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FileNo.0005 下問

 「これは…」

 

 納屋の中には、見知った機体が数体、木枠で組まれた台座の上に吊るされていた。ゲーム内では、ICE-AC002 「ライノ」と呼ばれた強襲型の機体、ICE-RT001「ボルター」と呼ばれた偵察型の機体、そして、ICE-DL003「イグアナ」と呼ばれた水中揚陸型だ。

 ただし、どれも完全な物ではなく、右手が無かったり、左足が無かったりと言う状態のものが数体分だった。武器も見当たらない。

 

 「私は君のものと同じ、ゴーレムの研究をしていてな。このゴーレムは、遺跡から掘り出したものだ。こうやって組み立てながら、研究をしているところなのだよ」

 

 ふふふと笑うフィナを横目に、俺は考える。ゲームと同じ様な世界かと思っていたが、ICEは一般的でないのか?名称もゴーレムになってるし。遺跡から出てくるってことは、ゲームの時のように製造されているわけではないのか?どこまでがゲームと同じなんだ?そういえば、レベルやスキルはどうなっている?

 俺の中で、どんどんと疑問が湧いてくる。

 

 「それで、聞きたいことがあってな。こいつを動かそうと思っておるのだが、精霊が言うことを聞かなくてな。広太、何か精霊のことを知っていないか?」

 

 「精霊?」

 

 「ふむ、操縦室を見てもらうのがはやいだろう」

 

 フィアはそう言うと、手近の「ライノ」に縁ると、ハッチ開放ボタンを押す。これらの機体の動力は生きているようだ。そして、俺を手招きし、操縦席に座らせる。

 操縦席のレイアウトは、基本的にどの機体も一緒だ。俺はコンソールを操作し、起動ボタンを押す。すると、目の前のコンソールに文字が浮かび、

 

 「機体識別コードとパスワードの入力をしてください」

 

 と、某人気声優の甘い男の声で告げられる。精霊とはAIのことらしい。

 なるほど、ゲーム内ではログイン時に聞かれる設定が、ここで出てくるわけか。この辺は、ゲームと違うな。言うこと聞かないってのは、ログインIDとパスワードが分からないからか。俺の「レバリー」は、ずっと立ち上げっぱなしだったから、気付いていなかったらしい。

 

 「こう言って、その後のことはどういう風にしても聞いてくれん」

 

 「なるほどね」

 

 「広太、お主には分かるのか?」

 

 「機体が他人に使われないよう、仕掛けがしてあるんだよ。こいつを使ってた奴じゃないと、それは分からない」

 

 「そうか……」

 

 フィアは、納得とも落胆とも取れる表情を浮かべ、ゆっくりと機体から離れると、回りのICEを見回す。

 

 「まぁよい。しばらくは広太も居ることだし、少しずついろいろと聞かせてくれ」

 

 「分かった、俺が知っている範囲であれば」

 

 「では、朝食にするか。まだ食べていなかっただろう?」

 

 そういえば、フィアとの出会いとその後の急展開ですっかり食事のことを忘れていた。

 俺たちは、連れ立って母屋にもどり食事を取る。食事はパンと野菜スープに腸詰を焼いたものが出された。味は普通においしかった。

 

 

 朝食の後、俺たちは近くの街、ロデブラ(と言うらしい)へと向かう。ハンターギルドへの登録を行うためなのは言うまでもない。さすがに「レバリー」をそのまま見せるわけにはいかないため、俺はフィアの馬車に同乗して行くことにした。

 道中、馬車に揺られてながら、俺はこの世界のことをフィアに聞く。

 この世界は、ゲームと同じナリディアと言うらしいが、ゲームとは異なり、話を聞く限り文化レベルは低いようだ。馬車を使っているあたりからも察することが出来る。

 暦は、30日で1月となり、1年は12ヶ月で360日となっている。この辺の設定は、ゲームと同じだ。1日の長さは、12分割されていて、六刻が昼になるそうだ。

 現在居る場所は、ガルラン地方という比較的温暖な土地だ。おおよそ北海道と同じくらいの面積らしい。キサーラ王国と言う国の北に位置しており、北の山脈を越えると、海が広がっているらしい。

 現在は隣国との関係とのトラブルは少なく、近年は戦争も起きていないという。

 今回行く街は、湖の東岸に位置する街で、この地方の中心都市のようだ。

 しばらく、そんな会話をしていると、次第に湖畔から陸地にのびる城壁が見えてきた。城壁はおよそ10メートルぐらいの高さがあるだろうか?石積のそれは、中世ヨーロッパの城壁を思わせるつくりとなっており、何箇所かに見張りようの塔が立っていた。

 城壁中央の門を見ると、門衛が二人左右に立っている。人の往来は自由のようで、荷を積んだ馬車や、皮鎧をきた一団が出入りしている。

 馬車に乗ったまま門をくぐると、やはりヨーロッパ風の町並みが広がっていた。建物は高いものでも3階建てで、ほとんどが木造建築のようだ。

 そろそろ昼時のためか、人通りはまばらで、多くの建物の煙突から煙が上がっている。

 俺はあたりを珍しそうに見ながら、馬車に揺られていると、正面に石造りの2階建ての建物が見えてきた。

 赤と青の2色で塗り分けられ、中央に切っ先を下に向けた剣が意匠されている旗が、2階から垂れ下げられている。

 

 「広太。目の前の建物がハンターギルドだ」

 

 「へぇ・・・・・・」

 

 フィアは、建物の脇にある広場に馬車を止めると、近くの柵に手綱を結びつける。

 

 「では、行こうか」

 

 「ああ」

 

 そうしてフィアと俺は、建物の中へと歩みを進めた。


仕事が始まり、更新はゆっくりとなります。

申し訳ありませんが、長い目で見てやってくださいませ。

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