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朝日が昇るその場所で  作者: 須東さう
1章 少女は夢の中
3/8

始まり

時は遡り、3月31日。

ロングストレートの艶やかな黒髪の少女、涼山優衣(すずやまゆい)は新しく始まる新学期に期待と不安を持つ日々を送っていた。

彼女は好奇心旺盛で、何事にも積極的な何処にでもいる元気な高校生である。

ただ、その日は刺激的な何かを求め寝る前にとあるサイトを開いた。


“あなたは、海より森が好きですか?“

“刺激を求めますか?“

“あなたは、誰かの役に立ちたいですか?“


などの質問があり、yesとnoのチェック欄があった。彼女は、yesのチェック欄に印を付けていく。最後の質問には、


“あなたは、異世界を信じますか?“


とあり、少し迷いながらもyesのチェック欄に印を付けた。

するとサイトのページに、


“おめでとうございます。あなたは、この物語の主人公に選ばれました!良い学園生活をお過ごし下さい。“


と書かれていた。しかし、何も起こらない。少し期待を抱いた彼女にとっては出鼻をくじかれた様な思いだった。

「当たり前か…。そんなものだよね。」

そう呟き、彼女はベットに入り明日は何をしようか考えながら眠った。


4月1日午前0時になった頃だった。

優衣の夢の中で古めかしい時計があった。そこには、紫色のローブを纏った2人の人らしきものがいた。

「君は選ばれた。ボクからは癒しの力を授けよう。」

「ぼくからは、支援の力を授けよう。」

『受け取って』

少年の声と少女の声がそう彼女に語りかける。声質が似ているため、双子であろうことが分かった。

「ボクらには何も出来ない。」

「せめて彼らを正しき道へ。」

『それは、君だけに出来ること。さあ、目覚めの時間だよ。』

2人は古めかしい時計に手をかざした。カーン、カーンと大きな音が響き渡った。優衣は紫色のローブの2人に聞いた。

「あなた達は何者なの…?」

それに少年の声が答えた。

「君に授けた力だよ。」


自分は確かにベットに横になり、部屋で寝たはずである。変な夢を見たこと以外は何ら変わりない。しかしながら、肌寒さ、背中がごつごつとした石に当たっている様な感覚。木々の匂い。全て本物だ。優衣は慌てて飛び起きた。

「えっ!?…………?…………っ!?ここ、何処なの…………?」

呆然とした様子で座り込んでいると、制服を着た人が3人こちらに走って来た。

「えっ、女の子??」

オレンジ色の髪の青年がそう言った。

「なんで、こんなとこに…………?」

ピンク色の髪の青年が首を傾げた。

「女の子一人は危ないよな。君、名前は?俺は深緋志麻(みあけしま)だ。葦森学園の生徒会長をやってんだ。」

緑のグラデーションのかかった一つに結いだ長髪を揺らし自己紹介をしたのち、口元があがるような悪戯っ子が見せる笑みをした。優衣は困惑しつつも、自己紹介をした。

「ええっと…。涼山優衣………。」

不安で一杯一杯であったため、声が小さくなってしまった。

「優衣ちゃんだなっ!!俺は、火力重視の炎上組!特攻隊長、丸井東(まるいあずま)だぜっ!覚えてね、テストに出すぞ。」

オレンジ色の髪をなびかせ、ポーズを決めつつ声高らかにそう自己紹介した。

「そんなテストないけどねぇ…?あ、ボクは乙音葉月(おとねはづき)。火力重視の炎上組のドンって呼ばれてるよお~!」

気だるそうに東にツッコミを入れ、緩やかな雰囲気を纏いあざといポーズを取りつつそう自己紹介をした。

「お互い様じゃね?葉月、東。理事長には許可とってきたぜ。さ、涼山さんもおいで。」

言われるままに、優衣は付いていくことにした。


生徒会室に通されることとなった。

教室2つ分ある部屋に高そうなソファや机、カーテン等があった。葉月が慣れたようにお茶を入れる。

志麻が口を開いた。

「涼山さん、俺らは君を保護することを理事長に命じられた。君には、この学園に編入学という形になる。学生寮は新しく設立したばかりなんだけど、誰も使ってない寮があるからそこを使って欲しい。明日には、制服が届いてるからそれを着ての登校となる。」

ここまでは大丈夫かな?と真剣な顔付きで優衣に聞いた。

「はい、大丈夫です。…………でも、不安で。私、夢を見たんです。力を授けるとか、そんな夢を。」

俯きがちに彼女はそう話した。

「力……?もしかして、能力かな?東。」

志麻は東の名を呼んだ。

「はーい!これだろ?最近作ってもらった、能力測定器!!優衣ちゃん、はい!」

「ええっ………!?」

円盤にしか見えないそれを東は優衣に渡した。すると、文字がホログラムで浮かび上がる。

「なるほどな、後衛支援系だねぇ。相手を癒す能力と、好感度によるパワーアップ効果。相手が涼山さんへの好感度が高い事にアップする持続数上がると。」

冷静に分析している様子の葉月の言葉を飲み込み、ある覚悟を決めた。

「私、皆さんの役に立ちたいです!後衛支援やらせてください!」

3人は優衣の本気さを受け取ったのか、許可をもらうことが出来た。生徒会長が、学園案内するよといい学園内をまわることになった。


「まずは、涼山さんの通う教室からだな。半年以上休めば留年だから気を付けろよ。」

悪戯な笑みを浮かべそういう志麻にあまり休まないように頑張りますと答えた。

1年生の教室が1階に2年生は2階に3年生は3階に。1年生の教室がある1階には茶道室や音楽室があり、2階には図書館と科目で使う教室が、3階には美術室があった。

外に案内され、校庭や訓練場、競技場や道場があった。

さらに奥に行くと旧校舎と旧図書館が見えた。旧校舎は立ち入り禁止となっており、旧図書館には柱の焦げた様な跡が残されていた。かなり最近のものだった。

「生徒会長、ここは…?」

「ここは、旧図書館だ。ここには、一人の生徒が住み着いてる。去年、事件があってな…………。次は、寮だな。ほら、涼山さんの住む場所になるとこだ。」

話を逸らされ、寮に行くことになった。

優衣が住む寮は一軒家で、学生寮とは近いが異質感を放っていた。

「理事長の趣味で作った。誰も使う気が起きなかったんだ。」

言いづらそうに志麻は言った。

優衣を送り届けたあと、お世話係を付けたわからないことがあれば2年生に聞けば答えてくれると伝えそのまま志麻は校舎の方へ向かった。気が付けば17時を回っている。設備された冷蔵庫には食材があった。

夜ご飯食べて、お風呂入って、眠れば元に戻ってるかもと思いながら部屋に入った。



紫色のローブの双子

涼山優衣の能力である癒しと支援。

それらの現れ。

癒しが少年

支援が少女


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