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アカムとうり 悪の魔王ともうすぐ死ぬ子  作者: 佐藤いふみ
         5節 帝國ホテルタワーの戦い
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「掃射、続行」


 新野は射撃手ガナーに告げた。M197・20mm機関砲が毎秒20発の弾丸を、もはや廃墟となった部屋に撃ち込みつづける。破壊の嵐は、しかし、標的には届いていない。火線は赤鉄アカムの数メートル手前でバリアー能力に阻まれている。


 赤鉄アカムのバリアー能力は、防御と同時に攻撃の手段でもある。バリアーは本体ぎりぎりから十数メートルまで自在で、瞬発的な拡縮によって弾丸をはじき返すことが可能だ。ほぼ不死身といってよい能力だが、町田警察署攻防の際の録画を吐き気がするほど見返して、新野は弱点をみつけた。


 バリアー能力は、その展開範囲が限定されていると思われる。町田警察署の天井が爆破されたとき、赤鉄アカムはバリアーで瓦礫を防いだ。そのあと前方からの銃撃を避けている最中、低い跳弾が赤鉄アカムの足に命中した。


 このときの映像をよく見て、赤鉄アカムが天井の瓦礫を防ごうとした瞬間、それまで透明な壁にさえぎられていた砂塵が吸い込まれるように赤鉄アカムの足もとへ流れ込むのを発見した。つまり、上方向にバリアを展開するために足もとのバリアを解いたということだ。


 もちろん、すべては推測であった。しかし、なにかしら攻撃が通れば突破口になる。いちど重大なダメージを与えて、あとは畳みかければいい。なにしろ、相手はたった1人なのだ。


 成功の可能性を高めるには、上方向から攻撃しやすく、かつ狭い空間がよい。奇しくも、赤鉄アカムは、うってつけの場所を根城とした。




「岡村、出番だ」と、新野は無線で呼びかけた。


 輸送ヘリ・CH-47JAチヌークの後部シートで待機中の、金属光沢のスーツに身を包んだ長身の男の耳元に、声がとどく。


 町田警察署で、船井刑事とともにアカムを尋問した岡村裕刑事が、バイザーの中で静かに目をひらいた。岡村は普段は眼鏡だが、いまはコンタクトを入れている。


「2分半だ」と、新野が念を押した。


「了解」


 岡村は足もとの日本刀に似た長物を拾い上げた。


 チヌークのキャビンハッチが開くと、風と煙が座席に吹き込んできた。岡村は、迷いなく跳んだ。強化スーツにサポートされた大腿四頭筋が、装備を含めて200キロの体を楽々と空中に運んだ。

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