表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

短編小説集

短編小説③

作者: 943
掲載日:2022/10/06

【テーマ】花

私の先輩は、花が好きだった。


黒ぶちの眼鏡をかけて、放課後はいつも花壇で花の世話をしていた。

楽しそうに汗を拭う先輩は綺麗で、頬につく土を指摘すると照れくさそうに笑った。


先輩は花に名前をつける癖があった。喋りかけながら愛おしそうにそっと触れる。

そんな横顔をみるのが、私はどうしようもなく好きだった。


今は花壇いっぱいのツツジを育てていた。色とりどりのツツジが咲く花壇の前で、私は先輩に想いを告げた。

先輩は驚いて、困ったように笑う。


「ごめんね。僕には好きな人がいるんだ」


私はフラれたショックで、先輩の恋人はそこの花ですか、と嫌味たらしく言った。

先輩は一度花壇を見やり、頷いた。


「うん、そうだよ。僕の好きな人は......恋人はここだよ」


その後、私は先輩に会うのが気まずくて花壇には近寄らないようにしていたが、教室の窓から眺める花壇はいつも綺麗な花で溢れていた。


今日も先輩は花壇で最近あったことを話ながら、花の世話をしている。

愛しい人に向けるような熱っぽい視線が私に向くことはない。わかっていてもまだ割りきることはできなかった。


深くため息をつき、机に突っ伏す。

そういえば、前に育てていたアネモネにも今と同じ名前をつけていたことを思いだし、もう関係ないか、と私は帰り支度を始めた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ