第四部『魔女狩りと廊下の駄犬。』
ある意味ホラー展開。
また長いです。
「…遅い何をしてる。この俺にわざわざ足を運ばせるなどお前は何様だ。」
生徒会長のお出ましでざわつく教室。
いや、お前こそ何様だよ。あ、俺様か(笑)
心の中で馬鹿にすると瞬時に私を睨む生徒会長。
無駄に勘が鋭いようです。無駄に。
「何か言いたげだな?」
「えぇまぁ
それなりに言いたいことはありますね。」
だっていい加減迷惑ですもの。
こんな茶番に付き合うの。
「コイツ全然反省してねぇ、」
「せっかく、晦が人目に当たらぬよう
生徒会室で話をしようと言ってくれたのに
その優しさを仇で返すとは…愚かですね。」
反省?するとこ無いもの。
だって十二月三十一日晦に
嫌がらせも虐めもしてないし。
愚か?そうだね。愚かだね。君達が。
『秋人先輩ぃ私の為に来てくれてありがとぉ
それに夏目くん冬夜先輩ぃごめんね巻き込んで』
「気にするな。」
「…別にお前の為じゃねぇし」
「いいんですよ寧ろ頼ってくれて嬉しいです。」
なんだこの茶番(本日2回目)
私、帰っちゃ駄目?
なんか彼女と3人だけの世界になってるし
帰ってもいいよね?
私はそそくさと
すでに教材をしまっておいた鞄に手をかける。
「おい、何してる。」
「見てわかりませんか?帰り支度ですよ?」
「なっ、」
私の邪魔しないでもらえます?ボンクラ生徒会長。
金持ちってだけの中身ペラペラ男。
私は早く親友と帰りたいんじゃ。
同じクラスの私の唯一の
親友の若菜が心配そうにこちらを見ている。
さっきなんて私の為に
この馬鹿共に講義しようとしてくれた。
何も言わず目配せで止めさせたが。
本当にいい子私の親友マジ天使。いや、女神だわ。
ボーイッシュで明るくて美人で
原作では登場しないけどこんな
素敵な友達が出来て私は幸せだよ。
「なんて口の利き方だ!」
あ
「なんだまだいたのか。」
「なんだとっ」
やべ口に出てた。
『もう我慢できない!私がいくら酷いこと言われても、
酷いことされても我慢できるけど
みんなのことを馬鹿にしたことは許せないっ!
閏ちゃんがそのつもりなら…
私っ…ここで閏ちゃんにされた事全部話すからっ!!』
「そうですね。四季には解らせた方が良いです。」
「何を解らせるんですか?」
「しらばっくれてんじゃねーぞ!
テメェが晦のもの奪ったり、
階段から突き落としたりしたんだろっ!」
喚くな赤猿。
「身に覚えのあることと、ないことがあるのですが。」
階段から突き落とされたのは覚えがある。
…落とされたのは私だけどね。
「ほらやっぱり。」
『ひどいよぉ閏ちゃん…』
「大丈夫だ晦。俺が守ってやる。」
「では私がやったという証拠は?」
「「「は?」」」
「赤猿…げふん、一般生徒である榎月夏目は兎も角、
学園の生徒の見本であるべき生徒会長や
風紀を守るべき風紀委員が証拠もなく憶測でものを言い、
一般生徒であり、か弱き女性をまるで魔女狩りの如く
裁くなど…まさかとは思いますがしてませんよね?
確たる証拠があって無関係な生徒の前で
私の罪とやらを暴いているのですよね?」
「魔女狩り?これは正当な裁きです。」
「そうだ。証拠などなくても、
晦がお前にやられたと言ったんだ。」
「は?…俺が一般生徒?」
風紀委員は自分の行いを正当化させ、
生徒会長は面白い証言をしてくれた。
…榎月夏目においては話の論点が逸れてる。
「中世ヨーロッパでは多くの女性…時には男性が
魔女とされ、拷問にかけられ殺された。
まさに今この場もそれと同じく、
罪無き乙女を民衆の前で
魔女と罵り刑に処すかの如く、
一般生徒の前で私を蔑むんですもの。」
風紀委員の柊木冬夜の目を真っ直ぐに見て話す。
遠巻きに見ていた生徒達も、
本気で私がやったと思っているのは
彼女のファンくらいで、
多くの生徒は、顔が良くスペックの高い殿方に媚り
その反面、自分達のことを『モブ』扱いする
彼女に好感など持てず、そんな彼女と
常に学園では品行方正でお淑やかな私の言葉
どちらを信じるかなど目に見えてます。
「証拠も無しに自分の惚れた女の言葉だけを
信じているのでしょう?恋は盲目と言いますもんね。
愛を感じますわ。とっても素敵ですね愚かで。
『恋は人を愚かにする』と言いますよね?
もし恋をして貴方方のようになるなら
私は一生独り身でいいです。」
別に恋がいけないわけではないのです。
ただ私が恋愛というものが嫌いなだけ。
性格に言うと人を愚かにさせる恋が。
前世ではそれを身に染みるほど経験したので
この世界は恋愛シュミレーションゲームに
類似しているので私の求めた
『純粋な愛』や『真実の愛』などが
見れるかと期待していたのに…本当に残念です。
『愚かって…人を馬鹿にするのもいい加減にしてっ!
恋は愚かなんかじゃないよ!愛されるって素敵なんだよ!
ぼっちな閏ちゃんには解らないかもしれないけど!』
いい感じに彼女の化けの皮が剥がれてきた。
馬鹿にするなと言いながら
私のこと馬鹿にしてるし…
そういうのは、
徹底的にかぶるものでしょう?私みたいに。
それと田中君。
いい加減現実を受け止めて。
目擦りすぎて真っ赤になってるよ。
『それにさっき覚えあるって言ってたじゃない!』
「えぇ。言いましたよ。」
「コイツっ…開き直りやがったっ、」
「証拠は無くとも、お前自身が証言したんだ。
お前の方が余程愚かじゃないか。」
「何か勘違いされてませんか?
確かに階段から突き落とされたことは
身に覚えのありますが、彼女の私物を窃盗した覚えはありません。」
「その言い方じゃ、まるで晦が
貴女を突き落とした見たいじゃないですか!」
「それに晦はお前に嫌がらせで
体操着や上履きを隠されたと泣いてたんだぞ!」
「俺が一般生徒?いや無いだろ。一般生徒って…」
生徒会長と、風紀委員が喚く喚く。
だから私じゃないって言ってるだろう。
一回で理解しろ。
不良カッコイイとか思ってるから、
相当一般生徒扱いが納得出来ないのだろうな。
自問自答を繰り広げる榎月夏目。
単細胞はこれだから利用しやすくていい。
ゾクッ)
……さっきから気のせいだろうか
彼等を馬鹿にする度、心の中で罵倒する度、
廊下から憎々しげに彼等を睨む幼なじみが…
……うん。気のせいだ。
ワタシハナニモミテマセン。
廊下にいる存在が気持ち悪いから
早めにこの茶番劇を終わらせよう。
……なんか廊下で駄犬が
陶酔した顔してるのはきっと気のせいだ。
私の中で春太がオチ担当になりつつある…。