プロローグ
これからもよろしくお願いします。
次回から、選択肢させていただきます~!
山の中に隠れるようにある、葦森学園。 お城が建っているような錯覚を覚える程に広く広大な土地である。旧校舎に新校舎、旧図書館に新図書館。訓練場、道場、学園寮…等の施設が設備されており、生徒達が快適に過ごせる環境となっていた。
去年の夏頃であった。むしむしとした暑さが続き、学園でもダウンする生徒は少なくはなかった。
そんな、いつもと変わらぬ夏の日。あれは8月20日頃だった。旧校舎から爆発の音と共に緑のネクタイを揺らした1年生3人が普段使わない校門へ向け走り去っていった。
3人の内1人を残りの2人が追いかけている様子だった。
「来んなよ…!」
追いかけられていた1年生が寂しげに苦しげに叫んだ。
「なんで……?ねぇ、僕秘密守ってるんだよ…?」
追いかけていたうち1人が悲しげに言った。
「もう、守らなくていいんだ…。それ、使わねぇと、お前が…。もう、分かってんだろ…。」
目を伏せながら、そう言った。
彼らはなんの話をしているのか皆目検討もつかないが深刻らしい。
「俺は…っ!お前が行かなくてもいいって考えてる…っ!」
何も口を開いてなかった1人がそう言った。
「お前が行きそーだから、却下な。俺が行けいい話しだろ。心配要らねぇよ。…ごめんな。」
その言葉ど同時にその、一部始終を見ていた深緋志麻は嫌な予感が駆け巡ると同時に走る。
旧校舎と新校舎を繋ぐ渡り廊下は丁度外にあり、校門に近いこともあってか直ぐに能力を使用する体制に入り、1年生を守るべく間に割り込んだ。
何かを弾く様な音と共に1人は黒いローブに赤い鎌を持った者に腕を捕まれているようだった。
あの、追いかけられていた1年生だった。
抵抗することは無くされるがままである。
「おや、残念…。戦力を削ろうとそこの2人を倒してしまおうと思ったのですが…。翡翠の盾様がいらっしゃいましたか…誠に残念だ。」
その言葉を聞き、抵抗していなかった1年生が暴れ出した。
「話しが、違うじゃねぇか…っ!」
声を荒げ、黒いローブの人に言った。黒いローブは
「煩いですねぇ…。黙ってくださいな、もうしませんよ。」
それからクスリと笑い、こう、述べた。
「私は、黒鎌紅矢です。以後、お見知り置きを」
そういい残し、腕を掴んでいた1年生ごと消えた。
「待て…っ!…クソ…っ…。おい、1年2人大丈夫か?」
振り返ると、2人は呆然としたまま尻もちをついて居た。しばらくすると我に返り、それぞれ曖昧に頷いた。
対処に困っているところに、緊急事態を聞き駆け付けた丸井東と乙音葉月に2人は反応した。
「葉月に…東パイセン…。」
「おとちゃん…東先輩…。…………すみません。」
1年生1人失踪未だに消息不明であるこの事件が、始まりを告げる鐘の音だとは誰も知るよしもなかった。
後日談としては、1年生2人のうち1人が未だに登校していない。
時は春。4月の学期初めの陣取り戦。
深緋志麻は生徒会長に任命されていた。
そして、陣取り戦の会場…葦森陣地に1人の少女が迷いこんでいた。
物語が始まる鐘の音が確かに聞こえた。
ここまでお読み頂きありがとうございました!
次話お楽しみに!