創造の意義と転換の序章
「ディード、世界に防護壁を貼っといてください、あなたの鼻くそのせいで世界が滅びかけたんですからね」
私はディードにそう言います。
「ん? ああ……そうだな」
ディードはそう言って、この場で『森羅万象を創造する神の箱』を使い、世界に防護壁を貼った。
「なにか考え事をしていたんですか? 」
私は珍しく難しい顔をしていたディードにそう聞きます。
「ああ、そう言えば何で俺たちは世界創造なんてしているんだってことが気になってな……? 」
ディードが私を見つめてきます。
「あー、そういえば説明してませんでしたね」
世界創造をする理由を話すことを、私はうっかり忘れていました。
「世界を創造し、その世界の中にある創造物のなかでも知性と感情がある精神があるものが生み出すエネルギーで私たちは必要なんですよ、まあ無くても死にはしませんけど精神が無になる、つまり無知無能の存在になってしまうてことです、一人だけでも全知全能足りえますが、創造物つまり人々の精神に影響があるのか欲深くなって、より多くの知と能を求めてしまうので、無駄に創ってもやめられないいんですけどね」
私は、下の存在である、しかし私たちに確実に何かをもたらす存在、創造物、人々の底知れぬパワーのようなものに、敬意の様なものを感じてしまう。
「そうか……」
ディードはそう静かにつぶやいた後に
「なあ、人々は我々を理解することはできないのだろう? 」
ディードは私に背を向けながらそんな事を言ってきます。
「まあ、できないでしょうね」
私はそう返します。
「しかし、我々神も人々を理解することはできない……同じようにな、我々の大きすぎる存在は世界や人々に耐えることはできない、それゆえに我々は人々を直接統治できない、人の世は常に混沌、それゆえに我々神々の存在も混沌かつ不安定であり、『神の世界』もまた混沌、どうも揺らぎが多い、『人の世界』という土台が海のように揺れ動くため、『神の世界』もまた揺れ動く」
ディードが急に変なこと言い出し始めました、しかし本当に『神の世界』は完全に安定しきっているとは言えず、時たまディードや私、あとヨグヨグが調整したりしてますね。
「それがどうかしたんですか? 」
私はディードが何が言いたいのよくわかんなかったので、そう言うと
「調整ダルイ、したくない」
ディードのその言葉に私はこけそうになるのをこらえながら
「で? 愚痴を言っただけですか? 」
私がちょっと冷たくそう言うと
「いや、そうじゃなくて人に神の力の一部を与えて、世界……と言うより人々の管理をすれば安定するんじゃないか? と思ったんだが? 」
ディードはそう言った。
たしかに、適当に漫然と人々が好き勝手するより、私たち神々が選ばれた人間を使い神の代行者として統治させたほうが混沌が薄くなるかもしれません、ディードのくせに随分よさそうな意見ですね。
私はそう思いながら
「たしかに、いいかも知れませんね」
そう言った。
「じゃあ、早速やろうぜ」
ディードと私は世界の元へ向かいました。