衛士ファフナ、苛立つ(不足分)
前話の追加分というか、投稿忘れ分になります。
「貴方じゃ無いですか」
「何がだ?」
「………………『人道という観点も考慮に入れる』為に助言をしろと、耳を傾けてくれると誓ってくれたのは貴方です」
なのに、舌の根も乾かぬうちに撤回されるような発言……
お願いです。
あの時私に恩情をかけ、道を示してくれた貴方に憧れた私を失望させないでください。
ほんの少し離れた先には、手を伸ばせば届く場所には、助けを求める弱き者が居るんです。
「ま、生きてりゃ色々とあるよな。いや、ただボクの言葉が少なすぎるだけか……」
それは、ヒト種だったなら聞こえなかっただろう小さな呟き。
「ファフナ」
「はい」
「選択した以上は責任を持てよ」
「え? は、はい、もちろんです!」
「ま、何が起きてもお前はお前の信じる道を選べ」
それは、投げやりでは無い、どこか覚悟を決めたような音色を含んだ言葉だった。
そして……
「もしものときの尻拭いをするのは、上司の役目だしな」
それは、アールブの私の耳を持ってしても聞こえないほどに小さな呟きだった。
ただ、この言葉を聞き逃した事を私は一生後悔することになるだろう。
もしもこのとき――
「アルフォンス様、アルフォンス様!!」
歴史にifは存在しない。
それでも、そう言わずにはいられない。
こんな血まみれになった彼を抱きしめるような、この未来を変えられるのなら、何故あの時の彼の真意に気が付かなかったのか……
それを呪うばかりだ。
本日、もう一話更新します。
(これは一話とはいえませんからねぇ……)






