表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
全マシ。チートを貰った俺の領地経営勇者伝 -いつかはもふもふの国-  作者: のみかん@遠野蜜柑
『領地経営』編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

83/207

第82話『ウハウハやりたい感じのアレですか?』






「魔王討伐は我輩の人生最後の仕事になると思っていました。それが予期せぬところで終わりを迎え……。恥を承知で国に帰ることも考えましたが、いっそ生まれ変わった気持ちで今までとは違うことに挑戦してみようと思いまして。ちょうどニコルコで新しい領主様が面白い改革をされていると聞いたので我輩も一枚噛ませて頂こうと、こうして売り込みに来たわけです」


 ほーん、老後のリタイヤ生活で新しい趣味を始めるみたいなノリか?


 どっかのゴリマッチョジジイみたいに飲んだくれるより何倍も建設的な思考である。


「ちなみにどうして追い出されたの?」


 共和国はマッシュルームカットの中学生が行ったところだったはず。

 自慰してたことを俺たちの前で暴露されてしまった憐れな少年。

 ゴルディオンジジイと同じようにハードな特訓でもやらせたんだろうか?


「我輩は勇者様の行動に異を唱えてしまったのです……」


 シルバリオン氏は表情を曇らせてそう言った。

 異を唱えた? 

 音楽性の違いみたいな理由か?


「勇者様は奴隷制度に不満をお持ちのようでして。この世界の奴隷制度を廃止させたいと仰っており、奴隷を見かけると購入しては解放するということをしておられました」


 へえ、マッシュルーム中学生は奴隷に優しい勇者様プレイをやってたのか。

 俺もベルナデットで堪能したっけ。

 懐かしい思い出である。


「ですが、あまりにも頻繁に買われるもので次第に旅の資金が尽きて立ち行かなくなりまして。他のパーティメンバーは勇者様に心酔している者だけでしたので我輩が諫めなくてはと思い、奴隷の購入を控えるよう勇者様に進言したのです。すると、奴隷を見て何も感じない冷酷な人間とは一緒に旅ができないと言われ――」


 なるほど、大体の経緯はわかった。

 まあ、なんというかね……。

 マッシュ中学生が奴隷に手を差し伸べたくなる気持ちはわかる。


 現代人の感覚だと奴隷はあってはならないネガティブな制度だからな。


 しかし、目に見える範囲の奴隷を何人か助けたところで所詮は自己満足の域を出ない。


 小さな積み重ねがいずれ大きな変革の流れに繋がるとしても、急務である魔王討伐に支障を出してたら口を挟まれても仕方ないんじゃないか?


 慈善活動をするために勇者パーティは用意されたわけじゃないはずだし。


「解放した奴隷はどうしてたんだ? 自由にされたって自力で生きていけるやつばかりじゃないだろ?」


「ええ、ですから彼女たちの面倒を見るために生活費を稼ぐことで手一杯となり、勇者パーティは魔王討伐の旅を進めることがほとんどできなくなりました。勇者様は王家や貴族に資金援助してもらえばなんとかなると話していましたが……」


 魔王討伐のために召喚した勇者が魔王討伐そっちのけで奴隷を買いまくり、挙句の果てに自分で管理しきれなくなって奴隷を養う小遣いを要求してくるとか……。


 共和国の人たちからしたら笑えない冗談だろうな。


「というか、彼女たち? 男の奴隷はどうだったの?」


「そういえば勇者様は男の奴隷は買っていませんでしたなぁ」


「…………」


 てっきり正義心ゆえの迷走だと思っていたが、男の奴隷を買わないってアレですか。

 ウハウハやりたい感じのアレですか?

 いや、紳士的な理由で最初は女性を優先してる可能性もあるっちゃあるけど。


 どっちにしたって手を広げ過ぎた尻拭いを他人にさせようとしてるからな……。


 その時点で思慮が浅いと言わざるを得ない。





「どうでしょうか? やはり勇者様のされることに口を挟むような年寄りは不要ですか?」


 シルバリオン氏は相変わらず厳めしい顔つきである。


 だが、瞳をよく見ると捨てられた子犬のようなウルウル感を出していた。


 ここでもいらないって言われたらどうしよう……そんな彼の不安がめっちゃ伝わってきた。


 落ち着いた雰囲気で話しているが、勇者パーティをクビにされたことは心の傷として残っているのだろう。


「ま、ゴルディオンも認めてるみたいだし、ウチの領地に仕官してくれるつもりなら喜んで迎え入れるよ」


 ジジイがチワワみたいな目をするな気色悪いと思ったのは内緒だ。


「左様でございますか!? ならばこの老骨、残りの寿命を捧げる覚悟でヒョロイカ様の領地発展に尽くしましょうぞ!」


 シルバリオン氏は眼に力強さを取り戻して俺の前に跪いた。

 なあ、その覚悟って本当は魔王討伐の旅に捧げたものだったんじゃないのか?

 彼の心情を考えると少しだけやるせない気持ちになった。





 何はともあれ。

 これで騎士団のトップは盤石の体制を築くことができた。

 まさか向こうから続々と人材が来てくれるとは思わなかったぜ。


 勇者に追放された人間は田舎に吸い寄せられる習性に目覚めるのだろうか?

 こちらとしてはありがたいけど。

 騎士団の規模も大きくしていきたいから、次は練度の高い騎士がたくさん欲しいです。


 なんて、そんな棚ぼたが何度もあるわけないよね。



 そう思うじゃん?




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ