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悪役令嬢? はいはい。悪役令嬢ですよー。

作者: ことは
掲載日:2016/06/02

『悪役令嬢? はいはい。悪役令嬢ですよー。』


 役を振られたわ。

 それは「悪役令嬢」。


 わたし、伯爵令嬢ヴィクトリア・エンフィールドは夢の中に現れた女神とやらに言われたの。

 わたしの使命は悪役令嬢を全うすることだって。


 はあ? って思うでしょ。わたしも同じよ。はあ?


 もちろん、そんなことを言われても困るわ。

 わたしが断ると女神は困ったわ困ったわと焦り出したわ。

 困ったのはこっちよ。なんでわたしがそんなこと受け入れないといけないのよ。

 第一、悪役令嬢ってなに? 役なの? それともそういう職業があるの? その辺の説明もはっきりしてほしいわ。


 すると、女神が条件を出してきたわ。

 

 わたしが悪役令嬢を立派にこなしたら、どんな願いでも一つ叶えてくれるとのこと。


 自分の人生を決められるのになんで一つなのよ。女神ならケチケチしないでいくらでもとは言えないの。

 

 そう言うと女神は逆切れした。「本当なら無条件強制なのに譲歩してるんだ。文句を言わず受け入れろ」と。

 もうただの脅しよね。か弱い人間を脅迫してくる神なんて幻滅よ。いい加減こんなしょうもない夢から覚めたくて、わたしは願いごとを一つ叶えてくれることを条件に、悪役令嬢とやらを渋々承諾したわ。


 夢から覚めてからのわたしの生活は一変したわ。

 いつでも頭の中で「今がその時だ!」と言わんばかりにいじわるな指令が頭の中で流れるの。


 主にこの力が発揮されるのは上流階級の子息・息女が通う学園よ。わたしもここの生徒なの。


 指令がくだればその通りに自然と体が動く。

 こっちで問題を起こせ。

 はいはい。今行きますよー。

 あっちで問題起こせ。

 はいはい。今行きますよー。


 こっそり人の悪口や、物を隠したり……。程度の低いミッションをこなしつつ、同じくこの学園に通い婚約者でもある、この国の第一王子のお相手もしなくてはいけない。


 はっきり言って疲れるったらないわ。王子の相手だけでも疲れるのに、指令があるたびに駆り出されるなんて。

 わたし、どっちかって言うと頭脳派なの。やるんだったら計画は時間をかけてじっくり練りたい派なのよ。こんな条件反射で動くなんて美しくないわ。


 日々を増すことに、私の(とても不本意な)悪行は学園をあっという間に巻き込んでしまった。

 

 そしてついに決定的なことが起こる。

 王子はいつの間にか他の令嬢にぞっこんになっていて、わたしがその令嬢を陥れたと断罪してきたわ。わたしはその令嬢に手を出した覚えはないが、度重なる悪行に聞き入れてはもらえなかった。


 わたしには、悪役令嬢に、濡れ衣令嬢が追加された。


 このことは国としても問題になり、婚約は破棄され、国を騒がせた罪に、王子の愛しい令嬢を陥れた罪と、元婚約者として王子に恥をかかせた罪は重罪で、死罪を言い渡された。


 こんなに簡単に死刑なんて言い渡されるの?


 あれよあれよと話は進み、捕らえられたわたしは、放りこまれた牢屋で一人ぼうっとしていた。

 もう指令の声は聞こえない。どうやらわたしの悪役令嬢(+濡れ衣令嬢)の役目は終わったのだろう。


 その時、女神が姿を現した。あの時、夢でみた女神。

 ずいぶんと久しぶりに会った女神はとても満足そうな顔だった。

 

 わたしの役目は終わり? そう尋ねると女神は首を縦に振った。

 なぜこんなことをしたの? と尋ねると「これはわたしが作ったゲームの世界。でも登場人物は皆本物の人間です。他の神とどれだけおもしろくゲームが展開できるか競っていたのです。あなたは予想以上によく働いてくれました。来世はきっと幸せになりますよ」と。


 ああ。ばかばかしい。薄々気づいていたけど、やはりバカな神の遊びごとだったのか。本当に人間のことを使い捨ての駒としか思っていないのね。


 女神がにこにこ笑いながら「ではお約束の願い事を一つ、叶えましょう」と言ってきた。「話が大きく変わってしまうこと、例えば死罪を免れることは無理です」とも。悪役令嬢が死んで全てがハッピーエンドってことね。本当に悪趣味。


 それ以外ならいいのね? わたしは念押しをする。「はい。神に二言はありません。必ず」。神が聞いて呆れるわ。


 なら、とわたしは一呼吸置いて、言った。


「あなたをわたしの身代わりに任命するわ」


 どうぞお望みのゲームクリアをしてちょうだい。

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― 新着の感想 ―
[良い点] これは良いちゃぶ台返し。 テメェの所業がそのまま返る平易で分かりやすい因果応報。 [一言] すでに似た感想を持った方がいらっしゃいましたが、この愛されない駄女神が約束守るかなぁ?と不安にな…
[良い点] 今晩は。はじめまして m(__)m 短く纏まっているのにオチが秀逸な点。 あと、オチの時点で二人とも幸せになってる点 ●主人公……クソ女g、じゃなくて女神様に相応のお返しが出来てスッキ…
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