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The World Tree  作者: GUM
track2
5/20

Dance of the Far East ーAS Ver.ー

20XX年7月21日 日本 関東某所


「お、ハングリーゴーストムーンだ!」

 オレはまん丸の月を見て声を上げた。机を挟んで向かい合う大和が首を傾げる。

「ん?何それ?君のこと?」

「誰がゴーストだ!ハングリーではあるけどお化けじゃないっつーの!」

 全く失敬な奴だ!

「え、まだ空腹なんだ……こんなに食ったのに」

 重ね重ね失礼だなぁ!

「ハングリーゴーストはシンガポールやマレーシアにある、死者がお腹を空かせて戻ってくるから食べ物をお供えするっていう行事だよ。7月にやるからその月の満月のことを「ハングリーゴーストムーン」とも呼ぶんだよ」

「へえ!お盆みたいなやつかぁ。よく知ってるなぁ」

「まあね!」

 ところでオボンって何だろう?まあそれは兎も角として――

「こんなに明るい月夜ならオーガ探索を続けてもよかったかも」

「オーガって月明かりが苦手なのか?」

「いやいや、太陽光のある日中や電灯の点いた室内くらい明るいと視力が落ちるけど、このくらいの明るさなら関係無いよ」

「それじゃあ危険じゃないか……」

「そうだけど、こっちも見通しがきくし、さっさと出て来てくれた方が仕事も早く終わるじゃん。Nothing venture,nothing win とも言うでしょ?」

「……さっき人の話をよく聞いてから判断するようにと言ったのはどこのどいつだよ」

「そんなこと言ったっけ?」

 と言うオレの言葉にため息を吐く相方。

 まあオーガ狩り初体験の大和くんが嫌がるのも当たり前か。日中付いてきただけでも偉いと思う。よく考えたらオレもまだこの仕事を始めて1年も経っていない訳だし、初心者たちが無理しちゃいかんな。

「じゃあまた明日朝から捜索しよう!明日のエリアは――っと」

 タブレットを取り出して地図の確認をするオレを大和がギョッとして見つめている。なんだよー!物分かりが良いのがそんなにおかしいのか?

「……光ってる。指輪」

 そう言って、大和はオレが首から下げたチェーンに通した「信号機」を指差した。自分の胸元を見ると確かに信号機は黄色い光を放っていた。

「うおっ!マジか!?」

 オレは急いで荷物を担ぐと縁側から庭へ飛び出す。靴を履く時間ももどかしくスリッパのまま飛び出したので走りにくいことこの上ない。

 ここは宿泊用に借りた集落の外れにあるこじんまりした庭と広い縁側のある日本家屋で(空き家らしいが管理者が居るようでとても綺麗だった)畳敷の部屋や背の低いテーブル(ちゃぶ台と言うらしい)に「日本っぽい!」と大喜びしていたのだが、土足厳禁という文化だけは好きになれそうになかった。

 玄関に向かった大和に

「オレの靴も持って来て!」

 と叫びつつ辺りを見渡すが、見える範囲にオーガの姿は無い。この家は高台に建っていて村内がよく見える。相変わらず自衛隊の装甲車と歩く人影が見えるが、騒ぎになっている様子は無いので現れたのは集落ではなく――

「森の方か」

 木々の生い茂った方に向かい、スリッパを脱ぎ捨てようとしたところで大和が追いつき、オレのブーツを手渡してきた。グッジョブだ!

 信号機はまだ黄色だ。ということはここから100ヤード内にオーガは居る。森の中で探すのは大変だが、人間たちの集まる場所に現れたということは、「食事」を求めている可能性があるので、向こうから近付いてくるかもしれない。

 オレは山道の入り口で振り返って、大和に声を掛けた。

「危ないからオレ1人で行くよ」

「いや、おれも行く」

 来るんかい!ビビリなんだか度胸があるんだか分からない奴だな。押し問答している時間も無いので、

「わかった。じゃあ静かに、気を付けてついて来て」

 と言って、森の奥へ続く獣道を進んで行った。

 満月は高い木々に遮られて村に居た時程明るくは無いが、それでも行く先を照らしてくれるくらいには光が届く。ライトを点けると向こうから見つけられる確率が高くなるので、そこは有り難かった。ただ、夜目が利く分敵に有利な事実は変わらないので、周囲の気配に注意を払いつつなるべく足音を立てないように進む。

 夜の森で活動する生き物たちもいるはずだけど、今は何の鳴き声もせず、風すらそよとも吹かない。オーガが人間以外の生物を襲うことは無いが(攻撃をしてくる物に対して反撃するだけ)それでも異形の存在に恐怖を感じて逃げ出すのか、或いは身を隠すのか、オーガの現れる辺りはいつも不気味なくらい静まり返る。

 そういえば野生の動物は相手の方が強いと分かると、お互い無駄な怪我を負わない為に弱い物が降参するらしい。獣でも勝てないと判断する相手に向かっていくオレたちって余程の愚か者なんだろうか。

 指輪に目を落とすと、黄色から赤色に変わった。近付いている。オレは速度を落としてより慎重に進んだ。

 カサッと草を揺らす音が聞こえて、オレは大和に止まるようにジェスチャーで伝えると、耳をそばだてた。その音はオレたちの進路の少し先からしたようだ。またカサッ、カサッと連続で聞こえ、後ろで大和が息を呑む気配がする。何者かが歩いているようだが、どうもその音はオレたちから遠ざかっている気がする。隠れる気は無いようで、目的を持って進んでいる様子だ。それも1人で。夜の山の中を、それもオーガに襲われるかもしれない森を堂々と歩く人間は居ない――オーガがまだオレたちを見つけておらず彷徨っているのだろうか――と歩を進めると、月影に後ろ姿が浮かび上がった。オレの10ヤード手前を歩いている奴は――なんとオレより小柄な子供だった。意外過ぎる存在に思わず立ち止まるオレ。この辺りの住人の避難は済んでいるそうだし(現にオレたちの宿泊地にした村にも民間人は居なかった)だとしたらあの子供はどこから来たんだ?

 子供はオレたちに気付くこと無く道を進み、カーブを曲がって見えなくなった。我に返ったオレは、ポカンとした顔の大和を引っ張って子供の後を追った。

 ――ハングリーゴースト――つい先程自分で言った言葉を思い出す。死者が帰ってくる日――まさかあの子供も?――そんな訳ないじゃないか、と自分の中でその考えを打ち消す。あの子供には影があるし、足音もする。生者にしか見えない。

 となるともっと嫌な可能性が浮上する。幼体のオーガ――即ち子供がオーガ化した存在かもしれないということだ。

 オーガ化が確認された最小年齢が15歳だったこともあり、オーガには大人しかならないと言われているが、それは厳密に言えば誤りで、身体的な変化が出るのが成人というだけで、子供も罹患する。但し、子供の場合そのまま命を落とすケースが殆どなので、亡くなって肉体が消滅する瞬間を見て初めて気付く。そして、大人のオーガにも上位個体が現れるように、子供も稀に生き残り、脳や遺伝子が変化した特異個体となることがある。所謂サイキックと呼ばれるもので、どういった能力が備わるのかはそれぞれ異なるが、外見の変化が無く、記憶障害や凶暴化など大人のオーガ化に見られる症状が出ない為、寧ろ「奇跡」に近い存在と考えられていたらしい。かつては「神の子」と呼ばれ奉られたり、或いは「悪魔」や「魔女」として排斥されたり境遇は様々で、近年になって彼らを専門的に研究する機関が現れた。それがリヒト研究所だ。オーガ化した子供たちは総じて短命の為、治療を施すとして各国から罹患した子供が集められたらしいけれど、実際にはもっとエグい研究が行われていたと言う噂だ。そうでなきゃ反乱なんて起こさないものなぁ。

 ちなみにオレたち「狩人」の一族との違いは、先天的か後天的か、ということと、どちらかと言うと身体的に特化した能力が出るのが我々の特徴らしい。あとオーガ化すると生殖能力が欠如するけれど、オレたちは他の人間と変わらない。死んでも遺体は残るし、普通に腐敗していくのも一緒だ。そう考えると「ハンター」は人間とオーガの中間みたいな存在なのかもしれない。

 相変わらず信号機は赤く光っている。これはオレたちが発見した子供はオーガで確定だろう。どんな能力を持っているか分からないので、距離を保ったまま木陰に隠れて追跡することにした。子供のオーガは警備部でも元「死線部隊」と言う名の傭兵隊員しか遭遇したことが無い超レアケースなので、大和に説明していなかったことが悔やまれる。とりあえず端的に、距離が出来たタイミングを見計らって指輪を見せ、小声で

「あの子供はオーガだ。気付かれないように追う。手出しは無用」

 と伝えるとひどく驚いていた。そりゃそうだ。後ろ姿しか見ていないが、10歳前後と思われるその子供は――たぶん少年だろう――見た目も体格もそこら辺にいる子と変わらない。

 子供のオーガはなるべく保護するようにとお達しがきてはいるものの、それも相手がどう出るかで対応も変わってくる。そもそも相手の能力によってはオレたちがやられるかもしれないのだ。

 ただ妙な能力の子供がいるという報告は来ていないので、誰も気付いていないか若しくは開眼したばかりとも考えられる。それなら暴れる前に抑えられるかもしれない。

 少年?は迷い無く歩き続ける。オーガが現れた村の方角に向かっているようだ。

 そういえば今回オーガ化した男性は10歳の息子と2人暮らしだそうだ。オーガは感染するものではなく、血縁で発症する訳でもないのだが、子供の年齢的にもしかしてその男性の息子か?幸い息子は怪我もなく、他の村民と共に麓の町に避難したらしいけど――確認をしてみた方がいいかもしれない。

 オレは少年の様子を見ながら、ヘッドセットから情報部に通信を入れた。囁き声でも拾ってくれる高性能のマイクと、音漏れのしないスピーカーが付いた、衛星通信対応の特製の通信機らしく、音楽鑑賞に大いに活躍してくれたが、この間バレて開発担当に説教された。

「重低音を大音量で聴くと耳が悪くなるから」

 だそうだ。怒るとこそこなの?って感じだが。

 オレは応対に出た部員に、子供のオーガが現れた報告と、オーガ化男性の息子が避難所に居るかの確認を頼んだ。ボソボソと囁くオレを大和は不思議そうに一瞥した。

 数年に1回あるか無いかのビッグニュースなのにいつもクールな情報部員は淡々と応じると、

「確認して連絡する」

 とだけ答えて通信を切られた。あの機械みたいな喋り方はラプターくんだろう。まだ15歳だが、我が社の情報戦を担当する天才で、この通信機の開発にも関わった。さっきの通信機を音楽機器にしたことでお叱りを受けたのも彼だ。ちょっと変わった子だけど仕事は正確で速いので、彼に任せれば問題無い。そういえばらぷちゃんもいつ寝ているんだろう?

 少年の追跡を続けているとラプターから連絡が来た。

「オーガ化したタカノ・ツトム氏の息子タカノ・イサミくんは避難していた施設から姿を消している。今から4時間程前に同じ村から避難をしてきた少年と揉めて――と言ってもイサミくんは一方的に暴力を振われただけのようだが――その後居なくなったらしい。出て行ったことには誰も気付かなかったようだ。

 現在イサミ君は10歳の小学4年生だ。親子共に村民との交流は少なかったが、物静かな少年で、これまでサイ能力は確認出来なかったらしい。

 君の推察は当たっているだろう。以上」

 一方的に喋られてまた通信をブチられた。まあ受け答えしづらい状況だからいいんだけど。

 やっぱりこれまで変わった力が見受けられなかったということは、お父さんのオーガ化が引き金になって能力が目覚めたんだろう。それならまだ自分の力に気付いていない筈だ。今から捕まえるか、とも思ったが、イサミくんが目覚めた切っ掛けが父親なら、彼が向かっている先にはその父親がいるかもしれない。彼に案内して貰えれば探す手間も省けて一石二鳥だ。オレは暫く追いかけっこを続けることにした。

 ――イサミくんは一心不乱に歩く。たまに月明かりに照らされる姿をよく見ると、スニーカーは泥々だし、剥き出しの腕や脚は草木に擦ったのか傷だらけだ。避難所からそのまま抜け出してきたTシャツにハーフパンツのスタイルは山歩き向きではない。それに麓の町から4時間ぶっ通しで歩き続けてきたのだろう。根性があるというか、物凄い執着心というか……。

 もし移動系の能力なら目的地が決まっているのであればすぐに発動するので違うのだろう。オレたちに気付かない辺り感覚が特化したという訳でも無さそうだ。

 考えても分からないので付いて行くしかないんだけど、普通の小学生にしか見えない男の子の後を大人2人が尾行するって側から見ればこちらの方が危険な奴だ。今度ラプターに相談して追跡機器を用意しようかな。発信機をどうやって取り付けるかが問題だけど。

 そのまま暫く歩くと、さすがに疲れてきたのかイサミくんは足がもつれてフラつくようになった。お父さんは後回しにしてこの子だけでも保護した方がいいかな、と考えていると――行く先に木立が途切れて、開けている場所が見えてきた。イサミくんは心持ち元気を取り戻した様子で、広場に入って行く。

 月の光にキラキラと浮かび上がるそこは妖精譚の舞台の様な神秘的な場所だったが――少し離れたここからでも分かる不吉な気配がする。広場の中央に大きなクスノキが生えており、その木陰に大きな塊が見える。信号機の赤い光が一際強くなった。間違いない、あれは成体のオーガだ。

 少年は躊躇うことなくオーガ――になった父親――に近付いて行く。元親子とは言え今はオーガ同士、しかも片方は子供の姿のままだ。集団行動をとる生態は無いし、接近すればどうなるのか見当がつかない。

 イサミくんの身を案じたのか広場に近付こうとした大和を引っ張って静止させ、ここに居るように示すと、オレは射撃の出来る場所を探して移動する。

 オーガ(大)は寄ってくる少年に反応を示さない。こちらにもまだ気付いていない様子だ。イサミくんが気を引いてくれるのはいいが、あまり近付かれると巻き込みそうで嫌だなぁ……。

 オーガはずっと同じ方向に顔を向けている。イサミくんは立ち止まり、父親の視線の先に目をやった。中天に懸かる満月を見上げる2人。イサミくんが何事か呟いた。父に声を掛けているのだろうか。オーガは小さく

「グルル……」

 と唸った。少年に攻撃する様子は無い。息子だと気付いているのか、それとも同じオーガとして認識しているのだろうか。

 親子の美しい再開をぶち壊し、更に父親を目の前で屠るのは残酷だが、これ以上被害者を増やさない為には仕方がない。オレはオーガの側面に回ると、キャディバッグからAT4 CSを出して安全ピンを外し、保護カバーをずらし撃鉄を起こして肩に担いだ。スコープを覗いて狙いを定め、セーフティレバーと発射ボタンを押す。勢いよく塩水を吹き出して飛び出した弾が次の瞬間には着弾しオーガは粉々になる――筈なのだが、爆煙が晴れて現れたのは五体満足なオーガだった。着弾点から少し離れた所に立っていたイサミくんはひっくり返っていたが、驚いて転倒しただけのようでやはり無事だった。爆音で聴覚がやられたのかこちらの位置は特定出来ていない様なので、オレは木立の中に隠れて発射器を捨てた。

 爆発したし、避けた様子も無いから、あれはイサミくんの能力だろう。瞬間移動……してもいないし、シールド系かな?だとしたらもう一発ロケットを撃ち込んでも同じことだろう。飛び道具が使えないとなると接近戦になるけど、それも攻撃が当たらない可能性がある。先にイサミくんをなんとかしないと厄介だな。こんなことなら親子が接触する前に息子を捕獲していた方が良かったのかもしれないが、後の祭りだ。

 オレはもう一本持って来ていたAT4を引っ張り出し、次は少年に照準を定めた。恐らくイサミくんにも弾が直接当たることは無いだろうけれど――と言うか当たらないでほしいんだけど――音は防げないようなので至近距離で爆発させれば気絶させることは出来るかもしれない。

 その刹那、成体オーガが駆け出した。爆発に驚いて逃げ出したのか、と思ったが向かっている先はつい先程オレたちがやって来た方だ。まずい!そっちにはオレの連れがいる!

「オトウサン!」

 イサミくんが叫んだ。オーガは止まらず走り去って行く。躊躇っている暇は無い。オレは

「イサミくん、ごめんよ!」

 と謝ってから準備の整ったロケットランチャーをもう一発撃ち込んだ。ドオンッ!と爆風の衝撃が来ると、オレは荷物と発射機を投げ捨てオーガの後を追う。走りながら子供の様子を見ると、イサミくんはうつ伏せになっていた。少なくとも爆発で体が細切れになってはいないので、たぶん生きてはいるだろう。彼にとっては強行トレッキングをするわ爆発に巻き込まれるわ、散々な日だ。

 父親は爆発に目もくれず森に飛び込んだ。やっぱり耳がイカれているんだろうか。オレはヘッドフォンを装着していたので平気だけれども、連続の爆発で大和は呆けているかもしれない。

「大和ーっ!逃げろーっ!」

 聞こえているか分からないが叫んだ。この際オーガにも気付かれた方が好都合なのだが、奴は引き返しては来ない。

 オレは一時的に筋力を強化出来る特殊体質なので、オーガのスピードについていくことは出来る。ただエネルギーを消費して動く都合上、継続時間のリミットがあるので、早く追い付いて止めを刺さないと相方もオレ自身も危険に晒されることになる。

 オーガを追って森に駆け込んだオレの前方に敵の背中が見えた――次の瞬間、その背中が斜めに傾いだ。パッと血飛沫が舞い、上半身と下半身に分離したオーガがその場に頽れる。

「ギイヤアアアァッ!!」

 死に切れずもがくオーガを見下ろして、抜き身の日本刀を提げた大和が幽鬼の様に立っていた。

 切り離されたオーガの下半身は粒子になってあっという間に消滅した。

 硬い装甲に守られたオーガの体を真っ二つにするとは信じられない!すごいじゃないか!と思わず唸るオレ。

 大和は刀身に付いた血を振り払い

「モウイッタイイルノカ」

 と呟いた。オーガの体を乗り越え、首を傾げるオレの横を音も無く通り過ぎると、広場へ向かって駆けて行く。

「あ、やばいかも」

 感心している場合じゃなかった。動けないオーガは後回しにして、オレは振り返り元来た道を戻る。今度は大和の後を追う。今日は追いかけっこばかりの一日だ。

「大和!待てっ!」

 と呼ぶが無視された。オレの存在は気にもしていない様子だ。さっきまでの素直な大和くんは何処に行ってしまったんだ。

 大和は倒れたままのイサミくんの側で立ち止まり、刀を構えた。

「オニハ、メッスルベシ……」

 オレはジャンプすると、大和の側頭部を蹴り飛ばした。そのまま横に倒れて、刀が手から離れた。手(脚?)加減はしたけど結構痛かったと思う。ごめんよ。

「ついでにこれ借りるよ〜」

 オレは地面に転がった日本刀を拾い、気を失っている大和に声を掛けた。

 上半身だけになったオーガの元へ引き返すと、彼は這いながらこちらに向かって来ていた。逃げた訳じゃなかったのか、それとも錯乱したのか。オレを認識し、手を伸ばしてきたオーガの脳天に刀を突き刺した。遂に力尽きて、光の粒となって消えていくタカノ氏にオレは目を閉じて冥福を祈った。

 白刃に付着した血液も消えて、綺麗になったその刀身をまじまじと見つめる。並の刃物では傷付けることも出来ないオーガの頭に突き立てられるのだから、切れ味が抜群なのは言うまでもないが、それにしても胴体をぶった斬るというのはなかなか出来る芸当じゃない。後継者にしないなんて大和くんのおじいちゃんは勿体無いことをしているな、と考えながら、持ち主が背負ったままの鞘を回収して抜き身の刀を納めた。長い上に刃が湾曲しているので物凄く入れにくい。オレはサムライにはなれそうにない。

 イサミくんも改めて確認すると大きな怪我も無く(もしかしたら鼓膜は破れているかもしれないけど)失神しているだけだったので一安心だ。唯一の肉親を奪ってしまった遣る瀬無さを感じるが、葬られる瞬間を目撃しなかったのは不幸中の幸いかもしれない。

 能力を出す条件は分からないが念の為拘束し、またラプターに連絡をして少年を保護施設に収容する手続きをお願いした。自衛隊のヘリコプターが迎えに来てくれるらしい。連れを担いでの帰りの夜間行軍が無くなったのはとても嬉しい。まあ失神させたのはオレなんだけど。

 あちこちに散らばった荷物を纏めていると

「うーん」

 と呻いて、大和が目を覚ました。

「あれ?ここは?」

 とキョロキョロ辺りを見回す大和に、オレはイサミくんを背後に庇いつつ、

「仕事は終わったよ」

 と声を掛けた。

「え?いつの間に……てかおれ何でここにいるの?」

 訳が分からない様子の大和に顛末を説明すると、目を丸くして驚いていた。森の中に1人で待機していたらオーガと出くわし、反射的に刀を抜いた所までは覚えているが、その後は全く記憶が無いらしい。刀の存在を思い出したのか背中に手を回した大和は

「あれ?無い!」

 と慌てた。

「オレが預かってるよ。イサミくんを施設に送り届けたら返すよ」

「……うん、その方がいいと思う。よろしく」

 オーガとは言え無抵抗な子供を殺めようとした事実にショックを受けている様だ。この子のお父さんにも斬りつけてしまった訳だからね。

「大丈夫だよ。パパオーガに止めを刺したのはオレだから」

 大和の刀を拝借して――というのは黙っていることにした。

「いや、そういう問題じゃなくて……」

 フォローになっていなかったようだ。

 大和は暫く思案してから口を開いた。

「鬼斬丸――おれが持って来た刀の銘なんだけど、爺ちゃん立ち会いで抜刀したことがあるんだ。その時は意識が無くなって暴れ出す、なんてことは起こらなかったのに、どうしてさっきはおかしくなったんだろう」

「この刀は東堂家に代々伝わる物なんだよね?」

 頷く大和。

「オレも聞いた話だから真偽は不明なんだけど、狩人の一族に力の大小があるのと同じで、道具もその血縁者に生まれたから駆使出来る訳ではなくて、相性があるらしいんだよ。言い換えれば、受け継がれた道具を使いこなせる人物が正統な後継者と呼べるんじゃないかな」

 そう考えると実家から頂いたオーガ発見器の指輪も、おれが身につけている時だけ反応するのだから資格はあるということなのかもしれない。ただし、もう一つ伝わる槍の方はさっぱりダメだった。こっちは異母兄に分があったので、義母(兄の母)が安心していたのを思い出す。

「ところが中には親和性が高過ぎて、道具と持ち主の意識が一体化しちゃうことがあるらしい。ハンターの家に受け継がれる道具は対オーガ用だから、オーガが現れたことで力が強まったんじゃない?お祖父ちゃんと練習した時はオーガなんて居なかったんだから、ただのよく切れる刀だったのかも」

「ん?なんで切れ味を知ってんの?」

「え、そりゃあ胴体をスッパリ切り裂いた瞬間を目撃してるからね!」

「あ、そうか。でも、だとしたらオーガ化していない人間に対して凶刃を振るうことは無いってことか」

 危なかった!勝手に具合を確かめたのがバレたかと思った!

「一般人に攻撃し始めたらそれはもうオーガと変わらないよ!まあ『物は使いよう』だよね」

「そうかもな……」

 大和はまた何事か思考し始めた。ものすごく濃い一日だったから、考えも感情も纏まらないのは仕方ないと思う。斯く言うオレも、これから隊長に報告することが山積みだ。ある程度ラプターからも連絡が入っていそうだけど。

 そういえば、とふと思う。6年前のリヒト研究所の事故、その時のショックで大和は当時の記憶を亡くしたと聞いたけど、もしかしてそれも今回みたいなことが自身に起こったからなのでは?――と言っても当時は刀は日本に居たお祖父ちゃんの元にあっただろうし、ただの想像でしかないんだけどね。

 そんなことを考えていると、大きな風と音を引き連れて月をバックにヘリコプターがやって来た。輸送機の次はヘリか……世界の軍用機ツアーをしている気分だ。オレはイサミくんを背負い、大和と一緒にヘリに乗り込んだ。



20XX年7月22日 日本 関東某所


 1


 ヘリは一路子供のオーガを保護する施設に向かった。子供のオーガは個体数は少ないものの、保護を優先されるので大抵主要都市の近郊に作られている。

 ヘリに同乗していた医師がイサミくんに麻酔を打ち、そのおかげで護送している間イサミくんはずっと眠っていてくれた。意識が無ければシールドも発現しないようだ。

 他に能力が出現する可能性もあるため、しばらくは隔離部屋に収容されることになった。ストレッチャーに乗せられて建物の奥へ連れられて行くイサミくんを見送りながら、大和が呟いた。

「あの子は家族も無くしてひとりぼっちになって、しかもオーガになるなんて……彼にとって救いはあるのかな」

「さあね?もしかしたら死んだ方が楽だったのかもしれないね」

 大和がギョッとしてこちらを見る。

「まあここは国営の施設だし、どこかの研究所みたいに実験材料にされることは無いからそこは安心していいと思うよ。医療体制もしっかりしてるし」

 訳が分からないと言った顔で首をひねる大和。そりゃ彼の両親の居た研究所の実情は大和自身には分かりっこないのだから当然だろう。

「イサミくんの仇のオレがこんなことを言うのもどうかと思うけど、現実を受け入れられるかは本人次第だよ」

 人は望んでも手に入らない物があれば、その反対に望んでもいないのに与えられる物もある。それがイサミくんにはオーガの力だったってことだ。自由気ままに生きていたかったオレには貴族の家に引き取られたのは青天の霹靂だったし、大和だって訳の分からない事に巻き込まれて迷惑頻りだろう。

「皆それぞれ抱えたくもない荷物を背負わされて生きていかなきゃならないんだ。それをどう活用するかは自分で決めないとね」

「……抱えきれない時もあるよ」

「そういう時は誰かに手伝ってもらうか、捨てちゃえばいいんだよ!上手くいくかは分からないけどね!」

 オレはニヤリと笑って踵を返すと、施設の出入り口に向かった。ガラス窓から覗く満月はまだ粘り強く天空に留まっていた。


 2


 その後、大和の(おじいちゃんの)車と残った荷物を回収するため、タクシーで今日泊まる筈だった村に戻った。まだ検問はあったけれど自衛隊の引き上げ作業は始まっていた。

 そういえばイサミくんはよく発見されずに山に入れたなぁ。村に続く道は元より、避難先の町の周囲も封鎖されていた筈だから、どこかの薮から隙を突いて侵入したんだろうけど、迷わずに父親の元へ向かえたのだからやっぱり夜目は利くのかもしれない。

 移動中ずっと

「気持ち悪い。お風呂に入りたい」

 と呪文のように唱え続けていた大和は、念願叶ってシャワーを借りて着替えると、元気に都心を目指して車を出発させた。本当は1時間くらい湯船に浸かっていたかったらしい。信じられない、長時間お湯の中でじっとしていなきゃならないなんて拷問じゃないか!と呆れて横目で見ると、

「ASもずっと腹減ったってブツブツ言っていたじゃないか」

 と言われた。

「オレは体を動かすのにエネルギーを人一倍使うんだから仕方ないの!」

 ムッとして言い返すと、羨ましそうにこちらを見た。

「食べれば回復するってこと?単純でいいなぁ」

「お前に言われたくないわ!」

 丸めた包装紙を投げ付けてやった。軽口を叩けるようになったんだから大丈夫だろう。

 道中、漸く長かったハングリーゴーストの月が沈み、反対側の地平線から朝日が顔を出した。1日経っちゃったよ、何時間労働したんだよオレ。

 東京に着くと初日に泊まったホテルの部屋に戻り、我が隊長に嫌がらせのビデオ通話を入れてやった。

「お疲れ様!連絡待ってたよ」

 相変わらず腹が立つほど爽やかな返事が返ってきた。この人とえんちゃんへの奇襲は成功した試しがない。ずっと戦場にいるとこうなるんだろうか……恐ろしい。

「本当にお疲れだよ!イレギュラーだらけだったよ!」

「大変だったね。でもうちのエースなら上手くやってくれるって信じていたよ!ただ任務に当たっては改善点も出てきたから、それは君が帰ってきてから相談しよう」

 うーん、長くなる予想はしていたけどこの一件、やっぱりまだ続くのか。うんざりしながらも報告を済ませ、それから任務に追加された大和の観察結果も伝えた。ついでにオレの疑問も発してみる。

「あのさ、大和を同行させたのって、本当に依頼人の意見なの?」

「おや?何でそう思うの?」

 隊長は意外そうに目を丸くして見せたが、オレの質問に答えていない辺り怪しさアップだ。

「そもそも今回の任務は情報部に連絡を取れば通訳も必要無かったよね?自衛隊も動かせた訳だし。

 本当の目的は大和にハンターの素質があるか見極める為だったんじゃない?」

「そうだとしても、何故それが依頼者からの要望では無いと思うんだい?ライバルの家門とは言えハンター不足の近今、オーガに対抗出来る者が増えるのは金成氏にとっても願ったり叶ったりじゃないか」

「大和のおじいちゃんは狩人の一族だってことを隠そうとしていたし継がせる気も無かった。これは本当だと思う。現に大和もオーガのことは何も知らされていなかったから。だとしたらわざわざ孫の情報を金成さんに伝えないよね?じゃあなんで金成さんはいつも依頼している祖父じゃなくて孫に協力を頼んだんだろう?それも、今回はオレたちに依頼をしているのにわざわざ東堂家も巻き込む必要があったとは思えないんだけど」

「そうだねぇ。俺たちもまだ信用が足りないってことかな?それか第三者に判断させることで、東堂家の秘蔵っ子を引っ張り出そうとしたのかもしれないね」

 聞いておいて何だけど、この人が正直に答えるとは思えない。これ以上は時間の無駄だろう。オレはため息を吐いた。

「わかった、もういい。そういうことにしておく。大和のことは依頼人から「尋ねられたら」答えるよ」

「うん、よろしく!あ、そうそう、帰りの便は明日の朝出発だから、蜻蛉返りで申し訳ないけど気を付けて帰って来てね!」

 待ってるよ〜!と手を振られて通話が終わった。なんという人使いの荒さ!ゆっくりさせる気もないようだ。

 オレはムカムカしながら朝食の用意されたバイキング会場に行き、野菜と果物とスープ以外の食べ物を片っ端から食らってやった。植物はエネルギー効率が良くないのでなるべく糖質やタンパク質が摂取出来る食物を選んでいるだけで、決して好き嫌いではない。

 お腹いっぱいになって満足したところで、大和と合流して依頼人の会社に向かい、先日と同じ部屋に通された。

 金成社長には隊長に話した内容とほぼ同じ事を伝えた。ただし、大和がバーサーカー化したことについてはわざと伏せておいた。そこについては何も詮索されなかったので、やっぱり今回の件、隊長の差し金だろう。もしかしたら後で大和本人に尋ねるかもしれないが、正直に答えるか黙っているかは大和の判断次第だ。

 と言うか、貴重な幼体オーガが保護出来たので、そちらの方が関心が高い様子だった。今後変化があった場合、こちらにも連絡を貰えることになったので、うちとしてもそちらの方が有難い。

 ところで、秘書がまた紅茶を淹れてくれたのだが、これが実家で味わっていたのと変わらないクオリティなのでずっと気になっていて尋ねたら、学生時代ロンドンに留学していて、そこで覚えたのだと教えてくれた。オレにコックニー・アクセントがあることに気付いて出してみたらしい。実家で散々お上品に話すよう矯正されたはずなんだけどまだ残っているのか。それにしても素晴らしい逸材だ!うちが普通の会社だったら是非来て貰いたい所なんだけどなぁ。

 屋外に出ると、ずっと怪訝な表情を浮かべていた大和が口を開いた。

「秘書が英語を話せたのなら、おれが呼ばれた意味って通訳としてより、やっぱりハンターとしてあてがったってことだよな。それならおれの行動を尋ねなかったのはなんでなんだろう?」

 ふむ、大和自身も違和感に気付いたようだ。しかしどうしたものか。まさか「うちの隊長が裏面工作している!」なんて他所様に言えないしなぁ。証拠も無いし。

 オレが思考を巡らせていると、大和がはたと足を止めた。釣られてオレも立ち止まる。

「さっき社長は、勇くんの様子をASに報告するって約束したよな。それって、おれも仲間になれば聞けるってことだよな」

「はい?」

 思わず素っ頓狂な声が出るオレ。大和は構わず続ける。

「AS、オレにはハンターの才能があるって言っていたよな?じゃあ君たちの部隊に入る資格はあるってことだろ?」

「まあそうだけど……どしたの?突然」

 イサミくんとパパを攻撃したことに相当ショックを受けていたから、まさかハンターをやりたいだなんて言い出すとは思っていなかった。

「おれに出来ることがあるならやりたいんだ。それに――知りたい。オーガのことも、自分のことも」

「あー、ちょっとこっちに来て!」

 オレは大和を路地裏に引っ張り込み、声のトーンを落として話し掛けた。

「イサミくんの様子が知りたいなら、社長に聞けばいい。それに、ハンターをやりたいんだったらそれこそ君のおじいちゃんに習えばいいじゃないか」

 オレの実家と違って関係も悪く無さそうだし、それこそ日本に居た方が重宝されるだろう。イサミくん情報だって手に入りやすい。

「そうなんだけど……おれ、刀を抜いて暴走しただろ?それを爺ちゃんや金成さんが止められるとは思えないんだよ。体力の差もあるし、身内だと手を出しづらいだろうし。ASやその仲間なら年も近いし、いざと言う時は躊躇いなく攻撃出来るだろ?」

「いやいや!人を冷血漢みたいに言わないでよ!今回はイサミくん保護の為に仕方なくやったの!毎回蹴っ飛ばして止めるなんて嫌だよ!」

「そうならないように自分をコントロール出来るようになりたいんだ。その為に努力するから、力を貸して欲しい。さっき言ってただろ?背負いきれない荷物は協力してもらえばいいって」

「そんな昔の話を持ち出すなんて卑怯だ!」

「いや、つい数時間前だよ……」

 うーん、面倒なことになったな。戦力が増えるのは会社としては歓迎なんだけど、問題はその攻撃性が高過ぎることなんだよなぁ。オーガがいなくなればすぐに治まるのかも分からないし、誰かお目付役を付けなければならないとなると厄介だ。そしてその役割は実績のあるオレに回ってくるだろう。つまりオレの仕事が増える、ということだ。

「うん、君の気持ちは分かった。でも、こういうことはすぐに結論を出すべきではないよ。大和はまだ学生でしょ?将来の事は落ち着いて考えた方がいい」

 オレは突然積極的になった若者を静める。時が経てば気が変わるかもしれないから、とにかく冷静になって欲しいと言い聞かせた。

「それにね、人事に関してはオレの一存では決められないから。隊長にも確認を取らないと――」

 と言ったところで、ふと思い至った。――もしや隊長はこれが狙いだったのでは?そうだ、えんちゃんがオレをニューヨークの地下闘技場で見付けたのも、仕事で差し向けられたところで偶々出会ったからだと言っていたが――こんな偶然が二度も起こるとは考えづらい。そしてオレは2回も嵌められたってことだ。

「あの野郎〜!」

 拳を握りしめて怒りに震えるオレを怖々と見つめる大和。

「え?なんでいきなり怒ってるの?」

「自分の愚かさにさ!」

 大和のことを軽率だなんてどの口が言うんだ。

「ハァ……」

 オレは大きく息を吐いた。ここ数日ため息ばかりだ。

 まあいいや。例え隊長の思うままになっていたとしても、決めたのは自分自身なんだ。オレも、大和も。

「……卒業予定はいつ?」

「え?来年の3月だけど……話を通してくれるってこと?」

 唐突なオレの質問に、大和はびっくりしながらも答える。オレは頷き、人差し指を立てて続けた。

「そう。ただし条件がある。まず必ず学校は卒業すること。それからその間によくよく考えて、本当に入隊するか最終決断をすること。今回同行して分かったと思うけど、普通の会社勤めと違って危険なことが多いから、その辺りも踏まえて検討してね。OK?」

 先生になった気分だ。生徒は素直に頷いた。

「わかった。ありがとう!」

 満面の笑みを浮かべる大和に、彼の気持ちを汲んで返事をしたものの、果たしてこの純朴な青年に、これ以上心の傷を増やしていいのか思い悩む。

 入隊についてはまず間違いなく許可されるだろう。だって隊長はそれを狙っていたんだから。後は本人が考え直してくれることを祈るばかりだ。

 策略家の隊長と違って、オレは元来善良な人間なのだ。

ASの大食らいには理由がありました。

すぐにエネルギー変換されるので太らないけれど、常に空腹感があるという厄介な体質…

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