69 女王蜂様 新川君に圧勝
紗季未の視線がどんどんきつくなってくる。ここはお盆で殴られる前に手を打たないと……
考えろっ! 考えろっ! 自分っ! ワーストシナリオは、この場で、18歳の母さんが「レオタードエプロン」から「裸エプロン」への変身モードに入ることだ。
それが一番僕の性衝動と紗季未の怒りが最大になる。それだけは回避するのだっ!
◇◇◇
「わ~っ、僕は…… 裸レオタードじゃなかった。レオタードエプロンが好きだなー。今の恰好のままがいいなあ~」
「あら。そうなの~、こうちゃんってマニアックなのね~」
「さっちゃん。新川君はフェチよ。フェチッ! フェチシズムよん」
「よかったわ~。レオタードエプロンが好きだなんて~」
「これは開発のしようで、隠れ属性も出て来そうねん。今度はボンデージにハイヒールとかどうかしらん?」
「それも面白そうねえ」
えーと。それが高校生の母親とクラス副担任の会話なのですか? 何なんですか? この二人は……
ただ、放っておくと話がどんどんヤヴァイ方へ行ってしまいそうだ。ここは止めねば……
◇◇◇
「母さ~ん。僕、お腹空いちゃったな~。早く母さんの手料理食べたいな~」
こっちを振り向く母さん。これは行けるかも。
「はっはっはっ、な~に言ってんのよ。新川く~ん。4時にラーメン食べたばっかりでしょー」
むむむ。蜂野先生の妨害工作。しかし、ここで負けてはいられない。
◇◇◇
「いや、僕、食べ盛りの高校生でしょ? すぐお腹空いちゃうんだ。もうお腹ペコペコ。一刻も早く母さんの手料理食べたいなー」
「あらそう? しょうがないわね~。ちょっと待ってて、直ぐ作るから。あ、紗季未ちゃんも食べて行くんでしょ?」
「あ、そうしてもらえると助かります」
「遠慮しないで食べて行きなさい。いつものことでしょ」
「あ、私、一緒に作ります」
ふふふ。勝った。蜂野先生敗れたり。僕は見事ストーリーを修正し、怪しいエロから健全なホームドラマに切り替えたのだ。ははは。実の母親と彼女が一緒に仲良く夕飯を作る! これに勝る健全さがあろうか(いやない)。
「きゃーっ! 何? 何? その子? かっわいい~」
◇◇◇
あわてて見ると、蜂野先生が恒未を抱きかかえて、母さんに見せているし。しまった詰めを誤ったか。
「この子はねー。あたしと新川君の愛の結晶よん」
「と言うことは、この子はあたしの『お孫ちゃん』ねー。でもねー。あたしは『おばあちゃん』じゃなくて『おねえちゃん』だからねー」
母さん、基本は忘れていませんね。まあ、この程度で済めばいいんだけど……
「この子はあたしと新川君の愛の結晶よん」
蜂野先生。話をそっちの方向に持って行くために同じことを二度言いましたね。
「まあ~。いつの間にそんなことに。ヘタレDTかと思ってたら、親の気付かぬ間に、やることしっかりやってたのね。で、具体的にはどうやったの」
「そこはねー。ヘタレDTだからねー。初めはめきみの攻めにやられっぱなし。しかしっ! 遂に恒太朗の若き野生の本能に火が付き、めきみの体を仏壇返しにちゃぶ台返し。欲望のおもむくままにロングナイトアタッカー。もうっ! ありとあらゆる液体がこれでもかと飛び交ってっ!」
母さん目を爛々と輝かせて大喜び。紗季未は耳まで真っ赤。恒未も、もちろん大喜び。
すみません。この勝負、僕の完敗です。蜂野先生の圧勝です。




