表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
122/266

TSヒロイン・幸せになる!

2020/01/15に投稿した『TSヒロイン・幸せになる!』を表現を中心に改稿しました。

 カーズさんが消えて、アル君はどれほど泣いただろうか。

 一生分の涙を流したんじゃないかと思うほど泣いて、泣いて……


 今、私の膝の上で泣き疲れて眠っていた。


「ん」


 小さな唸り声。

 アル君の柔らかな前髪を撫でてあげる。


「起きた?」

「リョウ……ごめん。キミを幸せにするって誓った日に、泣いて……」

「バカ……」


 それは、どこまでも優しい強がりな言葉。

 それが他の人だったなら『相手を気遣うための言葉』、それで終わる話。

 だけどアル君は違う。

 どんな時だって、自分より(・・・・)も私を優先する。

 私を愛してくれているからなのは分かっている。

 分かっているんだけど、だけど私は……

 私はアル君が私を気遣ってくれるよに、自分自身の事ももう少し見つめてあげて欲しいと思ってしまう。

 アル君は自分を省みない。

 私のためだったら、本気で自分の命を投げ出すことさえ厭わない。

 そして、どんなに痛くても、辛くても、自分の中でその感情を押し殺してしまう。

 それが原因で、病んで壊れたのに……


 だから、もう二度と迷わないようにいっぱい話し合った。


 でも人間の本質なんて、すぐには変わらない。

 いや、もしかしたら一生変わることは無いのかもしれない。

 幼いときに大人に傷つけられた心の傷は、ふとした瞬間に目を覚ますのかも知れない。

 ただ、自分の闇と上手く折り合いを付けながら世間と付き合って居るだけなのかも知れない。


 だけど、それじゃあまりに悲しすぎる。

 一人の少年が背負うには、あまりに残酷だ。


 だから、これは私の使命だ。

 私だけが

 キミが自分自身も愛せるように、


 いつか自分自身のためにも泣いてあげられるように……


 そう言えば……

 アル君の髪を撫でながら、ふと思い出す。昔、私が今よりも子供だった頃、母さんに聞いた話だ。

 お父さんを怒らせちゃダメだよ、って。

 当時、やんちゃばかり(ガキ大将に木の上から跳び蹴りしたり木から落ちて大怪我したり)していた男の子だった私に怒った母さんが、父さんに本気で怒られるわよって叱られたことがあった。

 そん時だったよな、昔の父さんのことを話してくれたのは。

 今のあんな(・・・)残念な感じに仕上がった父さんしか知らない当時の私にはまったく信じられなかったけど、昔の父さんは相当荒れていたとのことだった。

 私をいつも可愛がってくれた勇次伯父さんも昔はかなり悪かったらしいけど、父さんもそれに負けじと酷かったらしくて毎日大立ち回りの喧嘩三昧だったとか。

 ……あの頃は父さんのことをアニメヤンキーとか笑ってたけど、こっちの世界でヤカラ感丸出しに暴れてた父さんを見たら何となく想像出来る自分がいた。

でも、そんな荒んだ父さんを魔改造し(こうせいさせ)たのは、間違いないく母さんや周りの人たちの力だったんのは確かなんだよな。

 ……うん、アル君は絶対に私が更正してみせる。


 私の愛の力で!!


 ……心の中でも、宣言すると恥ずかしいなぁ。

 でも――

  

 この気持ちは本当。

 譲れない、

 譲っちゃいけない、


 本当の気持ち。


 だから、これは私の誓いだ。

 アル君、私たち幸せになろうね。

 じゃなかった、絶対に幸せになるんだ!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ