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アカムとうり 悪の魔王ともうすぐ死ぬ子  作者: 佐藤いふみ
           2節 世界の行く末
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「畜生……畜生……」


 うりの頬に、アカムの涙が、ぽたぽたと垂れる。


「駄目だった……結局……なにもできなかった……」


 部屋は闇に満たされ、アカムとうりだけが、ぼんやりと光っている。


 アカムの右半身が、めきめきと音を立てて、狂った変貌を繰り返す。人の姿を留める左半身まで侵されていく。




 ――うりを守って。




 庭で聞いた声がした。


「駄目だったんだよ……」




 ――うり…守って。




 うりが、うっすらと目をひらく。


「うり、聞こえるか。うり!?」


 反応がない。瞳に生気はなく、ガラス玉のようだ。


 アカムは必死に言った。


「あなたが好きです。愛してます。会いに来てくれて、ありがとう。救われたんです。それで、できたら、俺と……」


 うりの目が閉じた。いったん閉じてしまうと、最初から開いてなどいなかったかのようだ。


「うり?……ごめん、ごめんな……」


 ふたたび、目がひらいた。アカムは鼻と鼻をつけて覗き込んだ。




 ――うり…………。




「……え?……それは、ないだろう? そんな……」


 獣のように嗚咽する。


「だって、あんまりじゃないか。こんな……お前は……お前は……」


 アカムは、うりの頬にそっと触れた。うりの上に倒れ込み、それきり、ふたりは動かなかった。

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