1話 人間型ウイルス
2021~2030年に起こった事件があった
それはニュース番組でも話題だった
「新種ウイルスが東京都で感染者数が1000人を突破しました」
まるで売上数にように言われ続けるそれは
国民の反感を買っていた
しかしそれとは裏腹にそれでも自宅謹慎をせずに外出する無防備な国民の前では
そのウイルス対策は全くの無意味であった
「たったの1年にも満たない期間でロックダウンに慣れては困るのだよ」
ロックダウンに慣れ切ったのか知らないが
1年にすら満たないその短期間で人々は
特にウイルス感染拡大の高い国々ではロックダウンに慣れ切っていた
「それでもマスクを着け続ける人は意味が果たして本当にあるのだろうか?」
誰もがそう思っていたに違いない
特に新種ウイルスの危険性を察知している人々にとっては
しかし何の脈絡もない理論を展開して賞賛している
無意味な属性であるインフルエンサーという新種の病的ビジネス者にとって
それはフォロワーの言いなり度を確認する度胸試しにもなっていた
「はは 笑えるわ こいつら俺の手足だけで褒めちぎってやがる さすが奴隷様」
インフルエンサーの言い分はその一言でそのフォロワー達への感謝を終える
たったそれだけの一言で済まされるもぬけの殻以下の存在と立案されているはずの
その虚しいフォロワーはひたすらそのもぬけの殻にも満たない評価の中、評価を続けていた