104 女王蜂様 オオスズメバチに勝つ?!
ひゃおう
ひゃおう
ひゃおう
三人の大暴れ大将軍の放った「魔法の矢」は「オオスズメバチ」に向かって一直線。
「魔法の矢」は自動追尾機能がついてはいる。だけど、現実の空戦がそうであるように、標的にされた方も、ただ黙って命中させられない。当然に回避行動を取る。
それを乗り越えて命中させる力。それが射手の技能である。
そして、今回の射手三人の大暴れ大将軍の技能は「超一流」だ。
どおっ
三本の「魔法の矢」は「オオスズメバチ」の胴体に見事に突き刺さった。
◇◇◇
しばらく時間が止まった。だけど……
ひゅううう
「オオスズメバチ」はそのまま垂直に落下を始め、
どしんっ
地面に落下した。
やったのか?
◇◇◇
「毎度~」
このタイミングで疲労子さん再登場。何だか妙にでかい寸胴と追加分なのか、山のような四リットル焼酎ペットボトルを持って来てるし。
「待ってたわ~ん」
これはもちろん蜂野先生。
「寸胴と焼酎ここに置いて~」
何故か「オオスズメバチ」の隣を指示。え? 危なくないの? まだピクピク動いてるよ。
そして、蜂野先生。不意に僕の方を向いた。何だ何だ?
「何やってんの? 新川君。ほらほら、ぼうっとしてないで、とっとと寸胴に焼酎入れてっ! 他の子も手伝ってやって」
いいのかな~と思いつつ、まだ結構動いている「オオスズメバチ」の脇でドバドバと焼酎を寸胴に入れていく。周りにいた「農場物語」のキャラに変身した女の子たちも手伝ってくれたけど、これって結構疲れる作業だよ。
寸胴の八割くらい焼酎が入ったところで、蜂野先生は「うーん。このくらいでいいかな~」と言った後に
「北原さ~ん、この『オオスズメバチ』。魔法で寸胴に入れて~。こんだけ弱ってりゃできるでしょ」
「はあ?」
何が何だか分からないといった感じの紗季未女王蜂様だけど、とりあえず蜂の針を振ってみる。
「オオスズメバチ」はゆっくりと空中に持ちあがり、ボチャンという音と共に寸胴の中に納まる。
「北原さ~ん、早くふた、ふた」
「はっ、はい」
紗季未が言われるままに再度蜂の針を振ると、寸胴のふたが閉まった。
「やっ、やったわっ!」
力強く叫ぶ蜂野先生。って、あなた、周りに指示だしただけでしょう。
「いや~、酒は何でも好きだけど、『オオスズメバチの焼酎漬け』はまた格別なのよねん。あ、言っとくけど、あんたたちには一滴たりともやらないわよん。未成年が飲酒なんてとんでもないっ! うんうん」
しきりと腕組をして、目を閉じて頷く蜂野先生。言われなくても取りませんから。
◇◇◇
でも、これで問題解決かなと思って、紗季未の方を見たら、目を閉じて、下を向き、首を横に振る。え?




