表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
31/129

31 女王蜂様 人の家で朝ご飯を5杯お代わりする

 紗季未(さきみ)を家に呼びに行くと、もうバッチリ制服姿でスタンバイ。


 さすが、紗季未(さきみ)


 でも、もうちょっと砕けた姿も見てみたいというのは贅沢な悩みか?


「こうちゃん。何か変なこと考えてない?」


 いえ、そのようなことはないですよ。多分……


 ◇◇◇


 そして、僕の家に連れて来るなり、紗季未(さきみ)は僕の左の耳たぶを引っ張るし。


「こうちゃん。あの()。何?」


 指差した先は、はい、蜂幡(はちまん)ハニーちゃん。


「うん。信じられないと思うけど、あれは京太朗(きょうたろう)兄ちゃんだよ」


「うっ、うそっ? 京太朗(きょうたろう)さん?」


 かちんこちんに固まる紗季未(さきみ)


 無理もない。憧れてた隣家のかっこいいお兄さんが、レールむすめ蜂幡(はちまん)ハニーちゃんと来たもんだ。


「そう。レールむすめの蜂幡(はちまん)ハニーになったんだよ。紗季未(さきみ)ちゃん。可愛いでしょ?」


「はっ、はい。可愛いです……ね」


 さすがの紗季未(さきみ)もこの事実の受け入れには、多少の時間を要したようだ。


 ◇◇◇


 さて、今更ながらシュールな朝ご飯の始まりだ。


 朝食のちゃぶ台についているのは、真ん中から時計回りに……


 蛍川(ほとかわ)かかし(ばあちゃん)


 コンブチャ・オヒム(父さん)


 その18歳のマネージャー(母さん)


 蜂野先生(しっかり母さんの隣で、すぐお代わりをもらえる場所(ポジション)をキープした)


 蜂幡(はちまん)ハニー(兄ちゃん)


 僕


 紗季未(さきみ)の順である。


 しかし、一体どこの世界に朝から人の家でご飯を5杯お代わりする女王様がいるというのだろう。


 しかも、1杯目は納豆、2杯目は卵かけご飯(TKG)、3杯目は塩鮭、4杯目は味付け海苔、最後の5杯目は豆腐とわかめの味噌汁をぶっかけて食べるという念の入りようである。


挿絵(By みてみん)

イラストレーション 秋の桜子様 


 更に言うと、食べながらベラベラしゃべるもんだから、ご飯粒飛ばす飛ばす。


「ほっほっほっ、あたし、さっちゃん、ハニーちゃんに紗季未(さきみ)ちゃん。美人が4人も慎ましやかにぃ~。まるで~、『若草物語』~。四姉妹~」


 先生、先生。長女が朝からご飯5杯お代わりして、しゃべりながらご飯粒飛ばす「若草物語」なんてありません。どこが「慎ましやか」なんですか?


「めきみちゃ~ん。『若草物語』って、素敵~」

 母さん、かぶせるし。


「きゃー、めきみお姉さまって呼んでいいですかあ~」

 にっ、兄ちゃん……


 紗季未(さきみ)は全く動ぜずに、よく噛んでご飯を食べている。


 偉いね。君。


 ◇◇◇


「何でもね。蜂幡(はちまん)市公会堂に魔法がかかって、やたら大きくきれいになったって。そのこけら落としに午後3時から『ジ・エンカーズ』の公演やることになってね。11時にマネージャーのメガ猫ね~さん(徳造さん)が迎えに来ることになったから、それまで休んでるわ」

 これは蛍川(ほとかわ)かかし(ばあちゃん)。


「夜勤明けなんだから、お風呂入って寝直すよ。恒太朗(こうたろう)、覗いちゃだめだよ❤」

 いかに可愛らしくてもですね。中の人が実の兄の入浴シーンなんぞというものは……覗きませんっ! ……と思います。


 だから、紗季未(さきみ)さ~ん。怖い目でジト見しないで~。


 ピンポーーン


 僕の朝からの苦悩を遮るかのように玄関のチャイムが鳴った。 

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] なんという凄まじい朝の風景(゜Д゜;)
[一言] 人の家でご飯を5杯お代わりするのは凄いですね! ご飯のイラストもとても美味しそうです。 良い意味で先が読めない展開が続きますね。
[一言] すさまじく混とんとなってますね。  あまりに振り切れているので、感覚がマヒしそうです。  でも先生はもっと斜め上な展開を目指す気がしました。ではまた。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ