第71話『パーティタイム』
◇◇◇◇◇
連邦の商会から来た少女、ジゼル・ウレザムと契約を結んでから二か月が経った。
この二か月で俺は魔境の開拓をさらに進め、エビ連邦だけでなくミューカス大聖国、ミエルダ王国、スペルマ共和国の三国とも街道を繋げていた。
様々な国と繋がったおかげか、ニコルコは徐々に人の行き来が増えてきている。
これまで魔境に阻まれて他国を経由しなければ辿り着くことができなかった連邦や大聖国に直接行けるようになったのは特に大きかったのかもしれない。
連邦や大聖国に赴く商人の姿を多く見るからな。
他国を経由しなくていいのなら輸送にかかる費用を大幅に削減できるし。
ウチの街道を使わない手はないだろう。
領民も商人が珍しい品物を運んでくるのを見てキャッキャッと喜んでいる。
見て喜んでるだけで買ってる様子はないけど。
商人同士が互いに仕入れた品物を取り引きしあってる光景は割と見かけるんだがなぁ……。
そもそもウチの領民って現金持ってるの?
物々交換をしてるとこしか見てない気がするぞ。
いずれは単なる中継地点としてだけでなく、様々な国と繋がっていることを強みにした多国籍なマーケットを領内で開きたいと考えてるから、領民にも貨幣中心の暮らしに切り替えてもらいたいところだけど……。
そこら辺の変化は慎重にやっていかないとな。
そういえば、ニコルコに訪れた商人たちから他国の勇者の情報を耳にした。
曰く、ミエルダ王国の勇者が王家に伝わる聖剣を譲り受けて旅に出たとか。
曰く、スペルマ共和国の勇者がエルフから渡された聖弓で魔王幹部を退けたとか。
曰く、ミューカス大聖国の勇者が聖女を超える回復魔法を持っていたとか。
あいつらもそれなりに頑張っているようだ。
◇◇◇◇◇
「ふっ……来たぜ……」
俺は堪えきれない笑みを浮かべながら、ある場所にやってきていた。
これから始まる俺のパーティタイム。
さあ、エビバディ!?
『にゃぅ♪』
『なぉん♪』
『なぁん♪』
どっどっどっ。
たむろしていた猫たちが鳴き声を上げて一斉に群がってくる。
ほぉ~きたきたぁッ!
ここは町の一角に新しく作られた猫の居住ゾーン。
水場、餌場、トイレ、キャットウォーク、寝床などなど。
猫が生きるために必要なものが各種揃えられている。
ジャードに反対されているので今は俺のポケットマネーで運営されているが、いずれは領地の伝統的制度として成立させるつもりだ。
まったく、あの内政官。
なんで頑なに認めようとしねぇんだろうか。
猫たちの可愛さを見ても保護したくならないなんて……。
猫に投資しても得られる利益が見当たらないとか言ってやがったが。
わけがわからん。
動物には人間の心を癒すという圧倒的なメリットがあるのに。
「お前らはフサフサしてるなぁ~! ふああははぁあぁああっ……」
よしよし、おしょしょしょぉ~。
俺の姿を見て集まってきたことに感動しながらフサフサの毛を堪能する。
領地開拓で忙しいなかでも時間を作って世話をしにきていた甲斐があった……。
顔を擦りつけてくる猫たちを抱きしめ、撫で回し、俺は生きる気力を回復していった。
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