112
恐ろしい物音が消えて、10分ほど経った。クローゼットの扉から、アキオは、そろそろと顔を出した。風が頬をうつ。壁は、かろうじて残っているが、天井は、ほぼなくなっていた。
凶行のあと、動かなくなった女をさらに乱暴するか、リビングの女にするか考えていると、庭で爆発音がして、カーテンの隙間から真っ白な光が射した。外をのぞくと化け物が戦っていた。
アキオは縮み上がって玄関に向かったが、扉から出る寸前に引き返して女の頸動脈を切り裂き、クローゼットに隠れた。
「い、いちかばちかの賭けだッたがよォ」
小躍りしながら死体に近づき、赤鉄アカムの頭を蹴る。
「死ィにやがッたァッ! 死ィにやがッたゼェッ!」
興奮で息が荒い。こんどは体を思い切り蹴り上げる。そして、女にしたのと同じように首を真一文字に切る。
「ひャはははははッ! はアアア、はアアアはははははは! ざまアみやがれッ!」
胸を、腹を、何度も突き刺す。黒いジャージが濡れていく。アキオは両手を広げ、目を剥いて黄色い瞳で夜空を見上げた。
「オレがァ、オレが赤鉄アカムを殺したァ!」
ひとしきり騒いで満足すると、アキオは携帯端末で現場の写真を撮りはじめた。




