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終わりゆく世界に紡がれる魔導と剣の物語  作者: 夏目 空桜
第二部 第三章 アルトリアの未来
198/266

衛士ファフナ、戦慄する

メッチャ早く更新したぜぃ( °꒳° )フンスッ!

とか思ったがそんなことはありませんでした。


「あの、もしかしてですが……僅かと言えるかどうかも分からない男女差の体つきでその方の性別を確信したんですか?」

「体つきじゃない」

「え?」

「骨格の動きだ。男と女で一番の差異は骨盤の形状だ。立ち上がりや座る際の所作、座っているときの足の開き、座りながらの足の可動域。まぁ、意図して過酷な訓練でもしない限りは骨格レベルで騙すなんてできんよ」


 ゴクリ、と、耳障りなほど大きな音で喉が鳴る。

 それはまたしても襲撃者と同じ反応をした瞬間だった。

 それにしても誰が信じられるだろうか。

 いったいどれほどの観察眼が備わっていればそんな神業にも等しき真似が出来るというのか。


「ふん、女のフリして下劣な男共の油断を誘う。手段としては悪くないが詰めが甘いんだよ。ついでに言うと目を覚ましてからの演技、正確には寝たフリからの打ち解けるまでの演技か。余計な突っ込みを受けたくないから異常にテンションを上げて話してたんだろうが……残念、不自然すぎだ」


 容赦という言葉を母胎に置き去りにしてきたかのような理詰めの口撃。

 襲撃者が屈辱に震える。

 ええ、分かりますよ。ここまでさも当たり前のように説明していますが、いえ、確かに彼が語った一部の情報は我々アールヴの身体能力なら気が付くことが可能な事実ばかりです。

 ただ、可能は可能ですが……

 それは有り得ないほどの用心深さと、それを可能とする目利き(・・・)を相応の人数揃えて初めて可能なこと。

 どう考えても、一人でそれを行うなど不可能だ。

 ……とは言え、これは言い訳ですね。

 事実、この少年はその奇跡みたいな索敵をその身一つで行い、さらには襲撃者のあらゆる不自然さを看破した。

 私が気が付いたのは不自然な馴れ馴れしさだけ。

 いや、気が付いたと言うよりは演技にただただ圧倒されてただけ、か。

 有事においては凡才以下……

 彼の言葉の意味が、痛いほどに突き刺さる。


「化け物め……」

「化け物? ボクが化け物だと? はは、ボクごときが化け物か。それは随分となまっちょろい(しあわせな)環境で生きてきたみたいだな」


 どこまでも挑発じみた物言い。


「きさ……ッ!」


 ギチギチと鈍く鳴る歯ぎしり。

 今にも飛びかかりそうな雰囲気を纏いながら、だが、以外だったのは襲撃者はまるで勝ちを確信、いや全てを諦めたかのように笑ったことだった。


「ああ、認めるさ……貴様が途方もない化け物であることをなッ! だけど私ごときを圧倒した程度じゃどうにもならい存在が居ることを今に知ることになる!」

「それが……それが、お前達の背後(あるじ)なんだな」

「そうだ……今に分かるさ。どんなに優れた身体能力であろうと、そんな優れたなどという常識の範囲程度の力じゃ覆すことなど出来ない、力の高みに居る我らが主ア――――」


 ゴッ!


 硬い物を殴りつけた鈍い音と骨を打ち砕く鈍い音が幾重にも重なり辺りに響く。

 それは一瞬の出来事。

 襲撃者が自らの主と思われる者の名を叫んだ刹那。

 ああ、一瞬だった。それはあまりに一瞬だった。

 大地を疾走する黒豹、あるいは獲物めがけて急降下するハヤブサさながらに疾駆すると、そのまま振り抜いた拳が襲撃者の顎を打ち抜いた。

 人の身体がこんなにも……

 まるで怒りに任せて地面に投げ付けたゴムボールのようにバウンドして吹き飛ぶなんて、誰が想像出来るだろうか。


 視線の先では、うつ伏せのまま声一つ出さずに痙攣する襲撃者。

 そして、そこには――


 ゾッとするほど、暗い瞳で襲撃者を見下ろす少年がいた。

みじかっ!

前回・今回を合わせて丁度一話分くらいの長さなのは秘密中の秘密です。


そして次回、このタイミングで閑話の予定です

じじぃ、アゲイン!

ほんの少し秘密が語られるかもです。

(予定は未定)

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