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黒毛和牛召喚記  作者: 卯堂 成隆
第一話:生贄の乙女と消えた守護神
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Interlude【黒毛和牛】始まりはいつも牛

 召喚獣の肉体は、奉仕者(アルバイター)と呼ばれる術者の魂、器と呼ばれる肉体、そして神の能力が詰まった(はく)と呼ばれる3つの要素から成り立っている。


 パソコンで言うならば、器がハードで、(はく)がソフト、魂がユーザーだ。

 とうぜんながら、レベルの低いハードでは高度なソフトを処理できないし、ユーザーに知識がなければソフトをまともに動かすこともかなわない。


 ちなみに、(はく)に関してはミノルたち奉仕者(アルバイター)の管轄であるが、器に関しては召喚師にしか関与できない部分である。

 召喚師の能力をパソコンに例えるなら、さしずめ経済力と言ったところだろうか?

 実際、器の質は召喚師の捧げた代償によってランクが決まる。


 そしてミノルは異世界に呼び出されるたびに思う。

 ……なにが悲しくて俺は牛にならねばならんのだろう。


 目の前には、いつものように牛しか構成できない、実に慎ましい器の材料が用意されていた。

 当然ながら、シアナからのリクエストは、いつもの黒牛である。


 ミノルは、手持ちの(はく)の中から黒牛の(はく)を取り出すと、器に注ぐ。

 器が黒牛の形になったのを確認してから、続けてその器の中に入り込んだ。


 そしてミノルは黒牛という器の中で目を覚ます。


 そこにいるのは、神をも狂わすと呼ばれた美しい乙女。


 ……べつに、顔に惚れたおぼえは無いんだがな。

 心の中で呟くと、ミノルはゆっくりと起き上がり、いつもの台詞を口にする。


「いい加減にしろ、シアナ! また黒牛か!?」

「だってー 他の器用意するほどお金無いもん。 なにより出合ったときの思い出の姿って素敵じゃない? それとも、ちゃんと子牛って所まで指定したほうがいい?」

「いらんわ!!」


 『おはよう』でも、『元気か?』でも、ましてや『会いたかった』でもない。

 二人の挨拶はいつもこんな感じで始まる。

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