表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界から来た女王蜂様は働き方改革を断行します  作者: 水渕成分


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

90/129

90 女王蜂様 がいないのに 新川君が大ピンチ

 昨日は校長室改め女王蜂様室にしか入らなかったから分からなかったけど、これはもう学校じゃないよね。


 アイドル事務所、動画スタジオ、冒険者ギルド、農場の資材置き場、そして、戦車部…… それぞれの部屋がギャーギャーキャーキャー大騒ぎ。でも……


「みんな、楽しそうだね」

 紗季未(さきみ)が笑顔で言ってくれる。言おうと思ったこと、先に言われちゃったと思って、苦笑い。


 あのさ……

 ふと、思いついたことを言ってみる。

紗季未(さきみ)は普通の学校生活がなくなっちゃって、こうなっちゃったこと、どう思ってるの?」


「んー」

 紗季未(さきみ)は少しだけ考えて答えてくれる。

「私は吉田君と小林君が頑張ってくれて、蜂幡(はちまん)FCに(たっくん)とお父さんとお母さんが帰って来てくれれば、それでいいかな。後はみんながこっちの方が楽しければそれでいいかなと」


「前も聞いた気がするけど、自分が何かに変身して、やってみたいこととかないの?」


「ん-」

 紗季未(さきみ)は今度はほんの少しだけ長く考えてから答えた。

「やっぱり思いつかない。でも今はみんなが楽しいからいいと思う」


 相変わらず欲がないのか。それとも、蜂野先生の言うところの「大器」なんだろうか? 優しいしっかり者なのはいいけど、紗季未(さきみ)にも自分のやりたいことをやって、幸せになってほしいんだけど。


 ◇◇◇


「ところでどこに向かってるの?」

 紗季未(さきみ)から不意に質問が出る。


「自分でも分からない。でも、こっちの方向だってのは何となく分かるんだ」


「ふーん。『錬金術師(アルケミスト)』の知識なのかな?」


「それも分からない。でも、分かるんだ。目的地はそこだ。1階の廊下のどん詰まり。あの鈍く光っている部屋」


「えっ? あれって、ただの『生物化学室』だよ」


紗季未(さきみ)にはそう見えるの? じゃあ、えいっ!」


 杖を一振りすると……

「あ、私にも『生物化学室』が鈍く光って見える」


 これが「錬金術師(アルケミスト)」の能力(ちから)……なのかな?


 ◇◇◇

 

 「生物化学室」の中は真っ暗なようだ。暗幕を張ってあるのかな? 他の部屋が電灯全開でギャーギャーキャーキャー大騒ぎだったのに比べ、シンと静まり返っている。多分、人がいないんだろうね。


 となると、蜂野先生が部屋主不在になった「校長室」を乗っ取って「女王蜂様室」にしたように、僕も「生物化学室」を「錬金術師室」、いや、「アトリエ」か…… に出来るということかな。


 僕は念のため「生物化学室」の扉をノックする。返事はない。やっぱ空き部屋かあ。


 ゆっくりと扉を開け、つい習慣で「おじゃまします」と言って、部屋に入る。


 真っ暗だ。電灯のスイッチを探す。後ろから紗季未(さきみ)の声がする。「おじゃまします」と。

後について、部屋に入ってきたようだ。


 グイッ


 不意に後ろから羽交い絞めにされた。急なので声も出ないし、暗くて相手の姿が確認出来ない。


「フッフッフッ、待っていたわよ。もう、逃がしはしないわ。待望の新入部員」


 その声はヘリウムガスで変声されていて、誰のものか分からない。うーむ。さすがは「生物化学室」。

とか感心している場合じゃないよ。ピンチだって。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] アトリエシリーズな変身しなくてよかったなぁと思ったら……ダレェ!?(゜Д゜;)
[良い点] 一体誰なんだーっ!? って、あの人しかいない気もしますがw
[一言] なんだかすごい楽しい学校(?)になってますね (*´▽`*)
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ