はてさてどうしたものか
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彩乃side
土曜日から、わずか2日しか経っていないのに、なんだか今週の月曜日が来るまでの時間が凄く長く感じられた。今日も春の陽気は健在で登校中少し汗ばんでしまった。
さて、今日どうやって東君に自然な形で話しかけようかと考えていたが、やはり朝の挨拶はチャンスだと思う。朝の挨拶をするくらい不自然ではないし、話しかけられる側からしても精神的な負担は少ないだろう。
1つ問題があるとすれば、東君はクラス内であまり目立つ生徒ではないので、今までしてこなかったのに今日突然私が東君に挨拶をするとそれ自体が周りから見れば不自然であり、少し注目を浴びる可能性がある事だ。
私はあまり人から注目されるのは得意ではないし、学校ではあんな感じの東君なので彼もあまり注目浴びるのは好ましく思っていないだろう。それを考えると朝の挨拶をすべきかどうか非常に悩ましく思えてきた。
しかし私のそんな心配など杞憂も杞憂、大杞憂であった事が教室に入ると証明された。
教室に入ると教室の風景はいつもと大分違っていた。教室の後ろの方で大きな人集りが出来ていたからだ。
そしてその人集りの中心で困った顔をしているのが驚く事に東君なのだ。東君は髪を切って少しスッキリとした容姿になっていたがそれだけでこんな人集りが出来るものなのかと訝しんでいると、人集りの方からこんな声が聞こえてきた。
「東君凄い!めっちゃイケメンじゃん生徒会長が間違えてうちの教室に来たのかと思って焦ったよ!」
「わかる!めっちゃ似てるよな!双子って話本当だったんだな」
「ふんっ私はいつもの会長様と髪型が違うから最初から気づいてたけどね」
私はその周囲の声を聞いて、登校中にかいた汗がスーと引いていくのを感じた。
誰もが東君の髪を切った話などしていなかった。聞こえてくるのは彼のお兄さんと絡めた彼の話ばかりだからだ。
東君はこれまで人に興味を示されるたびにこんな風に言われてきたのだろうか?
私ならこれは耐えられない。自分ではない誰かのついでかのように自分の存在を評価される。これは本当に恐ろしい事だ。
その後先生が来て、人集りは消えた。とりあえずこのホームルームが終わったら1番に東君のところに行こうとだけ考えていたが、東君は授業の合間の休み時間はどこかに行ってしまい、話しかける事はできなかった。
あんなふうに扱われると分かっていて、教室にのうのうといられるわけはないから当然の行動ではある。
こうなってくると土曜日に仮の恋人の件を話しておけなかったのが悔やまれる。しばらく彼と学校で2人きりで落ち着いて話すような機会には恵まれないだろう。かといって休日に会うような口実はこの間のお礼の食事くらいだったので持ち合わせていないし、メッセージアプリでサラッと言うのはさすがに恩人に対して失礼が過ぎるのでこれも却下だ。
はてさて本当にどうしたものかと困り果てた。
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