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魔導師を好きし者  作者: ヨベ キラセス
一章 探索の二月
3/18

 朝は寒い。よくよく考えたマオは、今は冬だと気付く

「・・・ユウマはどうしてるかな?」

 ふと考える。ユウマはマオ達みたいに何かを持ってたわけではない

「真麻お嬢様、お食事の用意ができました」


 ご飯は、魔界でも天界でも見たことない綺麗な盛り付けと飾りの食べ物たちだった。味も最高、目にもいい、香りもいい、言うことなし

 しかし、美味しいとはあまり思えない。マオはユウマを恋しく思う


 ご飯の後はふらついてみた。捜索は無意味だからひとまずはこの気候と情報が知りたかったのもあるが、第一に戦いが続き、その後は祭りに明け暮れ、精神的には辛かった。本当はユウマと三人で静かに暮らすつもりでいたのに、とため息が出た


 正午、ユウカと待ち合わせて街をふらついてみた

『商店街』によってみた。すごく賑わっていて二人に「これ食ってけ」や「これ持っていけ」やらといってきて、二人は困ったが楽しんだ


『公園』に来た。『ブランコ』は楽しいと思った。《ミラヘイム》にも欲しくなっていた。滑り台も同様に

 ふと、砂場に一人ポツンといる少女を見つけた。雪で砂は見えないけれども、何かをしていた

 マオは声をかけてみたくなった

「何してるの?」

「?!・・・・・・えーと、おしろ!」

「おおー雪のお城!いいね!」

「え、うん!すごいんだよ!」

 少女は話し始めた

 ここは食べるところ、ここは寝るところ、ここは踊るところ・・・


 不意にその城は崩れた。いや、壊された

「あ、わりー。へんなのつくってたようだけどみえなかったー」

 それは明らかにわざとしたと思われる言い方だった。ぶつかったと思われる雪玉の欠片では光る

「・・・う、うう・・・・・・」


『・・・いいか、こういう時は––––』


「あ、ないてやんのー!・・・イデッ!」

 からかって居た少年に雪玉を本気の半分も出さない力でデコに正確に当てた

「いって!なにすんのさ!」

「あらー?あんたが仕掛けてたんだよー?私たちの雪の城にねー。これは防衛戦でしょー?」

「え、ちょま」

「ねえねえ」

「・・・ひっく・・・・・・え?」

「あの子に復讐戦だ!」

「・・・うん!」

「お、おい!さすがにふたりはひきょーだぞ!」

「・・・ならわたしが仲間」

「うわ!?ヒックリするだろ!」

「さ、始めましょうかー」

「・・・ひっく・・・・・・ふくしゅーだー!」

「うあああああああああああああ!!」


 少年は雪に埋まることとなった

「ふはははは!我が軍は優勢よ!」

「ゆうせいよ!」

「・・・・・・大人気ない・・・」

「そこうるさい!」

「・・・・・・」

「・・・・・・さてお嬢ちゃん、あの子を掘り出してきて」

「え?」

「ごめん、私素手てもう痛くてね〜」

「・・・うんわかった!」

 そう言うと、少年を掘り出しに少女は駆け出した

「さて、逃げるわよ!」

「・・・・・・了解」

 ジト目で見られながらマオはユウカと公園から逃げた


「・・・うう」

「だいじょうぶ?」

「う・・・・・・ウオァ!な、な、ななななにして!」

「だっておきないんだもん」

「・・・・・・だからって『ひざまくら』って」

「わー、てれてるー」

「てれてねー!」

「またあそぼ!」

「・・・こんどはまけねー」



「お嬢様!そんなずぶ濡れになって?!ても赤いですよ!」

「あ、ごめーん☆」

「早く着替えてください!」

「えー車でー・・・・・・ぶえくしゅ!」

「下品なくしゃみをしてるじゃありませんか!?」

「きのへいひのへい」

「もう呂律も回らないじゃないですか!」

 公園の付近で止まってた車を発見し入ったはいいが、走行中もくしゃみをしているマオだった

「もう、ユウカ様からお電話下さらなかったら大変でしたよ!」

「まあまあメイドよ、そううるさくすると小じわが」

「失礼ですわよ!」

「はー、コンポタ飲みたい。昨日のあの暖かさは良いからなー」

「はいはい、ついたらいくらでも」

 メイドはそこから説教をしていたが飽きてたマオは窓を眺め、空気を入れ替えようとしたくなって窓を開けた

「お嬢様!空気が寒くなります!」

「少したけ少しだけ」

 と、なんとなく眺めていたら––––


「おいノブ、いい加減荷物持てよ」

「そうですよ信木!早く持ちなさい」

「やだね。俺に絶対米持たすよな、キキ。頑張ってくれ『ユウマ』」


「・・・?!」

 今『ユウマ』と聞こえた。マオは「お嬢様!?頭を出すのは危ないです!!」を無視してみた

 後ろ姿しか見えなかったけど、あの背中は、あの後ろ髪は、あの声は・・・・・・

「止めて!今すぐ!」

「ダメですお嬢様!早くお屋敷で安静にしてもらわないと!」

「じゃあユウカに電話して!」

「今は落ち着いてください。運転手さん、早く走ってください!!」

「・・・・・・クッ」

 あの姿をマオが忘れるはずがない。まして、探し人ならば

「・・・・・・ユウマ」

 マオはそう呟くと、眠りに落ちた



『ねえ、待ってユウマ!待ってよ!』

 マオは叫ぶ

『・・・・・・』

 ユウマは聞こえていないのか無言を貫く

『どうしたユウマ、早く来いよ』

『ああノブ、今行く』

 ノブ、という少年の声に向かって走っていく

 マオは走って追いかける

『ねえまっ』

『ユウマさん、早く!』

 少女の声だった

『ああキキ、早く行こうか』

 わからない女子のところへ走っていく

『待ってよユウマ!私がわからないの?』

『・・・・・・』

 走るマオを障害物が邪魔をする

『ねえ待ってユウマ!ユウマ!ユウマ!!』

『・・・・・・マオ』

『?!・・・ユウマ––––』

『君は嫌いだ』

 そう言うと、風のように視界から消えた

『・・・ユウマ?ユウマ?・・・・・・ねえユウマ?・・・・・・・・・うあああああああああああああああああああ!!』


『お前は何も知らない』


『ひっく・・・ひっく・・・・・・ユウマ、ユウマああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」






「・・・おう!これはこれは雪華ユキカちゃん!オサムくんと手をつないでるってことは、デートか!?」

「「ちがう!!」」

「おおう・・・修ならわかるが雪華ちゃんは性格変わった?」

「ううん、ふつう!」

「もういいだろノブ、仲睦まじいことはいいことだろ?」

「く・・・・・・俺にも彼女がいれば」

「ま、信木には当分無理よ」

「なんだとキキ!」

「まあまて」

「・・・・・・ねえ」

「ん?どうした?」

「あのね、私お姉ちゃん探してるの」

「おおユウマ、女装趣味か」

「殴るぞ・・・・・・どんな人だった?」

「えーとね、おさむくんをいっしょにゆきうめにしたの」

「oh、大人気ねー」

「ううん、わたしのおしろのかたきをとったの」

「おしろ?」

「うんおしろ。おさむくんにゆきだまでこわされちゃって」

「おーさーむーくーん?」

「ちょききねえ!もうゆきだまはこりごりだよ!」

「抹殺シュート!」

「あべし!」

「・・・お前も相当大人気ねー」

「女の敵は私の敵」

「オレに向けんなオレに!しかも大きさ!!」

「それでねー」

「うんうん」

「助けてユウマー!」

「うるさい」

「あべし!」

「でねー、そのひとびしょぬれになってた」

「oh、想像してはならないものが」

「でねー、そのひとにおれいいおうとしたんだけどいなくて」

「へー」

「おれはりべんじするんだ!」

「おうおう、ちなみに特徴は」

「えーとね、くろかみ!」

「みじかめだった」

「冬にはきつい髪だな」

「それとー、やさしい!」

「こわい!」

「わ、すごい分かれ方」

「それでね、さみしそうなめだった!」

「いや、あれはなつかしむめだったよ」

「ふーん」

「あとね、ツノ!」

「ツノ?!」

「はあ?いくらこわくてもそれはないだろ?」

「えーあったよー。それににおい!」

「におい?」

「えーと、なんて言うべきかな?かいだことのないにおい!」

「ふーん」

「あ、おにーちゃんとおなじにおいだった」

「おれと?」

「うん!」

「へー・・・・・・もし次会えたらお礼言いなよな」

「うん!」

「こんどはたおす!」

「じゃ、そろそろ荷物重いから帰るな」

「うん、バイバイ!」


「しっかし本当大人気ねーな」

「うーん。ある意味正しいんじゃない?」

「ま、そいつが仕返し食らわなければいいがな」

「多分大丈夫さ」

「ほうほう、その心は?」

「・・・なんか、反撃されておしまいな気がするから」


「・・・・・・まだまだ会うのは先さ、マオ」


「・・・おいノブ、いい加減荷物持てよ」

「そうですよ信木!早く持ちなさい」

「やだね。俺に絶対米持たすよな、キキ。頑張ってくれユウマ」

「お前は人使いが荒いな」

「ユウマさん、今夜ご飯どうです?」

「あ、そのつもりで手伝っているから」

「ほんとユウマさんには感謝してますよ」

「あ、図々しいと思わないんだ」

「わざとでしょ?」

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