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「良かったじゃねぇか」


憲兵さんはそう言った。

『ヒール』を習得出来たのでその報告に来ていた。


「でも、慣れないせいか少しむず痒くって」


しかも、今は人の体に纏まりつくように魔力が蠢いて見える。


「そうか、、、。今までお前さんが居たところは魔法とか奇跡なんて無かったんだっけ。じゃあもしかして、今まで魔力が見えてなかったりする?」


「今は見えますけどね」


「そりゃいくら教えても出来ねぇ訳だよ」


ですよねぇ。

魔力が見えない僕に憲兵さんは魔力の使い方を見せていた訳だ。


「まぁいい。これで剣術のスキルを習得できるだろ、それに神聖魔法は良いぞ!どんどん強くなれる!訓練で出来た傷は自分で治せば良いんだからな!ハードな訓練もどんどん出来る!!」


何だか嫌な予感、、、。


「いや、ちょっと待って下さい」


「いいぞぉ!『ヒール』は!訓練になかなかポーションはなぁ。金が掛かりすぎるんだよ」


「いやいやいや!訓練ですよね?訓練で怪我なんて、、、」


「骨折したまま戦う練習とかも出来るし、怪我をしたまま魔法を唱える訓練もいいぞぉ!傷を負ったまま魔法を唱えるのはかなり難しいからなぁ!」


憲兵さんの目が怪しくギラついている!!


「なぁに!死にゃあしねぇからよ!」


後で分かったのだがこの憲兵さんは、只の憲兵さんじゃあ無かった。

『金獅子』というクラン(冒険者グループ)の隊長だった人で、その『金獅子』っていうクランは大きな山を当てて、かなりの富を得たらしい。

でもこのクランの隊長レオンさん(憲兵さん)はその富をあっという間に博打ですってしまい、無一文になった所に憲兵の仕事の依頼がきたそうだ。

今はこうして憲兵をやっているが、

冒険者だった時の二つ名はもちろん『金獅子』なのだが、

実はもう一つあだ名があって、

それが、『地獄中毒者(ヘルジャンキー)

クランの隊員に課す訓練の過酷さから付けられたあだ名だった。



カーンティ視点


「それで?」


「いやぁ、ついついなぁ。昔を思い出しちまってよ!」


レオンさんはポリポリと頭をかいた。

冒険者ギルドへタナカを連れて来たレオンさんは、『訓練場を貸してくれ』と言って、二人で訓練場に入っていったのだが、

目の前には力無く倒れたままのタナカがいた。

明らかにやり過ぎている。


「なかなか良い動きをするもんだからよ」


「へぇ、珍しいわね。そんな事言うなんて」


「意外となこいつ冷静なんだよ、普段はリアクションも大きくて落ち着きの無い奴だと思ってたんだがな。上手く避けたり、いなすからよ。じゃあこれ、じゃあこれは?なんてやってるうちによ」


「まぁ、大丈夫だろうけど」


「当たり前だ。これでも手加減は上手いぞ?!」


タナカの体を見る。

強すぎるアザや裂傷は確かに無かった。


「でも。この子は神聖魔法を使えるのよ?何でわざわざ剣を教えるの?後衛のイロハだって別に教えられるでしょ?」


「そりゃ教えられるがな、面白れぇじゃねえかよ。神聖魔法の使えるこいつがどんな前衛になるのか」


「面白半分でそんな、、、。それに、別に今までだって、神聖魔法を使える前衛、『聖騎士(バラディン)』があるじゃない」


「あんな、金かけただけの装備に身を任せた連中と一緒にしてやるなよ。コイツは面白い、今までにない戦い方をするぞ」


「ふぅん」


ドワーフとオークを足して2で掛けたような顔をするこの子がそんなに伸びるのだろうか?

とてもそんな風には見えない。

どちらかというと鍛冶屋の方が似合っている。


「あんま信じてねぇだろ?」


「まぁね。それより、どうするの?」


「どうするの?って?」


「さまかタナカを転がしたままそのまま帰るつもりじゃあないわよね?」


「ダメ?」


レオンはしれっと言った。

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