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目は口程に物を言う

評価、ブックマークありがとうございます。まだまだ失踪せずに済みそうです。

 済人side


 さぁこれで一対一での話し合いの場は整えられたな。


 ここから自分の意思を通せるも通せないも西大路次第だが、まぁ俺の予想では通せないだろうな。


 西大路の父の威圧は正しく本物だ。これを幼少期から受け続けているのなら父と話すこと自体がトラウマとなり、足がすくむような思いになってもおかしくないだろう。


 現にここまでの会話で西大路が西大路父にはっきりと自分の思いを伝えることはできないでいる。


 そして、もし仮に父への怯えを乗り超えて、西大路が想いを西大路父に伝えることができたとしても、西大路父の俺との短い会話からでも感じ取れるあの自己中心的な性格から自分の考え以外まず認めることはないだろう。


 あの父親の中では自分の決めた相手と西大路が結婚するということは確定事項であり、どんな理由があろうとそこは曲げる気はないだろう。


 そうでなければ跡取り息子ではないとはいえ家柄も申し分ない俺との交際をやめさせようとするはずないだろうしな。


 そんなわけでこのままいけば西大路は夢破れ、あえなく不本意な結婚をすることになってしまうわけだが、俺はここから西大路の手助けをするつもりは一切ない。


 正直兄以外にディベートで負けた経験はないのであれやこれや言って、俺が西大路のバックアップをすれば西大路の願いを叶えることもできるのだろうが俺はそれをしない。


 これはあくまで西大路の挑戦なのだ。


 だから勝つにしても負けるにしても(自分のせい)であるべきだと俺はこれまでの人生で学んできた。


 敗北に禍根を残してはならない。





















 彩乃side


「東君はこう言っているがお前は別れることになんの異論もないな」


 お父様がいつもと同じ目をして私に問いかける。自分の意見が絶対であり、それ以外は認めないという力の籠った目だ。


 私はこの目が幼い頃から怖くて仕方なかった。


 反発したことがないから反発したらどうなるかなんてわからないけれど、それでも無性に怖くて仕方なくて、あの目を向けられるといつもなにも言えなくなってしまう。


 東君にもあの目向けていたけれど、彼は臆することなく自分の意思をお父様に伝えていた。


 なぜだろうか男女の違いこそあれ同じ高校生なのになぜ彼はあんなにも何でもないようにお父様に意見できるのだろうか。


 私が私の願いを叶えるには私も彼と同じように今この場で私の意思をお父様に示さなければならないのだろう。


思い出せ彼の所作をどうやって、どのようにしてあの怖いお父様に意見を言ったのだ。


 お父様と彼の会話の様子を思い出す中で、私は一つの事に気がついた。


 そう彼は会話をする中で一度もお父様から目を逸らしていなかったのだ。


 そういえば幼い頃から私もお父様から同じ事を言われた。「なにか言いたいことがあるなら目を見て話しなさい」と


 私はこれまで父の目が怖くて一瞬しか見られなかった。何か話すときも目を合わせず話していたからまともに取り合ってくれなかったのかもしれない。


 お父様が力の籠った目で私に意見してくるのなら、私もそれ相応の目で向き合わなければならなかったんだ。


 目は口程に物を言う。


まずは目で自分の意志の強さを示さなきゃお父様も対等に話してくれるわけがない。


 後になって思い解せば、本当にギリギリではあるがここからやっと私にとって本当のチャレンジが始まったのだ。

















 済人side


「なにを黙ってうつむいているんだ。早く答えなさい」


 西大路父が更に西大路に詰めた。


 まぁここまでだろうな。


 結局怯えて話し合うところまでもいけなかったか、わかっていたことだが少し悔しくに思うな。


 それも俺が西大路に過去の兄に挑戦していた頃の自分を重ねているという証拠だろうな。


だから西大路の敗北が自分の負けのように写ってしまっているんだろう。まったく西大路に失礼な話だ。


「私は東君と別れるつもりも、お見合いをするつもりもありません」


 西大路は突然顔を上げ、西大路父の目を見てそう答えた。


西大路父を見つめる彼女の目は自分の意思を曲げる気は無いという強い意志を帯びているように見える。


「なんだと?当主である俺の意に逆らうのか?」


「はい、逆らいます。だって私には私の考えがありますから」


 西大路父は反発する西大路に凄んだが、彼女は怯えて目をそらすのではなく、毅然とした態度でそれを受け止めた。


「私の考えだと?ふざけるな!」


「ふざけていません!私はお父様の決めた相手ではなく私自身の決めた相手と恋をしたいのです」


「うるさい!俺が選んだ相手こそお前にふさわしいに決まっているだろう」


「どうしてそんなことが言えるのですか!お父様が一体私の何を知っているというのですか!」


「知っているも知らないも俺はお前の父親であり、西大路家の当主だ!」


「それがなんだと言うんですか!さっきから自分の立場ばかり主張して私のことなんてなにも分かっていないではないですか!結婚も私の人生の一部です。例え父であろうと家の当主であろうとどんな立場の人間にも私の人生を勝手に決めさせたくはありません」


「ぐっ生意気な事を……」


「生意気でもなんでもいいです。とにかく私はお見合いを受ける気も勝手に結婚させられる気もありません。私は私の選び、愛した東君と恋愛をします!」


 西大路は息を切らしながらも父親に自分の意思をはっきりと伝えきった。


 はっきり言って驚きを隠せない。一体なにがトリガーになって西大路はここまでの成長を見せたのだろうか、全く想像がつかない。


このままいけばもしかすると勝ってしまうのではないだろうか。


「そこまで言ってそれ相応の覚悟は出来ているのだろうな」


「ええ、私は私で自由に生きる為にどんな困難も厭いません」


 暫しの間2人は睨み合った後、西大路父は溜息をつき勝手にしろとだけ言い残し部屋を去っていった。


 勝手にしろということは西大路の行う事に口を出すつもりはないという意味であり、これは紛れもなく西大路の勝利といえるだろう。


 西大路父が出ていった事で緊張の糸が切れたのか西大路はその場にへたり込んでしまった。


「良かったな。間違いなく西大路の勝ちだよ」


「東君のおかげです」


「やめろよ、西大路は西大路の力だけで自分の理想を勝ち取ったんだ」


「いえ、本当にうまくは言えないんですけど、とにかく東君のおかげなんです」


「まぁなんだそこまで言うなら今度飯でもおごってくれよ、それで貸し借りなしだ」


 俺がそう言うと西大路は「はい!」と憑き物でも取れたように笑顔で返事をしてくれた。


 しかし西大路の事を考えると喜ばしい事ではあるが、何もかも予想外だったし喜ばしく、嬉しいはずなのに心が少しばかり重いな。


 まぁそんな風に思うって事は西大路に過去の自分を重ねているからって西大路の敗北を予想していただけでなく心のどこかで望んでいたんだろうな。


 そんなこんなで俺の西大路家訪問編は幕を閉じた。























 彩乃side


 東君を門まで送ったあと、私はすぐにお風呂に入ることにした。

今日は本当に疲れたから少しでも身体を癒したかったからだ。


 湯船につかると柄にもなく、「ふぅ~」と声がでてしまった。自分がおじさんみたいでちょっぴりやだな。


 それにしても今日は本当に東君にお世話になりっぱなしだったな。


 私がお父様に意見できたこともそうだけど、冷静に考えると私とお父様が話せるようにうまく誘導してくれていたような気がする。


初めて会った時遠くから見てもわかるくらい無気力な目をしてたから大丈夫かなって思ってたけど、今日の東君の眼は強い意志を帯びていて凄く頼りになった。


なんというかそのかっこよかったなぁ


「って何考えてるんだろう私!東君は仮の恋人なんだからそういうんじゃないのに...」


 でもお父様からはもう勝手にしろって言われたわけだし、この仮の恋人関係もう存在意義がないような...


 でも私からこの関係を頼んだ手前私からやめようって言い出すのは少し気まずい感じがする...でもこれに関してはちゃんとしないとだから来週食事に誘ってその時きちんと伝えようっと。


 ていうことは来週も東君に会えるのか、楽しみだな。


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私事ですがゾンビランドサガ リベンジのブルーレイ買いました。「revenge」をフルリピして続き書いています。

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