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恐るべし、完璧超人パワー

誤字報告、評価、ブックマークしてくださった方々ありがとうございます。今日も失踪せずに済みそうです。

 彩乃side


 食事を終えて、私達は行きと同じく電車で私たちが住む町へと戻り、お互いに別れの言葉を口にして解散した。


 今日私は、東君から質問を受けたとはいえ、色々と偉そうに語ってしまった。でも東君は私の答えに納得してくれたのか、私が語り終えて以降とても清々しい表情をしていた。


 この日初めて私は男の人と二人きりで外出するということもあり、緊張していたけど、その緊張が杞憂であったとわかるくらい今日は楽しかった。


 東君は自分から積極的に話す方ではなかったが、会話が下手なんてことはなく、凄く聞き上手で話していて心地よさすらあった。積極的にぐいぐい来ない分ゆっくりと会話ができた。


 そして今日仮の恋人関係の話をするのをつい忘れてしまったのも、そんな重要なことを忘れるくらい、予想以上に東君との会話が楽しかったからであるに違いないと思う。

 決してこのまま仮の恋人関係でなくなって、東君との関係が切れるのが嫌だなとか思ったからではないのだ。


 まぁ幸い学校でも同じクラスであまりこういうことを言うのは憚られるけど、東君は学校ではかなり目立たない人だし、二人きりで話す機会はこれから何度も作れるはずだ。


 手始めにまずはどうやって、自然な形で東君に話しかけるのか考えないといけないな。



 後になってからこの日のことを私は凄く後悔する事になる。この時の私はまだ週明けの学校であんなことが起こるなんて知る由もなかったから仕方ない事だった。

























 済人side


 月曜日。それは日本の学生にとってこれほど憂鬱な日はないだろう。休日に美少女と食事に出かけたとはいえ、先週の疲労がたった二日の休日でとれるわけがないのだ。


 そもそも昨日は久々に美容室にいって髪を切って、やたらとなれなれしく話しかけてくる美容師の扱いに辟易とさせられて精神的疲労度が跳ね上げられてしまっているしな。


 ほんと美容師然り、服屋の店員然り、こっちが話しかけないでくれオーラを全開で出してるのにも関わらず、あんな平気で申し訳なさもなく話しかけてくるの?

 まさか俺のATフィールドが見えていないのか…俺はあの手の人間に話しかけられるたびにゴリゴリと精神を削られて、しまいには知らない天井だっつって目覚める羽目になるぞ。


 それにしても今日はやけに視線を感じるな。まさか朝食べた食パンのジャムが口の端についているんじゃないだろな。だとしたら恥ずかしすぎる。


 教室に入った瞬間まるで時が止まったように教室が静まり返った。そしてよりまじまじと視線を集めるようになり、女子なんか一気に集まってヒソヒソとなにか話始めていた。


 おかしいな教室に入る前に口の端はもちろん顔にジャムがついていないか確認したはずなんだがな。


 まぁここでポツンと立っていても仕方がないので、とりあえず自分の席を目指した。


 席の方に近づくといつも通り登校早々爆睡をかましている俺の席の前の席の主である春川が俺が接近したことを察知したのか、目を覚ました。


「あぁヒガシーか、おはよう。髪だいぶ切ったな」


 春川がそういうと教室中から声があがった。いやなんださっきまであんな静まり返ってただろ。


 さっきまでコソコソ話していた女子の一人が歩み寄ってきて春川に話しかけた。


「春川君確認なんだけどそこに立ってる人は東君であってる?」


「何言ってんだよ、頭の先からつま先までどっからどう見てもヒガシーだろ」


 春川のその言葉をきいたクラスメイト達は一斉に俺を取り囲んだ。なんだリンチか?今からリンチが始まるのか?


「東君凄い!めっちゃイケメンじゃん生徒会長が間違えてうちの教室に来たのかと思って焦ったよ!」


「わかる!めっちゃ似てるよな!双子って話本当だったんだな」


「ふんっ私はいつもの会長様と髪型が違うから最初から気づいてたけどね」


 と口々に俺の容姿について賞賛の声が飛ぶ。普通の人間なら嬉しがったり、恥ずかしがったりするのだろうが残念ながら今俺が抱いている感情は嫌悪感だ。


 なぜなら皆、俺を称賛する際に打ち合わせでもしてきたかのように兄の名前や肩書を出す。俺の評価であるはずなのに結局兄と絡めて俺がどうなのかという基準でしか語られない。


 つまり、所詮俺は兄の二番煎じでしかない「じゃない方系男子」というわけだ。


 俺はこの状況をいつか必ず変えて見せる。俺が誰でもないただの「東済人」であるために


 クラスの大多数連中が騒いでる外でその様子を西大路が唖然とした顔で見ている。


 そりゃ先週まで影の薄さで教室にいるのかどうかも怪しかったクラスメイト兼仮の恋人がこんなになってたらそんな顔にもなるわな。


 そんなこんなで担任がホームルームの為に教室に入ってくるまで、俺は取り囲まれたままであった。


 ホームルームが終わると俺はまた取り囲まれるのを恐れて教室から逃げ、授業毎に教室に戻ってきた。


 髪を切って顔がきちんと見えるようになって兄貴と重ねられる所まではまだわかるが、まさかあんなふうに取り囲まれる事になるとは、恐るべし完璧超人のパワーだな。


 昼休みいつも教室で1人か寝ていなければ春川といつも昼食をとっていたが今日のところは屋上に逃げ込んだ。


 うちの屋上は開放されているが整備が行き届いておらずあまり綺麗でないので、ここで昼食を食べようなどと思うのは俺くらいだろう。




 昼食を取りながら俺はこれからの事をもう一度考えることにした。


 まずはまさかあんなに騒がれると思っていなかったので容姿の方はどうにかしなければならないだろう。


 だがこれに関しては持って生まれてしまったものなので、仕方ない面もあるから伊達メガネ等をして兄とはなるべく差別化を図るようにして、さっさとクラスの連中が俺に慣れてくるのを待つしかない。


 そして1番重要などうやって兄貴を超えるかだ。俺としてはどんな分野でもいいので勝負できるものの幅は無限だ。


 しかし今はもう同じ家に住んでいないので、プライベートで勝負という事は実質不可能だ。


 そうなると学校の行事やテスト関係で勝負を仕掛けていくしかないな。手始めに今月暮れにある全国学力テストの順位で仕掛けよう。


 昨季はやる気を無くして勉強も全く手がつかず、悪くはないが兄貴には決して及ばない順位を推移してきたわけで、言い訳がましいがかなりブランクがある。


 その為今回の全国学力テストでいきなり勝てるとは思っていないがある程度兄貴の目に入るくらいの順位をとって宣戦布告代わりにでもしよう。


 あんなに倦厭してきた兄貴に対する挑戦だがやると決まれば、なんだかワクワクしてくるな。


 少年漫画の三原則の内、友情は欠けているがなんとか、それを補うほどの努力で勝利をもぎ取る。


なんか昨日からこの作品のあらゆる数値が爆発的な伸び方してて、理由が分からないので戦々恐々としています。特別何かしたわけではないのですが不思議です...


やたらと話しかけてくる美容師や服屋の店員さんが苦手という方は下の☆ボタンをポチってください。そろそろイケメン兄貴だせよと思っている方はブックマークお願いします。

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