48 女王蜂様 体にいいポーズをとる
「ほっ、ほうー。乳腹隆山先生?」
蜂野先生はまたもどこからともなく持ち出した太い黒ぶちの眼鏡をかけると、しげしげと隆山先生の巨乳を観察しだした。
それに対し、堂々と巨乳を突き出す隆山先生。
今更ながら、シュールな光景。
ひとしきり、隆山先生の巨乳を観察した蜂野先生、おもむろに眼鏡を外し、真面目な顔をして一言。
「なるほど。これは見事な『おっぷぁい』。それは認めましょう。だが……」
「だが?」
◇◇◇
「あたしだって、負けてないもんねぇっ~!」
と蜂野先生、言うが早いか、自らの胸を前に突き出す。
ウオオオオオーッ 湧き上がる歓声。
「ふっ」
静かに笑う隆山先生。
「このこの乳腹隆山っ! 認めようっ! 蜂野めきみちゃんの『おっぷぁい』もまた見事であると」
「ふっふっふっ、わぁっはっはっはっ」
肩を組んで、巨乳を突き出し、高笑いする蜂野先生と隆山先生。
「よおっし! めきみちゃんっ! 『巨乳ポーズ』行くよっ!」
「合点だっ! 隆山先生っ!」
蜂野先生と隆山先生は両腕を前で交差させて前かがみになり、
「ぱいばらーっ」
一気に反り返り、胸を突き出すっ。
「りゅうざんっ!」
両腕を前で交差させて前かがみになり、
「ぱいばらーっ」
一気に反り返り、胸を突き出すっ。
「りゅうざんっ!」
ウオオオオオーッ 又も湧き上がる歓声。
「隆山先生。凄いのねん。これは体にもいい気がするわ」
「はっはっはっ、凄いでしょ。めきみちゃん。このポーズ、一晩かけて考えたんだ。だから、毎晩やってたラーメンの仕込み、今日はやってないの」
駄目じゃん。それじゃ。
◇◇◇
一連の騒動を肩を震わせ、見つめていた疲労子さん。
だが、僕が感じたどす黒い怒りのオーラは疲労子さんのそれだけではなかった。
「脂肪の塊がちょっとでかいのが、何だって言うのよ」
その声の主は、紗季未。
紗季未さん。怒ってます? 怒ってますよね? ああ、やっぱり怒ってます?
僕はちょっといろいろな意味で怖いので、少し大人しくしていますね。はい。
◇◇◇
「隆山っ! 貴様、料理対決はどうなってんだっ?」
疲労子さん、怒りの告発。ま、そりゃ、そうだ。
「たわけぃ。貧乳っ、いやもとい、疲労子っ!」
「毎回毎回、わざと間違えるんじゃないっ!」
「このうつけ者があっ! だから、貴様にはラーメンの心が分かっとらんというのだっ!」
「…… ラーメンの心だと……」
「うむっ! ラーメンの心…… それは……」
「「巨乳」」
その言葉に合わせて、隆山先生と蜂野先生は巨乳を前に突き出した。
次の瞬間、僕は見た。
疲労子さんのこめかみの血管が切れ、盛大に血が噴き出しているのを……
パワーワード「おっぷぁい」の使用を快諾していただいた間咲正樹先生に、この場をお借りして厚くお礼申し上げます。




