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6。

 

 

「でも殿下、学校の授業はでないとダメです。試験も追試とか恥ずかしいですし。レポート再提出どころか再々提出も」

「えぇい、煩い。フィーリア、お前のそういうところが嫌いなんだ。不敬だろう!」

 それは本当に不敬というものなのだろうかと会場の心が一つになる。


「不敬などといわれましても、最後は私の添削がなかったら再々提出のレポートすら不可になって、いまここで卒業パーティーになんか出れてませんよ、殿下」

「うるさいうるさいうるさーーい!! お前との婚約は破棄ったら破棄するんだ! 陛下の許可なんか下りなくても絶対にする! するったらするーー!!」


 フィーリアの冷静な発言を、とにかく大きな声と身振りで遮ろうとしたサリオにより、リズベットは今風に盛りに盛ったゆるふわヘアーを掻きまわされ、腕の中から突き飛ばされた。


「あぁん、ようやく買ってもらったピンクダイヤの髪飾りがぁ」

 乱れた髪から零れ落ちたそれをお手玉しながら必死になってキャッチしようとしたリズベットは、自分のドレスの裾を踏んで後方へつんのめり、床へお尻をついてしまった。


「きゃー」

「フィーリア、貴様、こんなに華奢で可憐なリズになにをするんだ」

 豊満わがままボディのリズベット嬢には華奢も可憐という形容詞も当てはまらないと思うが誰もそこに突っ込む余裕はない。そして「突き飛ばしたのはお前だろ」という突っ込みをするものもいなかった。


「リズベット嬢、大丈夫ですか」

 殿下の後ろで壁役をしていた(ぼーっと立っていたともいう)ガイがそっと手を差し伸べてリズベット嬢を立たせた。


「あぁ、髪が乱れてしまいましたね。直してあげましょう」

 ジェフリーが器用な指で、ゆるふわ髪を適当にぐるぐるまとめ上げ、受け取った髪飾りで留めてあげる。

 正直、誰の目から見てもぼさぼさで、敵側のはずのフィーリアとマリですら直してあげたいと思うほどだったが鏡もないここならリズベットには見えないし、今のところ十分だろう。


「うん。サリオ殿下の腕の中には、やっぱりリズベット嬢が似合うと思うな」

 にこやかに笑ってパーシバルが殿下の腕の中へとリズベット嬢をさっと押し出した。


「さっきは急にあんなこと言い出すから心配しちゃったけど、やっぱり皆わたしの味方をしてくれるのね。ありがとう。私、サリオ殿下と幸せになります!」

「うん。お似合いだ」「おめでとう」「幸せになってね」 ぎゅっと殿下の背中に腕を回しながら頬を染めて宣言するリズベット嬢に、3人は晴れやかな笑顔をむけた。


「お前たち。ありがとう。この素晴らしい僕が、かならずリズベット嬢を幸せにするよ。もちろん、リズは僕と一緒にいられるだけで十分すぎるほど幸福だろうけどね」

 うふふあははと二人だけの世界を築きあげるサリオ殿下とリズベット嬢を前に、途方に暮れるフィーリアは「帰りたい」そう呟いた。




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