表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
53/129

53 女王蜂様 手のひら返し(これはひどい)

 そこにやって来たのは隆山(りゅうざん)先生。


 ひょっとして蜂野先生を起こしてくれるのかな? と思った僕は大甘だった。


「あんらあ、めきみちゃん。寝ちゃってるの?」


「疲れたから、おねむなの」


「そう言えば疲れたねえ。一緒に寝ていい?」


「ウェルカムよん」


「わ~いっ!」


 隆山(りゅうざん)先生、蜂野先生の布団に潜り込むと右手と左手、それぞれ握ると……

「一緒の布団で寝ようねぇ~っ、ねぇ~っ」


 これ、母さんの時と同じパターンじゃないかあ~。


 ◇◇◇


 続いて、現れたのはぷんすか状態の紗季未(さきみ)

「こうちゃん。今度は何が起こったの?」


「怒らないでくださ~い。だって、隆山(りゅうざん)先生と蜂野先生が疲れたから寝るって」


「ふ~ん」

 ちょっと考え込む紗季未(さきみ)

「このまま行けば、私と疲労子(ひろうこ)さんの不戦勝になりそうだけど、それじゃ、散々巨乳自慢された気が晴れないわね~」


 それもそうだけど、観客(ギャラリー)が暴動起こすよ。これじゃあ。


 すると、紗季未(さきみ)はとことこと疲労子(ひろうこ)さんのところに向かうと、何やら耳打ち。


 疲労子(ひろうこ)さんは仁王立ちのまま、ゆっくりと隆山(りゅうざん)先生と蜂野先生が寝ている布団に向かう。


 ◇◇◇


 疲労子(ひろうこ)さんは大きく息を吸い込むと、布団に向かって一言。

「ふん。隆山(りゅうざん)の奴は、己がラーメンがあたしのそれに及ばないことを知ってやがるのさ。試合放棄だよ。あっはっは」


 それを聞くや隆山(りゅうざん)先生、ガバッと起き出し、

疲労子(ひろうこ)っ! この痴れ者がっ! 貴様にラーメンを語る資格はないっ!」


 おおうっ! これは行けるか? と思った次の瞬間

「まだ、真夜中だよ。寝てましょう」

 蜂野先生が隆山(りゅうざん)先生の左肩を掴んで、布団に引きずり込む。うぎゃあ。


 ◇◇◇


 しかし、隆山(りゅうざん)先生、更にガバッと起き出し、

「起きるよっ! めきみちゃんっ! 貧乳(ひんぬ~)ごときに負けてられるかっ!」


「え~っ、寝てようよー」


 蜂野先生、まるっきりクズっぽいですよ。


「ええいっ!」

  隆山(りゅうざん)先生、懐から何やらカードを取りだし、

「これでどうだあっ! 『拉麺(らあめん)美食倶楽部(びしょくくらぶ)』ギョーザ無料券っ! しかもっ! 5枚っ!」


 途端に飛び起きる蜂野先生。ええっ? ギョーザでそんなに反応するんですか?


「なによおっ! ギョーザを笑う者はギョーザに泣くのよっ! 『ギョーザの恋の物語』『東京 ギョーザ 資生堂パーラー』『地下鉄ギョーザ線浅草から渋谷まで』」


 先生、それは「ギョーザ」ではなく「銀座」です。あと、ローカルネタはほどほどに……


「ええいっ! この際、新川(にっかわ)君のツッコミはどうでもいいわっ! わっはっは、貧乳(ひんぬ~)ごときにラーメンの神髄が分かってなるものかっ! わあっはっは」


 蜂野先生、胸を張って高笑い。うーん。ここまでひどい手のひら返しもそうはないんじゃないかなあ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 餃子でここまで!? いや餃子も良きですけどね!?
[一言]  なんと、めきみ先生が目覚める為だけに、丸1話かかりましたねえ。  さすが大物。  だけど、起き上がったきっかけがセコイ❗  です。笑
[良い点] うむ、やっぱりラーメン作ってない! 甘党なので資生堂パーラーは一度行ってみたいですw
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ