残り100日『美少女大魔王降臨』
2025年(令和7年)9月22日(月)
1999年7月、(当時の日本という島国で社会現象になるほど大流行していた)ノストラダムスの大予言によると、恐怖の大魔王が降臨し地球人類は滅亡する。
……はずであった。
しかし時は流れ2025年、相変わらず人類は滅びることなく地球で暮らしている。
-とある惑星のとある城にて-
「マオちゃん、話があるんだけど」
その城の主である大魔王は、13歳になったばかりの自分の娘を呼び出した。
「なによ、パパ。スマホで乙女ゲームしてたのに。」
「ごめんね。実はパパ、本当は25年前に地球人類を滅ぼさないといけなかったんだけど、ボトルシップ作りにハマっちゃってさ。」
「ふーん。そうなの?」
「そうなんだよ。少しでもマストの位置がズレてるとすごく気になっちゃってさ。奥が深いんだよ。」
「へ〜。だからお城の中は瓶だらけなんだ。あれはパパが置いてたのね。」
「家臣たちからまだ滅ぼさないんですか?ってうるさいんだよ。でも、作りたい模型は山ほどあるんだ。」
マオは悪い予感がした。
「そこでマオちゃんがパパの名代として地球人類を滅ぼしてきて!100日間で!大魔王を名乗って良いから!」
「ちょっと!パパ!何を言って……」
だが、大魔王は娘の言葉を聞かず、指をぱちんと鳴らした。
次の瞬間、マオが立っていたのは、とある中学校の校庭であった。
次に気づいたのはマオが着ていた服装だ。
魔王の娘として黒を基調とした金色の刺繍が施されたローブを着ていたが、なぜか今はブレザーの制服姿。
スマホにショートメールが届いた。
「地球では2025年9月22日月曜日の朝だよ。
マオが今いるのは、日本という国の鳥取県倉吉市という4万人くらいが住む小さな町だよ。
中学校への転入手続きはしてるから、中学1年生として中学校に通いつつ、年末までに地球人類を滅ぼしてね!
あ、名前は青空マオという女の子の戸籍を用意してるからね。
パパより」
そのメッセージを見た瞬間、マオは空に向かって……いや。宇宙に向かって叫んだ。
「パパのバカぁー!」
学校は1学年に1クラスしかない中学校であった。
担任の先生はマオを紹介した。
「今日から転校生がうちのクラスにやってきました。自己紹介をどうぞ」
「青空マオです。地球を年末までに滅ぼしますので、よろしくお願いします。」
―一瞬の沈黙のあと―
「アハハ!可愛い子!」
という笑い声がクラスの女子達から巻き起こった。
こうしてマオの2025年12月31日水曜日までに地球を滅ぼすための中学生生活が始まった!
地球を滅ぼす予定日まであと100日!