表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
94/129

94 女王蜂様 全校放送で復活!

 素材の採取作業を終えた僕と紗季未(さきみ)は生物化学室に戻ることにした。


 でも、まずは外から様子を(うかが)って、三俣(みつまた)がまだ落ち着いていないようなら、女王蜂様室に戻ろうと紗季未(さきみ)に話した。紗季未(さきみ)(うなず)いた。


 恐る恐る生物化学室を(うかが)うと中から三俣(みつまた)の明るい声がした。どうやら飛得(ぴえる)先輩と化学実験のことで盛り上がっているらしい。


 これは大丈夫かなと思い、ゆっくりと生物化学室の扉を開けた。


 一瞬、三俣(みつまた)と目が合い、三俣(みつまた)は下を向いた。でもすぐに上を向いて笑顔を見せてくれた。

「おかえり。いい素材は取れた?」


「そりゃもう、レア素材が三種類も取れたよ。そっちはどう?」


「こっちも順調。見てこれ」

 三俣(みつまた)はビーカーに入った液体を見せてくれた。

「傷薬。疲労回復薬。そして、爆薬」


「おおっ、凄いじゃないか。もう三つも。さすがは『化学者(ケミスト)』」


「ふふん」

 三俣(みつまた)はちょっと得意そう。

「さあて、『錬金術師(アルケミスト)』の方はどうかしら?」


「うーん。ようし、こっちもやってやろうじゃないの」


 <調合1>「薬草」+「清水」+「木の実」=「傷薬」


 <調合2>「薬草」+「清水」+「木の実」+「きのこ」=「疲労回復薬」


 <調合3>「火薬石」+「温泉水」+「樹液」=「爆薬」


 

「ぷっ、何それ」

 三俣(みつまた)は吹き出した。

「まるでこっちの真似したみたいじゃない」


「いや、そういうつもりでもないんだ。この『錬金術(アルケミー)』の教本の最初の項目から調合していったらこうなったんだよ」


「ふーん。え? その本、新川(にっかわ)君には『錬金術(アルケミー)の教本』に見えるの?」


「え? 他の何に見えるって言うのさ?」


「私には『化学(ケミストリー)のテキスト』に見えるよ。やっぱり最初の項目から製造していったんだ」


 ! これが蜂野先生の魔法か! 蜂野先生のすぐ近くにいるとおバカばっかやってるから分からなかったけど、今更ながら凄い。


 なりたいものに変身させるだけでなくて、周囲の道具までそれに合わせて変化する?


 僕の周りの人たちが蜂野先生をリスペクトする訳だ。まあ、おバカ趣味を知らないってのもあるけど……


 少し蜂野先生を見直したと思ったその時……


 グオオオオオオオオオオオーッ 


 分かるっ! 僕には分かるぞっ! 


 これは正午のサイレンなどではないっ! 蜂野先生の……お腹の音だ…… それが全校放送されてるっ!


「ぴんぽんぱんぽーん」


 うわっ、チャイムを自分の口で言ってるよ。蜂野先生。


「お昼よん。いやっ、そんなことはどーでもいーのよん。あたしのお腹が空いたのよん。とっとと準備するのよん。『農場物語』の子たちがやってるバーベキューの準備を手伝って、早く、あたしに食べさせるのよん。北原さんとイチャついてる場合じゃないのよん」


 ドッと学校中が笑い出す。前言撤回。やっぱり、蜂野先生は蜂野先生だわ。 

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] わざわざ腹の音を放送するとは……そっちの羞恥心もないのか(゜Д゜;)
[良い点] >蜂野先生の……お腹の音だ いや、なんでわかるねんw ここは思わず笑ってしまいましたw
[一言] 先生お腹が空いたのですね (*´▽`*) 先生らしいですね☆彡
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ