第二話
「皆の者慌てるなぁ!!まずは城の外に兵を集合し陣形を整えるのだ!!いかに大地竜カオスドラゴンと言えどこちらに到着するまでに時間はかかる。ならばその間に迎合の準備を整えるのじゃ」
「ハッ」
ユニバール王の号令により浮足立っていた兵士達は城の外に向かう。
「レベッカ様一体何がどうなっているんですか?大地竜カオスドラゴンって何ですか?」
「ああ、直哉様申し訳ございません。大地竜カオスドラゴンというのは竜族の長であり、この世界グランに存在する人類の敵なのです」
「何だか良く分かんねぇ設定だなおい、こういう場合普通魔族とかが敵って相場が決まっているのに何でよりにもよって竜なんだ?なあ金本君」
「僕に振らないでくれるかな坂本君?君と仲良くしていると僕まで悪く思われるから話掛けないで」
金本君が日和見主義だって事が良く分かった。まぁーもやしだし仕方ないね。
「クッではこのままだとこの国が戦争になるということですね」
「そ、そうです。この世界を守るために勇者様達をこの世界に召還したんです!でもこのレベッカは勇者様達なら必ずや竜族を滅ぼしてくれると信じています」
信じる信じない以前に高校生になったばかりのただの16歳の少年少女に戦争して来いっておかしいだろ!?
まーたかだか空飛ぶでっかいトカゲごときに俺が負けるとは思わないけど・・・それにしてもなんかものすごく嫌な予感がする。それも地元の妹分に付きまとわれたのと同じぐらいに嫌な予感がする。大丈夫だあいつが異世界に来ることなんてまず無いはずだ。
「分かりましたこの天童直哉が必ず竜族を滅ぼして見せます」
何だ此奴?何で勝手に決めてんのバカなの!死ねよ!
「・・・・俺より弱いのにどうやって滅ぼすんだか、アレか勇者様だからご都合主義が働いていきなりパワーアップでもするのか?何ともまぁ頭の中お花畑なことで」
「さ、坂本君声に出してるよ」
「あ、やべぇ本音が漏れた。此処だけの話にしてね小林」
「何なのよさっきからごちゃごちゃうるさいのよ直哉がやるって言ったらやるんだから坂本は黙ってなさいよ」
え、天童ってやるやる系なの?有言実行大いに結構だけど最終的には政治家みたいに努力はしましたが・・・みたいな感じで終わりそう
「天童がやるときはやる男でも、無理は無理だろ?下手に有能な奴は質が悪いな」
「ふん、これだから協調性のないバカは嫌なんだ」
何で俺バカにされたんだ?アレか空気読んでないからってか?泥船に乗るのは大好きだが、100%負ける負け戦に何の価値があるんだ?俺には負けの美学は無いから御免だぜ
「ああ、全くもって同感だな。ぜひ鏡を見ながら言ってくれ。そこに写ってる奴には協調性は欠片もないし、頭でっかちでおまけに弱いダメ人間だからな」
「なんだと!」
「何怒ってんだよ?誰も堂島がダメ人間なんて言ってないだろ?全く友達のいない奴はこれだからダメなんだよ」
言い返したらすぐ怒るこれだから小賢しい餓鬼は嫌なんだよな~肩を竦めてやれやれと頭を振りたくもなるぜ
「そうだそうだ銀次兄貴の言う通りだぜ。この陰険メガネ」
「はっはっは陰険メガネだってよお前にピッタリのあだ名じゃないか堂島!それにしてもなかなか良いネーミングセンスじゃん司・・・ってつかさぁ!?何でお前ここに居るんだ?」
ああ、フラグを早くも回収してしまった
聞き覚えのある声の主は170cmを超える身長で黒いロングコートに無地の白いシャツで下は黒いズボンと身長と相まってかなりかっこいい格好だ。おまけに女性の理想の体型でありロングヘア―の美少女は響司であった。
ふむ、シルバーネックレスに金の腕輪・・・パンクにでも目覚めたんかな?
「それは銀次兄貴の匂いを感じてね高速移動魔法で飛んできたのさ!!ああ、一か月間会えなかったから兄貴が恋しくて恋しくて・・・ぐへへ」
司はそういうとあろうことか俺の身体に抱き着いてそのまま持ち上げる。勿論俺の首に顔を埋めて匂いを嗅いで、そんなところ嗅いじゃらめなのーーーーー
「き、貴様は大地竜カオスドラゴン!!」
「「「え!?」」」
王女レイナーレの驚愕の言葉と共にクラスメート共は驚きの声を上げるも、司は変わらず俺に抱きつき離れなかった
「銀次兄貴hshs」
「お前は全く変わらんな!」
ああ、妹分がヤンデレ染みてたから、地元奴らに何も言わずに引っ越したのに入学して次の日にまさか異世界に召還されてそこで再開するなんて全く思わなかったぜ