11 女王蜂様 とは関係なくいきなり夕方になる
子リスたちは更に決意を込めて、続ける。
「そんな先輩たち見てたら、素敵だなって。一緒にやれたらいいなって、思って……」
「……」
湯千葉・洋津辺両先輩、硬直状態。
「先輩たちっ、わたしたちじゃ駄目ですか?」
両先輩、蜂野先生をチラ見。にっこりと笑う蜂野先生。
◇◇◇
「湯千葉ーっ」
「おおーっ、洋津辺よぉーっ」
何故か駆け寄り、がっちりと抱き合う二人。
そして、背景にはでっかい赤い夕陽が……って
えっ? 僕、まだ、お昼、食べてないよ。何で、夕方なの?
「湯千葉-っ、良かったなぁ、良かったなぁ、生きていてぇ~」
「おうっ、洋津辺-っ、映像部、キモいとか言われても、続けて良かった~」
何か、このパターン、さっきの斬汰側先輩の時と同じじゃないの?
「湯千葉-っ、きつかったなあ。活動実績がないって言われて、部費がろくにもらえず、何も出来なくてえ~」
「おうっ、洋津辺-っ、片思い相手の写真隠し撮りしますサービスで、こっそり資金稼ぎしてぇ~」
そんなことしてたのっ!こりゃ、子リスツインズもドン引き……、あれっ? にこにこして見ている。いいの? そんなんで?
「湯千葉-っ、それでも、映像制作の資金が足りなくてなぁっ」
「おう、洋津辺-っ、そんな時に、多額の報酬と引き換えに、外部のおっさんから、『女子更衣室』と『女子トイレ』の隠し撮り依頼されて、心が揺れ動いて……」
おいっ! そりゃ、犯罪だからっ! さすがにこれには、子リスツインズでも、引くでしょうって、ええっ? 泣いてるのぉ~。
「先輩たち、苦労したんですね。でももう大丈夫。こうやって、蜂野先生も来てくれたし」
「あたしたちじゃ、あたしたちじゃ力になれませんか? 先輩たち」
◇◇◇
「蜂野先生ーっ、この娘たちにも魔法をかけてくださーい」
両先輩のハモったお願いに、蜂野先生は……
「モチのロン。えっさかほいッ」
蜂の針を一振り。
たちまち、子リスツインズも映像器具抱えたクリエイター姿に。
「やったー。嬉しいーっ」
「嬉しいのは俺たちの方だよ。子リスちゃんたちが来てくれるなんて」
「せんぱーい。駄目ですよ。子リスちゃんたちなんて言っちゃあ、夢美と愛良と呼んでくださ~い」
「あ、ごめん」
「あたしたちも、出空造さんと手生勝さんと呼ばせてくださーい」
「何かもう俺たち涙で前が見えないよ」