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終わりゆく世界に紡がれる魔導と剣の物語  作者: 夏目 空桜
第二部 第四章 降り止まぬ雨
260/266

高揚

短いですが、更新です

中四日で更新した!

遅い?

サーセン!!

デュフフフフ←テンション高め

 赤々と燃える暗闇に黒曜石の矢が無数に降り注ぎ、疾風と化した戦士が殺戮蟻に斬り込む。

そして、ソレ(・・)は有り得ないほどにあっさりとした結末を迎えた。

 圧倒的だった。

 ただただ圧倒的としか形容がしようのないほどに圧倒的な勝利であった。


「あ、あれほど、あれほど我々を苦しめた蟻が、こんなにも呆気なく」


 それは黒エルフ(スヴァルトアールヴ)の誰かがポツリと放った言葉。

 祖国を蹂躙した忌むべき怨敵だ。

 仇の一つは討てたが、喜びよりも湧き上がる別の強い思いがあるのだろう。

 とは言え、あの集落を出た直後の私たちだったなら、こんな一方的蹂躙とも言える勝利を収めることは出来なかった。

 ここに到着するまでの間に、アルくんが蟻との疑似訓練を経験させてくれたおかげだ。

 ……おか……げ?

 あの過酷な戦闘が疑似訓練?

 くん……れん?

 背中に冷たい変な汗が流れ落ちる。

 敵地に攻め込むというのに寝ている魔獣やはぐれ蟻に跳び蹴りかまして強制的に戦わせられたことには間違っても『おかげ』などとは言いたくはありませんけどね。

 ありませんけど……

 それでもあの滅茶苦茶な強制修行がなければこんな圧倒的な勝利は出来なかっただろう。


「ファ、ファフナ殿……」


 スピラさんが震え声でこちらを見てくる。

 私たちアールヴは理性でこそ抑えているが元々好戦的で高慢な種族だ。

 苦々しさを覚えども圧倒的な勝利を手にすれば、


「まさか、私たちでコイツらに勝てるとは!」

「そう、ですね」


 当然、勝利の実感とともに湧き上がってきたのだろう高揚感は隠せなくなりますよね。

 ましてや、敵は西国ではすでに伝承の中で悪夢と化している殺戮蟻。

 コイツらの恐ろしさと異常性は少し考えればわかる事だ。

 普通サイズの蟻ですら強靱な生命力を持ち、少し噛まれただけでも激しい痛みを覚える。

 それが人体と変わらぬサイズで、昆虫特有の繁殖力に物を言わせた圧倒的な物量で昼夜問わず地面から這い上がってくる。

 そんな殺戮蟻に怪我人一人出さずに勝てたのだ。

 高揚するな、と言う方が無理だろう。

 だけど、士気が高いのと浮かれるのは紙一重。


 まだ迷宮攻略は始まったばかりだ。


 圧倒的な勝利に浮かれれば敵に足を掬われかねない。

 どうする?

 下手な言葉は士気を殺しかね――


 あ、そうだ。

 なんだ簡単じゃ無いですか。

 鼻をバキバキにへし折りながらそれでも自分たちは必ず勝てるという安心感を与えれば良いのだ。


「スピラさん」

「はい!」

「私たちは村を出てからかなり強くなったはずです」

「ええ、このまま一気に森を取り戻しましょう!!」


 うん、わかりやすく調子に乗ってらっしゃる。

 ですが、それもここまでです。


「あれを見て下さい」

「あ、あれ?」


 指さす先。

 そこに居るのは漆黒の暴風或いは赤を纏った処刑人。

 そんな恐るべき形容詞しか見当たらない少年の姿があった。

次回はアルくん無双します。

たぶん←予告したらその通りになったことがないヤツ

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