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(私たちを狙って追ってきている人がいる?)


 レイヴンの言葉に、エリスとイリオは目を合わせた。イリオはポンッと人の姿になって腕を組む。


「それはファシウスからの追手か」

「はい。どうやら、イリオ様を邪魔者とみなしてイリオ様を消そうとしているようです」


(イリオを消そうとしてる!?ファシウス様が!?)


「まあ、あいつに会った時点でそんなことだろうとは思った」


 エリスが目を見開いて驚いていると、イリオはつまらなそうな顔で吐き捨てる。


「イリオ様、私にお任せくださいませんか。イリオ様の手を煩わせるまでもありません」

「そうだな。お前も久々で体がなまっているだろう。ウォーミングアップにはちょうどいい。お前に任せる」

「はっ!ありがたき幸せ」


 イリオの言葉に、レイヴンは目を輝かせて喜んでいる。そして、お辞儀をすると黒い煙と共に上昇してカラスになり、そのまま飛んで行った。


「行っちゃった……」

 

 レイヴンが飛んで行った方向をエリスは心配そうに見つめる。


(ファシウス様の追手なら、もしかすると兵士とか騎士かもしれない。レイヴンさん、一人で行って大丈夫なのかな)


「あいつなら大丈夫だ。俺の従者なのだから兵士や騎士程度に簡単にやられはしない。俺たちも行くぞ」


 まるでエリスの気持ちを読んでいるかのように言うと、イリオはエリスの手を握って歩き出した。



 *



(こんなに森の奥まで来たことなかったかも)


 イリオに手をひかれ森の中を歩いていたが、いつの間にかエリスは来たことのない森の奥まで足を運んでいた。近くからは小川のせせらぎの音が聞こえる。


「エリス、疲れていないか?少し休もう」


 そういって、イリオはポンッと狼の姿になると、木陰に座り込み地面に顔を近づけて寝そべる。


 ――俺の背中に寄り掛かって座ればいい。少しは楽だろう


「えっ、いいの?イリオ疲れない?」


 ――問題ない、俺を何だと思っている


「ふふっ、神獣様だものね。ありがとう」


 エリスは嬉しそうに笑って、イリオの体に背中を預けるようにして座る。


(うわあ、ふかふかのソファみたい)


「ねえ、そういえば、あのレイヴンさんて人とは昔からのお知り合いなの?ずいぶんと仲がよさそうだったけど」


 エリスがそう尋ねると、イリオは地面に顔をつけたままフンッと鼻を鳴らす。


 ――ああ、あいつとはもうかれこれ何百年という付き合いだな


「そんなに!?カラスから人の姿に変身していたけれど、レイヴンさんも神獣か何かなの?」


 ――あいつは元々ただのカラスだ。俺がたまたま気まぐれで助けてやったら俺を命の恩人だといって慕ってきて、あまりにもしつこくつきまとうから従者にしたんだ。契約を交わしたからあいつの寿命は延びたし、ああやって変身することもできる


 そう言って、イリオは昔を思い出すかのように目を細めた。



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