煙の夢(上)
「ごめんね...私もぅ歩けないよ」
斎藤はそぅ言って座りこんでしまった。
「立って歩かなくちゃ、石になるぞ」
校内にいた、僕たち以外の人は突然校内に入り混んで来た、黄色い煙を吸って、石になってしまったのだ。
その黄色い煙は、空気より重いようで1階から立ち込め、無事なのは3階のここだけなのだ。
「だって、もぅ煙はすぐそこまで来てるし、3階に居る人も石になってる。もぅ石にされてる姿なんて見たくないよ」
斎藤は泣き出してしまった。
このまま置いていけばいい。
自分だけ助かればいいとは、もぅ思っていなかった僕は、斎藤の手を握った。
「じゃぁ、斎藤は目を瞑ってて。僕が誘導するから」僕は斎藤にハンカチを渡した。斎藤立ち上がり涙を拭いて、ハンカチで口を押さえた。
僕もハンカチで口をおさえ二人で歩き始めた。
3階の廊下にも少しずつ、煙が上がってきていた。
取り合えず、外へ出なければならない。僕はある教室に入りドアや窓を全て閉めた。
「もぅ大丈夫だから目を開けて良いよ」
斎藤がゆっくり目を開いた。
僕はベランダに出た。
校庭に煙はないようだ。
僕は斎藤を呼んで、下へ続く雨樋を指差した。
「今からこの雨樋を使って校庭に降りよう」
女子にり難しいが、何となくこの夢ではべない気がするので、これしか方法がなかった。