No.0 -prelude-
20XX年4月5日 アメリカ CA サンフランシスコ市郡近郊
「何故戻ってきたんだ」
彼は、大太刀を背負って立つ青年を見つめながら呟いた。
「君が望んだ人生を送ること、それだけがぼくの願いだったのに」
青年がオーガと斬り合い、助太刀に行こうと踏み出した彼の歩みを止めたのは、他でもない青年の様子だった。それは彼が最後に会った時に見た大人しい少年が、ただ成長した姿では無かった。刀と一体になったかのように鬼気迫る様相でオーガに斬りかかる青年は、彼が最も避けて欲しかった狩人そのものだった。
青年の刀は東堂家に伝わる至宝「鬼斬丸」だろう。あれを使い熟せると言う事は、青年には狩人の適正があったのだ。そう、彼と同じように。
ただ彼と違って、青年には仲間が居た。青年の暴走を止めた仲間を見て、彼は自分の助けが必要無くなったことを知った。鬼狩りの武器に意識を乗っ取られた状態を、オーガを死滅させる事無く止めるには、相当な自制心を身に付けるか、信頼している者が阻止しなければならない。支えてくれる存在が居ることに安堵しつつも、逃れられなかった呪いの様な血脈に苛立ちを感じる。
「結局、君もぼくも周りの思惑通りに生きていくことしか出来ないんだ。何を選んだところで、最終的には同じ道に戻って来てしまう。全く御都合主義さ」
彼はそう吐き捨てると踵を返した。
「せめて、ぼくはぼくのやり方を貫くよ。その為には――そうだな、君の事を利用させて貰おうかな。7年前は助けてあげたんだ。そのくらいの恩返しはして貰ってもバチは当たらないよね――ぼくの可愛い弟よ」
最後に自分に良く似た青年の顔を一瞥すると、彼は夜の闇に溶け込むように姿を晦ました。
新キャラ登場!
track3の大和対ブレードは戦見物をされていました。
実はNo.0はtrack2のエイブラムス語り手回で話題に出てきています。




