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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

私が見た人間

作者: 十司新奈

投稿するならこのタイミングしかないと思ってました。

外れた後にとやかく言いだす奴がいるっていう予言の方が現実的でしょう。

ここまで大衆がバカだとは思いませんが…

ちなみに元ネタは手にとってすらいないです。

ある時、インターネット上におかしな噂が流れました。


それは、ある年の夏に、私たちの国に大災害が起こるという噂です。

噂を広めた「インフルエンサー」と名乗る一般人が言うことには、

そんな内容の予言書があるというのです。


その古い”予言書”には10年以上前の大地震を予言したかのような記述がありました。

そして、新しい大災害の予言が追加されて、数年前に発売されていました。


人々はパニックに陥りました。

国内では、いずれ起きるとされていた地震と関連付けてこの予言を語る人もいました。

「予言書」の作者は、不安をあおるつもりで言ったのではない、と弁明しました。

国の科学の権威たちは、災害の予測は科学的に不可能だと言いました。


それでも人々は騒ぎ続けました。

そして噂は海を越え、海外にまで広がりました。


元々占いを信じる文化の強い国では、人々が旅行を取りやめ始めました。

経済損失は、5600億円にも及ぶと言われました。

私たちの国に入るはずだったお金は、どんどんと減っていったのです。

観光業に従事する人たちの中には、職を失う人もいました。

明日が無いと分かって、犯罪に手を染める人もいました。



…そして、”予言”に記された日がやってきました。







人々はいつも通りに朝起きて、温かい朝食を食べ、ゴミ出しをしていました。

そして夜には明日に備えてゆっくり眠りました。

そんな日は、予言された月が終わっても続きました。




予言が完全に外れたと分かると、怯えていたはずの人々は、

人が変わったかのように”予言書”の作者を叩き始めました。


「お前のせいでこの国の経済はめちゃくちゃだ」

「私の息子は予言を真に受けてレイプ事件を起こし、今は刑務所の中だ」

「社会を混乱させた責任を取れ」


罵詈雑言が浴びせかけられ、作者は詐欺師のような扱いを受けました。

”予言書”は燃やされ、作者は住所を特定され何処かへ引っ越しました。

”予言書”の出版元は裁判を起こされました。










そして皆が大災害の予言を忘れた頃、突然にその日はやってきて、

誹謗中傷をしていた人も、最初から予言など信じていなかった人も、

旅行に来ていた人も、二度と帰らぬ人になりました。







「今か、今かと地震に怯えながら暮らすのは、頭のいい人のすることではない。しかし、いつ地震が来ても大丈夫なように、心のモノを備えておくことは大切なことだ。」とは浜田幸一先生の言葉です。

備えていない頭の悪い人の方が多いとは僕は思いません。

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