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終わりゆく世界に紡がれる魔導と剣の物語  作者: 夏目 空桜
第二部 第三章 アルトリアの未来
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衛士ファフナ、一万二千年前の真実に触れる・2

会話回というか説明回は、24bitしか容量の無い作者の脳を焼き尽くすには十分だと思う今日この頃です。

そしてポンコツが説明回に挑戦したらカロリーが足りなくなりました。

でも、お外が-20度とかとち狂った数字叩き出してるときに、ストーブに当たりながら食べるカロリー補充のアイスは「しふく~!」と叫びたくなるほど贅沢だと思うです。

ところで最近続いてる腹痛の原因はこの食べ過ぎのアイスのせいだと思う今日この頃です。


シャト〇ーゼのチョコバッキー旨すぎません?

「人類の敗北は目前。いや、誰の目にもすでに人類は敗北していた。星からは命の営みは消え、廃墟と化した都市跡には知性が腐り果てた怪物達が徘徊した」

「地上に生まれた地獄……ダ・ヴィンチはそんな化け物しか居ない世界で、何をしたかったんですか?」


 自分でも唇が震え、声がうわずっているのがわかる。

 何一つ共感も理解も出来ない、異常者。


「狂気という概念そのモノが人間の形を持って生まれてきた存在だ。ヤツが何を語ろうがヤツの本質もヤツの希望も、何もかもが理解出来やしないさ。ただ、人類はそんな化け物に蹂躙された、それだけが揺らぐことの無い事実だ」

「で、ですがそんな怪物に勝ったんですよね?」

「……勝った、か。そうだな、あれが勝利と言えるかは判断が分かれるところだが」

「判断が分かれる?」

「当時僅かに生き残った人間達は、救いの手を差し伸べることの無い神にすがりついた。その願いが、ある意味で届いたかどうかはわからない。だが、当時いくつかあった巨大宗教の中から選りすぐりの戦士達が立ち上がった」

「選りすぐりの戦士」

「百英雄と呼ばれた勇者達だ。とはいえ、敵は数十億のアンデッドに加え、数えることが馬鹿らしくなるほどの死獣の群れ。劣勢なんて言葉じゃ生ぬるい地獄。ただ、そんな未来の見えない戦場を覆そうと戦った戦士達の中で、最後まで強靱に戦い続けた三人の聖戦士達がいた」

「三人の聖戦士……」

「その中の一人が、英雄カーズの父親だ」

「ふぁっ!? え、え? 英雄王の父親もまた英雄……」


 ゾクリとした。

 それは、こんな荒唐無稽で破滅的な話を聞かされながら、覚えてはいけない高揚だった。


「とは言え、どれほど戦い続けようとも決して未来の無い戦い。絶望という名の刃が鎌首をもたげて首筋に当てられる……そんな戦況。だが、決して諦めなかった聖戦士達に奇跡が起きた」

「圧倒的劣勢を覆す奇跡とはいったい?」

「それはダ・ヴィンチが怨嗟とともに見限った神が聖戦士達に微笑んだのか、それとも信仰か信念の末かはわからない。だが彼らは確かには手に入れた、奇跡を起こす聖遺物を。そして改編した。ダ・ヴィンチが存在しない世界、そう正史をベースに瓜二つの酷似した偽りの世界、偽史であるこの世界を生み出した」

「偽史……生み出された世界。この世界が偽りの世界だとでも言うのですか!」

「正史と偽史で分けるならこの世界は紛い物だ。だが、この世界が真実であることには変わりないとボクは思っている」

「当然です! この世界で生きている私達が偽りだなんて、そんなこと絶対に言わせない!」

「ああ、ボクもそう思っているよ。だが、そんな思いもこの世界も、許さないモノがいた」

「ゆる、さない……モノ。そいつは、誰ですか」

「ダ・ヴィンチ」

「は? 何を言っているんですか、いま、聖遺物でダ・ヴィンチがいない世界に改編したって」

「それこそがダ・ヴィンチの神への復讐と言う名の呪いだったのかも知れない。【災厄の天才】と呼ばれた男は、【万能の天才】ダ・ヴィンチと呼ばれる男に生まれ変わり長い永い雌伏の時を過ごした」

「【万能の天才】……で、ですが改編後もダ・ヴィンチを名乗っていたなら、討ち滅ぼすことは出来なかったのですか?」

「正史でヤツの名が知れ渡ったのは二十世紀。偽史でヤツの名が確認されたのは十五世紀頃。時間軸にあまりも差があった。もしかしたら正史でもヤツは十五世紀から生きていたのかも知れないがそれを確かめる術はすでに無く、偽史においては芸術家にして天才という名を後世に残すだけの存在だった。何より、改編後の世界で正史の歴史を覚えている者は三人の聖戦士とごく僅かの者達だけ」

「時間という壁が確認する術を無くし、真実を訴えるには人少なし……ですか。あ、でも待って下さい」

「うん?」

「いえ、今更お話を疑っている訳ではありませんが、話しぶりからするとダ・ヴィンチの存在した時間軸に五百年ほど差がありますが人間……なんですよね?」

「ああ、ヤツは史上初めて寿命を克服した人間……ヤツを人間と表現して良いのかはわからないが、少なくともヤツにとって寿命とは意味の無い単語に成り下がっていたよ」

「寿命が意味の無い……つくづく天才、と言う訳ですか」

「……たぶん、お前が考えているのは不老の秘薬か何かを発明したとか考えているんだろうが、違うぞ」

「え、違う?」

「ダ・ヴィンチはただ強烈に拒絶しただけだ。死という概念を。ただ、それだけで不老という力を手に入れた」

「拒絶しただけで不老を手に入れたというのですか? そんなこと出来るはずが」

「ああ、ボクもそう思うよ。だけどそれを可能にした。それを可能にするほどの化け物だから、世界を二度も崩壊に導けたんだろうな」


 淡々とした物言い。

 話を盛るでも憎悪を滲ませるでも無く、ただ事実を言い聞かせるような声音。


「偽史……旧世界はどうやって滅んだんですか?」

「地面に穴を掘ったんだ」

「あ、穴? それだけ、ですか?」

「ああ、それだけさ。ただし、当時超大国と呼ばれた巨大国家の地底に眠る極大火山の眠りを覚ます為、だけどな」

「超大国の巨大火山」

「ああ、当時の人間達は近代文明を消滅させるほどの火山をスーパーボルケーノと呼んだらしい。そんな世界に終末を呼ぶような危険な火山をヤツは掘り起こした。そして呼び起こされた悪夢は赤い津波となって海を干上がらせ、吹き上げた火山灰は太陽を覆い尽くし夏を失った日々が何年も続いた」


 そこまでを話すと、腰から水袋を取り出し結構な量を一息に呑み込んだ。


「ま、ここまでがこの世界の成り立ちだ」

「……正直、言って良いですか」

「信じられんよな」

「はい。だけど、私の中のどこかが、手では触れられないもどかしい場所が、真実だと訴えかけているんです」


 私の言葉を聞くと、彼は水袋の全てを飲み干した。

 まるで緊張しているかのような雰囲気。


「さて、ここからが四部作のうちの第二部だ」

「こんな濃密な話を聞かされてるのに、まだ第一部だったんですね」

「ああ、三部は短いんだがな」

「そう、何ですか?」

「ああ、一番長くて一番短い。だって、この世界に生きてるなら誰もが知ってる話だ。脚色の加減はあるだろうが、概ね英雄達が【刻喰らい】を滅ぼし【宵闇の国】ディーザを滅ぼした、だからな」

「な、なるほど、それなら詳しくは聞かなくても、この世界に生きる者達なら子供でも知っている英雄譚ですね」

「ああ、だからお前達アールヴにとってもっともキツいだろう話は、第二部になる」

「私達限定なんですね」

「……ま、正確に言えばこの世界に生きる全ての者達にとって悪夢とも言える話だろうな」


 そう言うと、どこかひりつくような雰囲気が消えた。

 まるで、全てを俯瞰するような、そんな達観した感じさえする。


「なぁ、鳥と猿は交配出来ると思うか?」

「は、はい? 何ですか、突然」

「鳥と猿は交配出来るかって聞いたんだ」

「あ、聞き間違いじゃ無かったんですね。えっと、それは無理ですよ。卵生と胎生ですよ」

「ああ、そうだな。なら同じ卵生と卵生、鳥と魚は交配出来るのか? 胎生同士である猫と豚は?」

「……すいません、私の答え方が悪かったですね。そもそも種が違いますから交配は不可能です」

「ああ、犬と虎が交尾しようと、人と猿が交尾しようが交配種は生まれない」

「ん……一体、何の話ですか?」

「だけど不思議に思ったことは無いか? 人間と獣人は見た目がまるで違うのに子を成すことが出来る」

「そ、そうですね」

「獣人とアールヴはどうだ?」

「か、可能です」

「見た目はだいぶ違うのにな」

「そ、そうですね」


 なんだ、何を言おうとしているんだ?

 ドクドクと心臓が脈打つのがわかる。

 この先を聞くのは危険だ。

 自分で真実を求めながら、心が拒絶を始めていた。

読者の皆様、本当に寒い日が続いています。

風邪など引かぬよう暖かく、そして免疫力を落とさぬようお早い就寝をオススメします。


まぁ、あまり早く眠りにつかれても、深夜更新型の本作は読んで頂けないという寂しい事態ではありますが、とにも! お身体を大事に過ごされたらと思っております

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