第七部『エンドロールと五人目の攻略者(隠しキャラ)。』
いよいよ最後の章。
あの後保健室で傷の手当をしてもらい、
若菜と一緒に帰ることになった。
私を心配してくれる親友マジ天使…。
若菜の部活が終わるまで、
私はいつもの場所で待つことにした。
中庭はドームハウスになっていて
雨の日でも晴の日でも少し暑く虫もいるが
私は人があまり来ない上、
過ごしやすいので気に入っている。
「……どうしたの傷」
いつも座るベンチで
呆然としてると後から声がした。
『彼』はいつものように私の横に座る。
「…『彼女』にやられたんですよ。
今頃、生徒指導室で凝ってり絞られてます。」
私は今日の出来事を事細かに『彼』に話した。
「…ふぅん。」
あれ?思ったより反応薄い…というより
「…怒ってます?」
『彼』のこんな冷たい雰囲気、初めてです。
「そりゃあ、私だって怒るよ?
大切な数少ない友人である君が
よく解らない女に傷つけられたんだから。
…それに少し気に入らないこともあるしね…。」
「…新?」
「何でもない、こっちの話し。」
私がこの男『新』と
初めて出会ったのは、この中庭でだった。
いつものようにベンチで読者してたら、
清掃服を着た新が声をかけてきたのだ。
以来、挨拶を交えたり、
たまに世間話をして仲良くなっていった。
新は花の手入れをして、
私はベンチで読者をして、
お互い手が空いたらお茶を一緒に飲む。
これが私達の日課だ。
「でも君『わざと』ペンケース落としたでしょ。
彼女にカッターを握らせるために。
…それに君はそんなことで怯える質じゃないでしょう?」
「…さぁ、どうでしょう?」
「そうすれば彼女は間違いなく傷害罪だもんね。
多くの一般生徒がそれを目撃してる。
証拠がなくても証言は山のように取れる。」
「…ふふっ流石、新!なんでもお見通しね!」
彼は唯一、私の本性を知っている。
知っても尚、離れない変わった存在。
私が彼について知っていることは
清掃員で植物に詳しいとこ、
博識なとこ、手作りのお菓子が女子の私より
美味しく作れること、私と同じく性格が歪んでるとこ、
心配症で少しで少し過保護なとこ。
『新』という名が
苗字か名前かさえも知らない。
だけどそれでいい。
この近すぎず遠すぎない距離感が心地いい。
新は私にとって、
優しいお兄ちゃんのような存在で、
私と同類な点では安心感なんてないけど、
それでも私が唯一、安心出来る存在。
「お茶にしようか。」
この人の穏やかな雰囲気が好き。
「うん。そうしよう。今日のお菓子は?」
「エッグタルトとカスタードブッセ。」
「やったぁ!新のブッセ好きなんだ!早く食べよ!」
この穏やかな時間が好き。
誰にも邪魔されたくないこの空間を…
新とお茶を飲むと大体、お腹いっぱいなのと
暖かな木漏れ日のせいで眠くなる。
優しい新は寝てていいよって言ってくれるけど
私も一応女の子なので
イケメンな新の前で寝るのは恥ずかしい。
…最近は眠気に勝てないで寝てしまうけど…。
ベンチに座ると新が肩を貸してくれて、
私の肩をぽんぽん一定のリズムで叩く。
『おやすみ』と優しい声を聞きながら
私は彼女の言った言葉を思い出した。
隠しキャラがヤンデレ…
つまりあの生徒思いの立派な柊木先生がヤンデレ…
……人は見かけによらないなと
漠然と思いながら眠りについた。
【嫉妬イベント到来!隠しキャラ『新年担当』】
※攻略条件
【春夏秋冬】の四人の攻略。
好感度を一定以上に上げる。
【『春担当』春谷春太の好感度90%以上】
【『サポートキャラ』柊木雪夜・楪 若菜の好感度80%以上】
【『夏担当』榎月夏目の好感度70%以上】
【『秋担当』萩原秋人の好感度70%以上】
【『冬担当』柊木冬夜の好感度70%以上】
以上の条件クリアで、隠しキャラ
【『新年担当』元日田 新】攻略開放!
※尚、【『新年担当』元日田 新】は
【嫉妬イベント】後に攻略対象となる為、
恋愛ENDのみとなっております。
隠しキャラは
【『新年担当』元日田 新モトヒダ アラタ)】。
柊木先生は本当はただの
『サポートキャラ』で攻略対象者ではなかった。
というオチです。
次のページにキャラ紹介を書こうかなと思ってます。