103 女王蜂様 ご先代様ゲップの連続
しかしっ! そんな気を散らすBGMにもめげず「魔法の矢」の調合に勤しむ僕のこのメンタルッ!
誰か褒めてください。単に蜂野先生慣れしているとも言うが。
◇◇◇
出来上がった怪しげなキノコの粉を湧き出る清水の水に溶かす。更にそこに展着剤としての樹液を加える。
それを既存の矢に塗る。そして、最後の仕上げ。杖で魔法をかける。この時に三俣と飛得先輩にも一緒に持ってもらうことで調合時間を短縮できる。
これも誰でもいいって訳じゃなくて、「錬金術師」と親和性の強い「化学者」の三俣と飛得先輩だからできることなんだ。
気合を入れる。
「ようしっ、行くぞ」
応える声がくる。
「はいっ!」
「おおっ!」
「ぐええええっぷ」
最後のは聞かなかったことにしょう。無心無心。色即是空空即是色。
◇◇◇
杖から送られた魔法を受け、三本の矢が輝きだす。いけるか? いけるか?
「ぐええええっぷ」
だから聞かなかったことにしよう。集中集中!
だいぶ、メンタルを削られたが、「魔法の矢」は無事完成した!
「出来ましたか?」
「出来ましたか?」
「出来ましたか?」
居ても立っても居られない様子の三人の大暴れ大将軍。
大丈夫。出来ました。そちらの様子は?
「石積殿が戦車にて爆薬を撃ち込み、だいぶ打撃を与えてはおるが、まだ、飛んでいる様子」
「石積殿が戦車にて爆薬を撃ち込み、だいぶ打撃を与えてはおるが、まだ、飛んでいる様子」
「石積殿が戦車にて爆薬を撃ち込み、だいぶ打撃を与えてはおるが、まだ、飛んでいる様子」
「はあ、僕の調合した爆薬だけで倒せませんでしたか。うーむ」
「しかれどもこの『魔法の矢』にて、見事、あの『オオスズメバチ』めを撃ち落として進ぜよう」
「しかれどもこの『魔法の矢』にて、見事、あの『オオスズメバチ』めを撃ち落として進ぜよう」
「しかれどもこの『魔法の矢』にて、見事、あの『オオスズメバチ』めを撃ち落として進ぜよう」
うわ、かっこいいし、頼りになりそう。今まで「色物」みたいに思っていて、ごめんなさい。
◇◇◇
「新しい女王蜂殿。あの『オオスズメバチ』めに『矢』を射てよろしいか?」
「新しい女王蜂殿。あの『オオスズメバチ』めに『矢』を射てよろしいか?」
「新しい女王蜂殿。あの『オオスズメバチ』めに『矢』を射てよろしいか?」
「お願いします」
三人の大暴れ大将軍の問いに真剣に答える紗季未。
手慣れた様子で弓に矢をつがえる三人の大暴れ大将軍。
♪ちゃらら~ ちゃらららっちゃぐええええっぷ
本来のBGMまで、自らのゲップでかき消す状況に陥った蜂野先生だが、三人の大暴れ大将軍はお構いなしに「矢」を放つ。
うーん。メンタル強。それに比べて、僕はまだまだだな。見習わねば。




