表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
16/129

16 女王蜂様 ジ・エンカーズにマネージャーをつける

「ところでさー、蜂野先生」

 話を切り出す「蛍川(ほとかわ)かかし」ことうちのばあちゃん。


蜂幡(はちまん)老人会演歌カラオケクラブ『ジ・エンカーズ』のメンバーがこれで揃ったけど、これからどうすんの?」


 蜂野先生、札束入り封筒を握り締めながら笑顔で応対。

「今日はもう遅いから、明日の正午にみなさんで、蜂幡高校(ハチコー)まで来てください。うちの精鋭動画チームが歌ってるとこ撮影して、ネットに上げます。その後、コンサートやりますね」


「腕が鳴るわねぇ」

 意欲満々、あけみハブちゃん。


 ◇◇◇


 ここで、蜂野先生から唐突な一言。

「朗報です。みなさんには一人マネージャーが付きます」


「へ? マネージャー」

「そりゃ助かるけど、誰がやってくれるの? 蜂野先生?」


 蜂野先生は笑顔で(かぶり)を振る。


 げ? まさか? 僕じゃないよね。僕にはあのパワフル「元」ばあちゃんずは制御出来ません。


「心配しなくても、新川(にっかわ)君じゃないわよ。あたしの働き方改革は本人が望まない仕事はやらせないの」


 読心術でも使うんですか? 先生は。


 ◇◇◇


「みなさんのマネージャーをやってくれるのはっ!」


 ダララララララ


 ここでドラムロールが入る。いつも思うけど、音源どうしてるんだろ?


「老人会のアイドルッ! 蜂幡(はちまん)の加山雄三こと、鹿山徳造(かやまとくぞう)さんっ! 御年80歳ですっ!」


「きゃあああああああ」

 

 ええっ? 全員が中高年の演歌歌手に変身したはずなのに、どうしてそんなに甲高い黄色い声が出るの?


「えっえっえっ? 本当に徳造(とくぞう)さんがやってくれるのっ?」

「やったあ。張り切っちゃうぞー」

「これで『ジ・エンカーズ』も安泰だねぇ」


 ここでふと我に返るあけみハブちゃん。

「すっごい、嬉しいけどさあ、何で徳造(とくぞう)さんがマネージャーやってくれるの?」


 ◇◇◇


 蜂野先生、左手に蜂の針を持ちつつ、右手で器用にポケットからハンカチを取り出し、おもむろに涙を拭く。札束の封筒はもうしっかりしまい込んだんですね。

「それには、涙なくして語れない物語があったのです」


「え? なになに?」

「何があったの?徳造(とくぞう)さんに」


 何だかまた、物凄くしょうもない話になるような予感がびんびんするんですけど。僕。

 


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 気になりますねぇ~
[気になる点] 徳造さんの事情とは?
[良い点]  とっても読みやすいのに、作者様の意図としていることが理解できちゃうのは、作者様が並みならぬ文章力を持ってらっしゃるからですね。  はっきり言って、主人公さんは的確な突っ込みしかしてないの…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ