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「ユーウーカーちゃーーーん!あっそびっにきったよーーー!」
マオは連打でユウカの豪邸のインターホンを連打しながら漫画のようにいった
「あれれ?いないのかなー?ユーウーカ––––」
「うっせー魔王の末裔!!」
不意にその豪邸の庭の方から聞きなれた暑苦しい男が芝刈り機を持って、と言うより持ち上げてやってきた。額には血管が見える
「ようテメェー、うちの嬢様になんかよ––––」
「『アニバレム・インシンデナ』」
「ゴハッ!」
唾を出しながら暑苦しい男が吹っ飛んでいった
こんな意味わからん魔法を現在も使うのは・・・
「・・・来てたんだ、ルシファー」
少女は呆れ顔で、こちらも血管が見えそうな額をした秀才が、ユウカの豪邸の隣に止まっている車の横にいた
「はい。お嬢様のためにならば、たとえ火の中水の中土の中だろうと見守り、ゴミでもホコリでも灰でも撃ち落として滅却します」
「本当に懐かしい時代違いな決意ね」
毎回のことであったが、この変態紳士も重度の暑苦しさだった
「・・・さて、灰は祓ったのでかえ––––」
その時、ルシファーが車の方に吹っ飛んだ。そしてそこに立ってたのは暑苦しさとたんこぶのギンキだった
「ようゲスが。せっかくよったんだから寄っていけよ黒装束さんよ––––」
「アニバレム・インシ––––」
「ブレイクだバカ!『カッセー・スベスト』!」
ルシファーの詠唱に『カットイン』して魔道詠唱破壊魔法をギンキは唱えて、同時にバリン、と音を響かせた。
ギンキは基本魔法は使わないらしい。しかしルシファーとの戦い以降、詠唱を壊す『ブレイクカット』を覚えたと言う
詠唱に誇りを混ぜていたルシファーは、怒りをあらわにしている
「貴様、目障りだ」
ギンキも血管の浮き上がり方が一段とあがった
「おお、意見が合うなー」
さすがにしつこいと思った私は、仕方なく『眷属獣』を呼ぶことにした
「おーいで、ケールちゃん」
なんということでしょう。3つの首を持つ犬が頭上に現れ、私の両脇で喧嘩勃発中の二人を踏みつけてしまったのだった。デッカいねー。さすが、世界から恐れられる『ケルベロス』だねー
「「「グルルルル・・・」」」
「ケルちゃーん!『スケールダウン』」
そしてその獣は、私の命令で小さく、可愛い子犬となった
「「「わん!」」」
一斉に吠えるけど、すっごく可愛いのだった
「おーよしよし!いい子でちゅねー!」
「「「わん!」」」
「よーし、これをあげよう!」
あたしは懐にしまっておいた眷属獣用のペットフードを少量手に乗せて差し出した
「「「わん!」」」
パクパクと無我夢中に、しかし仲良く食べているのだった
「・・・美味しい?」
「「「わん!」」」
「・・・ゲホッ・・・・・・そろそろ入ってきたら?」
不意に上辺りから声がしたので見上げると、呆れながら見つめるユウカがいたのだった