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終わりゆく世界に紡がれる魔導と剣の物語  作者: 夏目 空桜
第三章 アルフレッドの世界
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アルフレッド・自分が守るべき者

11/08~10に投稿した『格好悪くても』『敗北を植え付けた悪竜』『自分が成すべきこと』の3話を結合し表現を中心に改稿しました。

 誤魔化せもしない強がり。

 冷静を装えば装うほどに……

 脆く腐り果てた鉄から錆が剥がれ落ちるみたいに、自分の中の弱くて情けない姿が外に晒されている気がした。


 自分が弱い――


 そんなのは、とっくに気が付いていた。

 他人と交われないクソガキが、他人を遠ざけることで強くなったふりをしていただけ。

 そんなバカが、すがり付く相手を見つけて強くなったつもりになっていただけだ。

 自分じゃ何一つ変わっていないのに、貰い物の勇気を笠に着ていただけ。

 酷い吐き気がする。

 目の前にはヘドロみたいな闇がへばり付いていた。


 ああ……


 当たり前に触れ合えると思っていたキミが、ほんの数メートル離れたところに居るキミが、

 そこに居るはずなのに、

 それが――


 とても遠い。


 手を伸ばしても、まるで手のひらですくい上げた水がこぼれ落ちるみたいにキミの心が離れていくのが分かる。


 いらない、

 知らない、

 どうでも良い、


 そう言い放てれば、どんなに楽になれるんだろう?

 でも――


 それが出来無いから、ボクは立ち止まっている。

 苦しんでいる。


 まるで、どこかで誰かがあざ笑っているような、そんな妄執にさえ取り憑かれていた。


 ……

 …………

 ………………


 冷静になれ。

 そう自分に言い聞かせたつもりが、いつの間にかボクの意識は散漫になっていた。


 それは、39階層で野営の準備中に起きた。


 警戒魔術を使用したはずだったのに、それはそこに居た。

 いや、これは言い訳だ。

 ボクのせいで、良が四足の魔獣に襲われた。

 とりあえず仲間達のおかげで事無きを得たが、一歩間違えていれば良は死んでいた。


 ……頭に、血が上った。


「リョウ!!」


 ロイと失敗の傷をなめ合うみたいに談笑する良に苛立ちを隠せなかった。


「怪我は無い!?」

「え? あ、うん、大丈夫、だよ」


 命の危険が伴っていたのだ。

 心配やねぎらいだけではダメなのは確かなんだ。


「な、何?」

「何って……キミ、一歩間違えたら死んでたんだよ! ボク言ったよね、慎重に慎重を重ねて進んでくれって……」

「……ごめん」


 だけどこの時のボクは、

 最悪なことに感情的になっていた。


「ここから先、一瞬の油断が命取りだなんだよ、今までみたいには行かないんだ!」

「うん……」


 そうじゃない、そうじゃないだろ……

 そう、叫び続ける自分の心の内とは別の感情が起伏していくのが分かる。

 最初の失敗はボクだ。

 ボクが油断なく警戒していれば、良をこんな危険な目に遭わせることは無かったんだ。

 いや、そもそもここに連れて来るという選択肢そのものが間違いだったんじゃ無いのか?

 自分への不甲斐なさ、思慮の足り無さ……

 後悔という念が鎌首をもたげたボクの心を締め上げる。

 自己への反省は自分の中で押さえ込まなければいけない。

 他者への注意も同じだ。

 苛立ち紛れの感情なんかぶつけちゃダメなんだ。

 そんな当たり前のこと、分かっていたはずなのに……


「いいかい、リョウ。ここからは本当に――」

「……うるさい」

「え? リョウ?」


 一瞬、何を言われたのか分からなかった。

 ……いや、理解しようとする思考をボクの感情が拒絶した。


「次からは気を付けるから……」

「ねぇ、リョウ。 この間から様子がおかしいけど、どこか調子が――」

「うるさいな! ごめんって言ったじゃん! ほっといてよ!!」

「……え?」


 その時、ボクはどんな表情(かお)をしていたんだろう?

 分からない……何も、分からないんだ。

 ただ、キミが離れていくのがこんなにも切なくて、苦しいだなんて考えもしなかった。

 永遠や絶対なんてあるはずも無いのに、ボクは何を勘違いしていたんだろう……

 無くしてから気が付く……

 嗚呼、何て愚かだったんだ。

 そんな、苦い後悔に打ちのめされた日から、また数日が過ぎた。

 切り替えなんて出来やしない。

 ただ、無理矢理に思考を閉ざし考えないようにしているだけ。

 そんな状況でも戦闘は苛烈さを増す。

 でも……

 その歩みは止まらない。

 そんなささくれだった感情でも、歩みを続ければ目的地に辿り着く。

 ボクにとっても、このパーティの重戦士達にとっても、因縁深き59階層の悪魔へと続く階段に。


 パチパチと音を立てては爆ぜる焚き火。

 もしもがあれば、人生最後になるかもしれない野営。

 

 良の声が聞きたかった。

 ただ、そう願って、


「あのさ、リョ」


 振り絞ったなけなしの勇気は、だけど――


「リョウた~ん! さっきのオクトパスツリーの枝持ってきて。塩で煮るから~」

「あ、うん、りょうか~い」


 チラリと視線があった、気がした……

 それだけ。

 ただ、それだけ。


「どうしたんやリョウさん? そんなとこに突っ立って? ほら見てみ。今その壁に生えとった洞窟キノコを採ってきたんや。ええ出汁出るから鍋にして食わんか?」

「ジョー殿、私もついでに洞窟タケノコを採ってきましたので、天ぷらにして食べましょう」

「ええな、キノコタケノコ戦争や!」


 賑やかな声に囲まれているのに、ずいぶんリョウの声を聞いていない。

 まるで自分など端から居ないみたいに進んでいく時間。

 まずいね……情けないけど、本気で泣きそうだ。


 もう、この塔に来た目的も全て放り投げて、逃げだしたい気分だった。


「目的、か……」


 この古の塔には遙かな太古の英知がある。

 何より、先生がいる。

 ここに来れば良が望んでくれた女性で有り続けるという安心が得られるかと思った。

 だけど、どうなんだ?

 今の良はそれを本当に望んでいるのか?

 望んでくれているのか?


 わからない、考えたくも……ない。


 動き出した帝国、にわかに感じるきな臭さ。

 そして、良の自分自身への不安……

 ボクへの感情がとっくに消えているなら、もう、向こうの世界に帰りたいと願っているのかも知れない。

 もし……もしも、そうだったなら……


 ボクは、その背中を押すべき何だろうか?


 それとも、格好悪くてもその手を握り続けるべきなんだろうか?

 そんなことを考えていると、ろくに寝られないまま夜が明けた。


 目の前にポッカリと口を開いた魔へと続く上り階段。

 ここに立つまで頭にはモヤモヤとした膜がかかったままだったが、すでに肌を刺すようなおぞましい気配を前に、ボクの心は風の無い日の湖面のように静まりかえっていた。


 鮮烈な敗北を植え付けてくれた怪物。

 進化の枠からはみ出したこの世ならざる超常。

 形容詞を付けようと思えば、臓腑が凍てつくようなモノばかりが貼り付く悪夢のような存在。


 それに再び、挑む。


 ボクの役目は59階層の悪魔を確実に討伐すること、そして良を生きてこの塔から帰すことだ。


 いや、二つも望むまい――


 良が生きてこの塔から降りられればそれで良い。

 自力での討伐は、あくまでボクの希望に過ぎないのだから。

 振り返れば、パーティもまた出陣を前に高揚よりも緊張が支配していた。

 これが新人ばかりならマズいかも知れない。

 だけど、このパーティの構成なら、このぐらいの緊張感はちょうど良い。


 無駄なノリも無駄すぎる緊張感も必要無い。


 ボクたちは互いに目配せすると、まるで大砲から弾が飛び出すみたいにして駆け出していた。

 千段を超える石畳の階段。

 光刺す出口は遙か彼方。


 それでもなお突き刺すような悪魔のプレッシャー。


 Vaoooooo!!


 それは、薄暗闇を切り裂き轟いた咆哮。


「ッ! ナージャ! 障壁全力展開!!」


 ボクの指示と同時にナージャが生み出す魔術の盾が前方に展開する。

 次の瞬間、網膜が焼け付くほどの赫い光が視界を舐め尽くした。


「クソ、彼奴奴(きゃつめ)ッ! よもやこんなにも早く気付きよるとは!」

「ちょっと! 下層狙いの攻撃してくるなんて聞いてないんですけど!」

「アルハンブラ様! この炎、私の魔術じゃ、防ぎ……きれない……」


 口々に聞こえてくる悲鳴にも似た叫び。

 このままじゃ辿り着くどころかそれ以前に焼き殺される。

 ズダ袋から素焼きの小瓶を取り出し階段に叩き付けた。

 硝子質の砂が赫い光に煌めく。



 大地よ大地 我が母よ 我は汝が子なり

 たとえ血の一滴繋がらずとも 我が肉は貴女の賜なり

 紡がれし時の恩恵の一欠け一紡ぎ 貴女の子に貸し与えたまえ

 我は母なる大地の精クローディア 貴女に助けを請う者なり


 クリスタルウォール――


 小瓶から溢れた砂を触媒に生み出される硬質な結界がボクたちを包み込む。

 現存する魔術の中では最高峰、現代ではおそらくボクだけが使えほとんどの者が知らない最高の結界魔術。


「クリスタルウォール……流石ねアルキュン、こんな魔法レベルの防御結界まで使えるなんて」


 ?


 一瞬、感じた違和感。

 だが、そこに思考を切り裂いてはいられない。

 まずは現状からの脱出が優先だ。

 気を一瞬でも抜いたら消し炭にされてしまう。


「安心するのはまだ早い! この結界でもどれだけ持つか……あと数十メートルも走れば59階層には到達する。到達したらすぐに周囲の確認! それぞれ得意とする場に陣取れ!」

「しかし、アルハンブラ殿! 敵がこの階段を火炎で狙撃するということはすでに入り口に陣取っているのでは?」

「その可能性も0では無い。だが、この炎は遠隔操作型だ。ボクたちのことはすでに気が付いているが、入り口からは直接狙撃出来ない場所にまだ居るみたいだ!」

「確かに、あの悪魔が私たちを直接狙える所に居るのなら、もっと強力な魔法を使って消し飛ばしているでしょう。今度こそヤツの生態を暴き、私の知の糧にしてみせます!」


 恐怖に何時飲み込まれてもおかしくは無い状況。

 それなのに、戦闘とはほど遠い学者の身でありながら驚愕すべきはこの探究心という名の勇気。

 こう言う状況でこそ強くて当たり前と思われる戦士の勇気より、知的好奇心に貪欲な者の勇気が支えになることがある。

 仲間に選んで正解だった。


「気合いが入ったみたいだね。さあ、そろそろこの火炎も直に止まるはずだ! 消えたらボクが先頭を走る! 最後衛はナージャ! 目標は二波が来る前に登り切り各自展開! 二波が来るまでに間に合わなければボクの魔術とナージャの魔術で再度防衛! だがそれはじり貧を招く最終手段と知り、各自全力を尽くせ!」


 ボクの指示と同時に、仲間達の喊声が上がる。

 その喊声に押されたみたいに辺りを舐め尽くした炎が消えた。


「今だ!!」


 仲間達が一気に加速する。

 

「うああぁぁああぁッ!」


 己を鼓舞する良の咆哮が聞こえた。

 滾る叫びは生への執着の証し。

 ますますヤツの気配が強くなるこの瘴気の渦の中ではそれが正解だ。

 心を折れれば、あっという間に死の濁流に呑み込まれる。

 最後まで折れない生への渇望だけが生き残るただ一つの道だ。


「ッ!」


 瘴気の高まりを感じる。

 だが、一度付いた加速は止まらない。

 一気に最後の段を蹴り上げる。


「飛べっ!!」


 咄嗟の指示でも、良が、皆が遅れずに反応してくれた。

 地べたを駆け抜けた白い稲妻。

 鼓膜を破裂させんとばかりに震える音の波。

 ボクの視線は薄暗い空に釘付けになった。


 この気配、まさに暴力の化身、


 ――蜃気楼の塔 59階層に巣くう悪魔《暴食竜ソウルドレイク》――

 DATA:《All unknown》


「……やはり、か。認めたくは無かったけど、本当に滅びてなかったのか」


 砂埃にまみれた陽光の下にソイツは居た。

 先生から話に聞いていたソウルドレイクの不死性。

 まさかとは思ったが、あれほど細切れにされながらもまたその命を回帰させて存在し続ける不滅の暴力。

 ズクンと、脳裏なのか心なのか分からないどこかが、何かを穿たれたみたいに震えた。


「今更だけど相変わらず塔の中だとは疑いたくなる光景よね」

「なあ、マッシュ殿。ヤツはどこに潜んでいるんだ?」

「出た瞬間に出くわすと思ったけど、姿が見えないなんてちょっと肩透かしよね」

「何を言っている……ヤツならすでに我らの目の前に居るぞ」


「「「「「ッ!?」」」」」


 ボクと前衛二人に遅れて気が付く仲間達。

 皆の喉から、ゴクリと乾いた音がなる。

 どこかドラゴンを思わせるフォルムながら、狂人がデザインして生み出したような禍々しい全容。

 仲間達が恐怖に飲み込まれていくのを感じる。


「皆! あの目には最大の注意を!! 命を無駄にするな、奥の上り階段を背に戦うんだ!!」

「あのクソ憎たらしい目、先に叩きつぶしてあげるわよ! 風よ味方しなさい!!」


 恐怖に飲まれたシャルが速射で放った矢の嵐。

 ギョロリと動いた巨大な眼球。


 まずいっ!


「転身!!」


 言葉少なに放つことしか出来無かった咄嗟の指示。

 ソウルドレイクに襲いかかった矢が、あろうことか物理法則を無視して突然180度向きを変えその勢いのままに降り注いだのだ。

 リョウは……良かった。

 地面に這いつくばっているけど、無傷で躱せたみたいだ。


「ご、ごめん……あたし」


 シャルが蒼白になって震えていた。

 だが、皆どうやら無傷のようだ。

 なら、反省は後からすれば良い。


「気にするな! だが、これは教訓だ。ヤツには生半可な攻撃は通じない! 一撃一撃、全霊を込めて迎え撃て!!」


 矢継ぎ早に指示を飛ばす。



 天雷よ、我らが敵を纏いて穿て グローム ラ リェーゼ!



 ナージャの朗々たる詠唱。

 付与魔術の中でもずば抜けた破壊力を持つ力、【神の鉄槌】とも呼ばれる青白き輝きがマッシュの武器に宿る。


「雷の恩恵か!」


 髭を振るわせ雷神さながらにソウルドレイクに襲いかかる。

 その様、まさに羅刹の如し。

 強烈な放電を巻き起こしソウルドレイクの尾が吹き飛ぶ。


 DOMGOOOOOO!!


 命あるモノなら、まさに致死性となる一撃。

 だが、ソウルドレイクは切断された尻尾と同時に苦悶の咆哮を上げるだけ。

 攻撃を何度繰り返そうが、効いていないと言いたげにすぐさま迎撃態勢を取り襲い来る。

 だが、この程度の攻撃で散るならこっちも端から恐れちゃいない。

 ああ、どうせ怯みさえせずに噛み付いてくるのは予想していたさ。

 だから、これはボクからのプレゼントだ。

 貴様に敗北したあの日から、ずっと練り上げていた取って置きだ。



 天地交差せし六つの道に押し寄せよ 深淵の風



 ボクの背後に、幾重にも太い鎖が撒きついたブロンズ色の巨大な扉が召還された。

 現世に縛られた異形(ソウルドレイク)

 滅ぼすのが叶わないならこの世界から追放すれば良い。

 それだけだ!

 喰らえ!!


 |《開け地獄の門》ヴェルグ・マンユ!!


 解き放たれた解錠の呪禁。

 重々しく錆び付いた音を奏でながら開こうとするそれは、しかし、鎖に邪魔され僅かに開くだけ。

 だが、これで十分だ!

 コイツは魔術で使役出来る、極上にして最上級の魔物の()

 それ以上を具現化すれば制御など叶わぬだろう異界の魔物だ。


 行けッ!!


 扉から染み出した(・・・・・)腕がソウルドレイクを鷲掴みにする。

 

 VAOOOOOMUUUU!!


 扉の向こうに引きずり込まれまいと咆哮を上げて抵抗するソウルドレイク。

 肉が引き千切れ、悪臭の如き血飛沫が舞い散った。

 鬩ぎ合う異形と異形。

 だが……


「何てこった……」

 

 この化け物の力は、ボクの予測のさらに上を行っていた。

 あろうことか、異界の門より召喚された異形の手は、異形そのものとしか思えないおぞましき竜の顎に貪り喰われていた。


 グチャリグチャリと、獣が腐りかけの生肉を咀嚼するみたいな耳障りな音。


「馬鹿な……足止めにもならないというのか?」


 あれほど研鑽に研鑽を重ねた力さえもが、こうもあっさりと蹂躙されるのか?

 古の英知が、禍々しい獣に蹂躙される……

 それは、まるで一つの文明を破壊し尽くした古の獣のようでさえあった。


 絶望が脳裏を支配し、思考を拒絶するみたいに凍て付いていく。


「……いや、まだだ。落ち着け!」


 そうだ、少なくともソウルドレイクに傷は負わせることは出来た。

 良を、皆を逃がす時間ぐらいは稼げたはずなんだ。

 

 なら、敗軍の指揮官の役目はただ一つ。

 

 勝利を夢見て届きもしない勝利(ゆめ)にすがり付くことじゃ無い。

 ましてや絶望なんて最も愚かな行為だ。

 勝てないと判断したら、犠牲を最小限に抑えるべく速やかに撤退の指揮を執らねばならない。


 だが……


 ボクの思考はその光景を前に粉々に打ち砕かれた。

 突如ソウルドレイクの足下に霧の如く暗紫色の瘴気が立ち籠め、ズタズタに引き裂けたはずの傷痕が見る間に癒えていくじゃないか。

 いや、それだけじゃない。

 切断されたはずの尾さえもが、まるで何事も無かったみたいに再生していく。


 ボクは、何を勘違いしていたんだ?

 先生が剣1本で倒せたから、自分も全力を賭せば倒せると勘違いしたのか?


 次元が、違いすぎた……


 この塔が難攻不落の理由。

 それは、ボク如きが到底踏破出来るような、世界じゃ……


 ッ!!

 まただ、またボクは泣き言に身を任せるつもりか!!



 バオル…… ヴァオル…… ラ……ゴート……



 ソウルドレイクが異界の魔法を構築しはじめる。

 泣き言も、絶望も後悔も、死んだ後にでもすれば良い!

 ボクが……ボクがすべきは!!

 無様でも惨めでも生にすがりついて、生きて……良を生きて帰すことだ!


「総員防御姿勢!!」


 ボクに続いてナージャが魔術障壁を展開し、ガイアがミスリルの盾を前面に押し出し三重の障壁を構築する。

 それは間違いなく、今出来る最高の防衛手段。


 完成と同時であった。

 網膜が焼け付くほどの黒き光が――


 放射された。

お読みいただいている読者様、本当にありがとうございます!


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