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異世界から来た女王蜂様は働き方改革を断行します  作者: 水渕成分


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92/129

92 女王蜂様 また出番なし 決戦は生物化学室

 僕は硬直してしまった。


 これが蜂野先生か母さんの発言だったら、また僕をからかっているんだと思う。


 だけど、相手が三俣(みつまた)となると話は別だ。本当に真面目な委員長タイプで、あまり冗談は言わないはずだ。どう対応したものか。


 ◇◇◇

 

真理(まり)ちゃん」

 硬直している僕を見かねてか紗季未(さきみ)が口を開いた。

「さっきの真理(まり)ちゃんの言ったこと。いろいろととれるよね。『化学者』として『錬金術師』と交流したいのか、それとも……」


「男女として付き合いたいのか?」


「そうだね。どっちともとれるね」

 三俣(みつまた)は微笑んだ。

「だけど、私は新川(にっかわ)君の答えを聞きたいな。こっちもこれでも勇気を振り絞って言ったんだよ」


 紗季未(さきみ)は小さく頷くと、僕の方を向いた。分かっている。相手が勇気を振り絞って言ってくれたのなら、こっちも誠意をもって答えるのが礼儀だろう。


 僕は……


 ◇◇◇


「『錬金術師(アルケミスト)』としては『化学者(ケミスト)』との交流は大歓迎だ。こっちからお願いしたいくらいだ。だけど、三俣(みつまた)が男女としての付き合いを望んでいるなら、悪いけどそれには応えられない。僕にはもう紗季未(さきみ)がいるから……」


「ふう~うっ」

 三俣(みつまた)は生物化学室中に響き渡るような大きな溜息を吐いた。

「やっぱり駄目だったかあ。幼馴染が勝つこともあるんだねえ」


 そして、三俣(みつまた)は後ろを振り向くと言った。

「と、言うことですよ。先輩」


 すると、暗幕の陰から姿を現したのは生物化学部長の飛得(ぴえる)先輩。人が悪いなー。そこで聞いてたんですか?


 飛得(ぴえる)先輩はこちらに来ると、僕と紗季未(さきみ)に深々と頭を下げた。

新川(にっかわ)君。きちんと答えてくれてありがとう。そして、『化学者(ケミスト)』と『錬金術師(アルケミスト)』の交流を受け入れてくれてありがとう。真理(まり)のことは大丈夫。僕も支えるし」


 え? 真理(まり)って名前を呼び捨て? この二人、兄妹じゃないよな。いやそんなはずはないぞ。三俣(みつまた)は僕や紗季未(さきみ)と小学生の頃から一緒だけど、同じ高校に兄がいるなんて聞いたことがない。と言うことは……


 ふと見ると、三俣みつまたの眼に涙が溜まって来ている。いかん。この場に居続けてはいかん。紗季未(さきみ)の方を見ると、やはりしきりと(うなず)いている。


 えーと。生物化学室内を見渡すと、いつの間にやら「錬金術」の調合用の大鍋が置かれている他に、棚には「錬金術」の資料となる本がある。あの本を持って、この場を立ち去ろう。


「れっ、『錬金術(アルケミー)』には素材の収集が必須なんだ。これから外で収集してくるよ。紗季未(さきみ)も一緒に来る?」


「うん」

 僕は頷いた紗季未(さきみ)の手を引くと素早く生物化学室から出た。


 そのすぐ後、生物化学室から「うわあああ」という三俣みつまたの泣き声が聞こえて来た。飛得(ぴえる)先輩の慰める声も。


 うーん。ここは飛得(ぴえる)先輩に任せておくのがいいよね。


 僕と紗季未(さきみ)は顔を見合わせ、また頷きあったんだ。 

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― 新着の感想 ―
[一言] 幼馴染は裏切れぬですな( ゜д゜)ウム
[一言] 幼なじみが絶対に負けないラブコメ(迫真)。
[気になる点] >生物化学室内を見渡すと、いつの間にやら「錬金術」の調合用の大鍋が置かれている とすると、調合のために、素材を集めたら、また生物化学室に戻ってくるのか? それまでに、三俣さんの傷が癒…
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