしまうだろう。


 なのに、そんな風に考えれば考えるほど、思考の深みと言えば良いのか、ドツボに嵌まってくみたいで……

 自分が嫌になる。


「思い出したい、な……」


 気が付けば、思わずポツリと呟いていた。

 そして、さっきのおでこみたいに頬が赤熱していくのを感じる。

 思い出したいって、思い出したいって、


「思い出したいって何だよ!! それって、俺がアル君と、その、そうなりたいって思ってるって事じゃん!」


 うきゃあー><

 ちゃうねん! そうじゃないねん!!


「えっと、何がそうなりたいの?」


 いつの間にか入り口に立っていたアル君。

 目が合った瞬間、脳が奥から沸騰していく。


「う、うぅ……」

「リョウ、やっぱりまだどこか調子が良くないんじゃ……」

「ふしゃあぁぁぁぁぁっ!!」

「うわぁっ! 何で猫みたいに背中丸めて威嚇してくんのさ!?」

「うぅぅぅっ、しゃああぁあぁぁぁっ!!」

「猫の呪いはかかってないはずだけど……えっと、とりあえずご飯出来たんだけど……食べる、よね? さ、鮭は無いよ、大丈夫?」


 メッチャご飯食べた。

 えれぇ不味かった。


「あ~あ~」


 口の中がジャリジャリする。

 腹が減ってたから食べる事が出来たけど、アレの原材料は何だったんだ?


『ザリッ!! ……硬い(かって)

『あ、ゴメンねリョウ……ボク、ホントは料理はあんまり得意じゃなくてさ。食べられないなら、残して良いから……って、そんなこと言ったらどれもこれも食べられなくなっちゃうね』

『大丈夫、せっかく俺のために作ってくれたのにそんな酷い事しないよ。ほら、これだって中を毟って食べる異国のパンだって言い張れば全然イケるから!』


 とは言ったけど、あの料理(?)はアル君の事を知らなければ、俺に対する嫌がらせかと思うレベルで酷かった。

 ただ、フォローする俺にアル君が嬉しそうに笑ってたのが、すごく印象的だった。


『キミは、変わらないな』


 その言葉の意味は、たぶん俺が全部は見ていないアル君の記憶の中にある俺の言動……だったんだと思う。


 はぁ……


 たった数ヶ月でも、アル君には無くす事の出来ない記憶だったんだ。

 俺、愛されてたんだなぁ……


「って!」


 思わずニヤけていた頬を思い切りつねる。

 惚れさせてみろって言ったけど! 言ったけど!

 これじゃ俺から先に惚れちゃいそうじゃん!


「だあぁぁぁっ! きょえぇぇぇぇぇ!!」


 先に惚れるってなんじゃい!!

 惚れるって、惚れるって!!

 思わずベッドの上で七転八倒して暴れていた。


「はぁはぁ……前の俺もこうやって葛藤したのかな? それとも、まさか有り得ないとは思うけど、あっさり受け入れて雌落ちとか……いやいや、そんな事あってたまるか」


「リョウ、ベッドの上で枕と格闘しているところ悪いけど、ちょっと良いかい?」


「ほきゃあぁぁあぁぁぁ!」

「うわっ! そんな声裏返して驚かないでよ」


 驚きのあまりに思わず絶叫を上げてしまう。

 振り返ると、いつの間にかアル君が部屋の入り口に立っていた。

 と、見るとアル君が何故かしょんぼりとしている。

 う、そんな表情も可愛い……

 って、ちゃう! 可愛いとか思ってないからな!


「えっと、どうしたの?」

「驚かしたつもり無かったんだけどさ、何かリョウにそんな反応されたら、ちょっと胸が苦しいなって……」

「あ、や、そんな変な意味じゃ無くてね……」

「ごめん、リョウ」

「謝んなくて良いから! 俺が勝手に焦っただけで、アル君が悪いわけじゃないから!」

「あ……」


 アル君が、突然嬉しそうに笑った。

 うきゅうぅぅ、何だよ、その可愛い笑顔。

 メッチャ癒やされるんですけど。


「さっきも呼んでくれたけどさ、リョウにちゃんとアル君って呼んでもらえた事が、すごく嬉しくてさ」

「え、それだけで?」

「それだけなんかじゃ無いよ。もう、二度と手が届かないと思ったキミがボクの隣で笑ってくれている。そう思える事がこんなにも幸せなんだ」

「う、きゅうぅぅぅ」


 何だよ、オレよりも年下のクセに、クセに!

 会話のすき間にあっさりと口説き文句を入れてくるんですけど!

 ヤバイ、またドキドキしてきた。

 この動悸を抑えるために、誰か救心をくれ!

 でないとオレ、取り返しの付かない事になりそう。


「くんかくんか、ハァハァ……」

「あ、あの、リョウ? その、こんなに密着してくれるのは嬉しいんだけどさ、その、だから匂いを嗅がれるのは、ちょっと恥ずかしいかなって……」

「はうぁっ!」


 いかん、気が付けばまた無意識のうちについふらふらとアル君を抱きしめて匂いを嗅いでいた。

 あれ? 今思い出してみると、ウチの母さんも俺たちを抱きしめて匂いを嗅いでたような……

 な、何て業の深い日野家の呪いだろうか。

 

 そんなどうでも良い事を考えていると、アル君と視線が絡み合う。


 うぅ……

 見ればみるほど、何て綺麗な目の色をしてるんだろ。そして、クール系女子って言われれば普通に納得するぐらいカッコいい系の整った顔立ち。

 あかん、またドキドキしてきた。


「リョウ」

「な、何……」

「愛してる」

「ふぁ!? な、何でこんなタイミングで突然言うのさ!」

「突然じゃ無い。何度だって君に伝えたかった言葉だ。やっと分かったんだ……キミに出された問いかけの意味」

「問いかけ?」


 そんな記憶は無い。

 って言うか、記憶で見たこの少年は悲しいほどに孤高の天才だった。

 残念ながらハッキリ言って、そんな少年に問題を出せるほど俺の頭は良くない。

 そんな相手にかつての俺は、一体全体どんだけ傲慢な気持ちで問題を出したというか?


「この世界の果てを見たいって言ったボクに、キミは世界に果て何か無いって言ったんだ」

「えっと、言ったのかな? でも、たぶん、俺ならこの世界に果ては無いって言うと思う」


 だって、世界に果ては無いって教えてくれたのは……


 オレの父さんだったんだから。

 アレは、オレがソフィーと会えなくなって寂しくてずっと落ち込んでいた頃、父さんが何時かソフィーとまた会える、独りぼっちにならない『おまじない』として教えてくれたんだ。


『世界には、隠れられる端っこなんて無い。だから、大好きな人と必ずまた会える』って……


 いや、その時だけじゃ無い。

 父さんはオレが子供の時から、人が丸い地球の上に居る限り、どこかで巡り会えて繋がってるって教えてくれたんだ。

 だからオレは、ソフィーに、見せたかったんだ……

 この世界の、丸さってやつを。地平線と水平線が描く、優しい曲線を……


 今思えば、あのアニオタ父さんとは思えない、随分ロマンチストな言葉だと思う。

 どうせ、どっかのアニメの受け売りだろうけど……


「リョウ……ボクを見て」


 そっと俺の頬に触れるアル君の手。

 ドキリと、心臓が脈打つ。


「でもね、リョウ、やっぱり世界に果てはあったんだよ」

「え?」


「それは、キミが居ない世界だ……」


 世界に端っこなんて無い。

 隅っこだって無い。

 世界は丸いんだから。

 だからそこに隅や端を作り出すのは、何時だって人の心だ。


 時には自分が、あるいは他人が、冷たい心や孤独で隅っこを作り出す。


「ボクはキミを失うと思った時、初めて本気で人の神に祈った。どうか、何を失ってもキミを助けて欲しいって。そう、思っていたのに。無事でさえあればそれで良いって、それだけで良いって思ったはずなのに……」


 アルフレッドが俺の額に自分の額を重ねた。


「キミの中からボクが居なくなった事を知って、何もかもが終わった気がした。助かって嬉しかったはずなのに、キミの瞳がボクを見てくれる事が無いと知った瞬間、絶望に襲われたんだ。キミは、キミだけがボクの世界の中心だった。いや、世界そのものだったんだ」


 まるで、合わせた額からアル君の熱や思いが全部伝わってくるみたいで、


 鼓動が、早くなった。


「リョウ、キミと生きたいんだ。キミの居ない世界なんて、考えられない……」


 恥ずかしいけど、すごく嬉しい。

 告白も嬉しいけど、何より、いつも暗い顔していたアル君がこんなこと言ってくれるなんて……

 世捨て人みたいな生活をして、他人と関わる事を拒絶しないと生きられなかった彼が、俺を思って前を見てくれる。

 それが何よりも嬉しくて……




「アル君……オレ、()にも言ったけど、やっぱりアル君に会えて良かった」

「……え?」

「アル君の優しさを疑ってアル君を酷く傷付けた事もあった。でも、ロイのせいだなんて言わない。ごめん、あれはオレの迷いだったんだ。だけど、アル君が今伝えてくれたみたいに、オレもアル君との距離が遠くなったって勝手に思った時はさ、この世界で自分の居場所なんてどこにも無くなったみたいに寂しくて」

「リョ、リョウ……」


 呆然とするアル君にオレは飛び付くみたいに抱きついた。


「アル君……アル君だ!! 俺の、俺だけのアル君だ!!」

「思い、出して……くれた、の?」

「分かんない! 全部かは分かんないけど、アル君がアル君だって事は分かる! オレの、オレが大好きなアル君だって。やっと、会えた……」

「リョウ……」


 泣きじゃくるオレをアル君が抱きしめてくれる。

 こんなに近くに居たのに、すごく、遠回りした気がする。

 やっと、帰って来れた……


「あ、あれ? でも、確かアル君の師匠が、オレの記憶は古き時代にこの地を去った神の奇跡以外は、永久に戻らないって……愛の奇跡?」


 オレのすっとぼけた問いかけに、アル君が嬉しいような、困ったような複雑な顔で苦笑いした。

 そんな顔も可愛い。


「リョウ、ハッキリ言うけど先生はこの世界で古き神と呼ばれる存在そのものだ」

「へ?」

「かつて、リョウの世界も含めて全ての世界と全ての時間を滅ぼそうとした怪物に、数多の英雄達の頂点に立って指揮した英雄王。【神剣の至高王(ハイ・キング)】や【魔源の皇帝】なんて呼ばれる異次元過ぎる存在。この世界にある全ての宗教で英雄の中の英雄、いや、先生自身が神として崇められてる人だから」


 そう教えてくれるアル君の額に、そっと触れ、自分の額と比べてみる。


「うん、熱はないな」

「リョウ、久しぶりに心の再会を果たしたってのに、その反応はどうかと思うよ」

「や、えっと、だってさ、まさか目の前で手を差し伸べてくれた人が、『あたしゃ神様だよ』って言っても信じられ無いって言うか……」

「先生が自ら『あたしゃ神様だよ』とは言わないだろうけど。まぁ、リョウの反応も致し方ないかもね」


 う~ん、アル君ほどの子が絶対と崇拝する先生。

 そして、瀕死だった俺を助けてくれた人。

 ん? あれ?


「え? じゃあアル君先生が古い神様の一人だったとして、俺の記憶は何時でも戻せたってこと?」


 むぅ、揶揄われたたのか?


「そんな、可愛い顔で膨れないの」

「可愛い……えへへ」

「うん、その反応は間違いなくボクのリョウだ。ただ、先生の事は怒らないで欲しい。あの方はとてつもなく優しい方だけど、同時に凄まじく厳しい人だから」

「す、凄まじく?」

「ボク達じゃ想像も出来ないほど万能な力を持っているはずだけど、自分で何かを乗り越えられる人間以外に奇跡を与えたりは絶対にしないと思う」


 苦笑いするも、その声音はどこか誇らしい。

 絶大な信頼がそこにあるんだろうな。

 ちょっと、嫉妬しそうなくらい羨ましい関係だ。


「だから、たぶんこれは先生がボクとリョウに与えた試練だったのかなって」

「そ……っか。でも試練を乗り越えられたのは全部アル君のおかげだよ。アル君が、俺を探し続けてくれたから、俺を諦めないでくれたから、俺は思い出す事が出来た。アル君、愛してる……」

「リョウ、ボクもだよ……」


 唇と唇が近づく。

 アル君の吐息が懐かしい……

 だけど、


 俺はアル君の胸を押さえ、その動きを止めた。

 アル君の瞳が悲しみに揺れる。

 

「リョウ、何で……」

「ごめん、キスが嫌なんじゃ無いんだ。俺、先にアル君に謝らないと。だってアル君、もう長く生きられないって……俺のせいで、俺に命を分けたせいで……」


 こんなに好きになった子にやっと会えたのに、俺のせいで……

 情けない。泣いたところで何が変わる訳じゃ無いのに、涙が止めどなく溢れて落ちる。


 そんな俺をアル君は抱き寄せると荒々しく口付けをした。


「リョウ、キミはボクの恋人だ自分の守るべき人のために命をかけるのは男の本懐だよ」


 うきゅ~……

 ぬ、濡れる……


「って、アル君はそう言ってくれるかもしれないけど、でも、好きな人に先に旅立たれるとか嫌だよ……」

「……リョウ、ここから先の事は冷静に聞いて欲しい」

「え?」

「出来れば、その、先生を怒らないで欲しいんだ」

「怒るだなんてそんな! だって、アル君の尊敬する先生だし、オレにとっても命の恩人だよ?」

「先生は嘘は言わないけど真実を全て教えてくれる訳じゃないんだ」

「へ?」

「だから、ボクの寿命でリョウの肉体を再生した事でボクの寿命がほとんど尽きかけたのは真実だ。でも、その事でボクはリョウと命の共有化をしたんだ」

「共有化?」

「そう、だからボクの寿命はボクだけのものだったら残り僅かだけど、キミと命の回路で繋がっている間はボクとキミの時間は同じだけある。分かりやすく言えばキミのエルフとしての寿命と等分しただけはあると思うよ」

「え? それって……」

「まぁ、エルフ族の寿命がおおよそ1000年ほどと言われてるし、キミみたいなハイエルフになればさらに寿命は未知数。等分したとしても、呆れるほど長く二人で居る事が出来、うわぁっ!!」


 思わずアル君に抱きついていた。


「リョ、リョウ、苦し、い」

「それじゃ俺、アル君とずっと一緒に居られるんだな!」

「ぐ、ぐるじぃ……」

「アル君、アル君……」

「リョウ、お、っぱい……が……」


 ガクン、と崩れ落ちたアル君。


「ふぁっ!? アル君、アル君! せっかく会えたのに死んじゃ嫌だあぁぁあぁぁぁっ!」

お読みいただいている読者様、本当にありがとうございます!


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