15 女王蜂様 演歌界の大御所からお年玉を貰う
♪ちゃちゃんちゃんちゃちゃん ちゃちゃちゃちゃ ちゃちゃんちゃちゃん
こ、この前奏は……
分かる。分かるぞ。赤ん坊の頃から、ばあちゃんに子守唄代わりに演歌の英才教育を受けさせられて来た僕には分かる(泣)。
「♪俺は~ 煮島~ 煮島だ~ 男の~中の~男だぜ~」
「キャーッ、ハブちゃ~ん」
黄色い声を張り上げるのが、蜂野先生、凝品一、位置来ピロチに加えて、ばあちゃんの蛍川かかしが参戦し、よりシュールに。
着流しを着こなした演歌の大御所煮島省郎がヒット曲「男煮島暴れ旅」を歌い終わると、何故か近所中からも万雷の拍手。
うん。よかった。みんな、優しいね。これはやかましいと苦情が来てもおかしくない案件だけど……
まあ、いいか。
◇◇◇
「やっぱり、あけみさんはハブちゃんだよね~」
「そうそう、やっぱり大御所はあけみさんだよね~」
「着流し似合ってる~」
「もう、みんな~。みんなだってかっこいいじゃない~」
ほめられてあけみハブちゃんご満悦。
◇◇◇
「あ~、そういえばさあ」
おもむろに切り出すあけみハブちゃん。
「蜂野先生の魔法で、憧れのハブちゃんになれたらね、どういう訳だか、懐からこういうものがいくつか湧いてきてねぇ」
あけみハブちゃん、懐から分厚い封筒をいくつか取り出す。
そ、それは、もしかすると、あの、ハブちゃんの伝説の……
「あら、封筒に『お年玉』って書いてあるわ」
やっぱり~、芸能界の伝説と言われる煮島ハブちゃんのお年玉!?
「こんなたくさん持っててもしょうがないから、みんなに分けるね。はい」
どう見ても、中身は万札。しかも、あの分厚さからすると、うん十万はありそう。
それをあけみハブちゃんは無造作に凝品一、位置来ピロチ、蛍川かかしに渡して行く。
そして、行列の最後に、蜂野先生。
蜂野先生、耳が生え、尻尾を振って、舌出して、はっはっとお預け待ちの犬状態。
うーん。この方、女王としても蜂としても全然プライドないのね。
他のファンタジー作品の女王様たちから連名で苦情が来るよ。これじゃあ。
「女王」名乗るなって。
「もちろん。魔法をかけてくれた蜂野先生にも差し上げます。はい」
あけみハブちゃんから現金入り封筒受け取った蜂野先生、満面の笑み。
「むふ。むふ。むふふふ。ちまちまハチミツ集めるより、このお金でハチミツ買った方がよっぽどいいもんね~」
そりゃ、そうでしょうけどね。
(余談)この部分、執筆前に◯島◯郎さんのyou tube見直しました。




